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とある暗殺者の過去

生まれた時から一人だった。ずっと、一人きりで生きていた。


薄汚れた「スラム」と表の人間が呼ぶ、ごみ溜めの中で殺戮と強奪を繰り返して生きてきた。


幸いにも魔法の才能が俺にはあった。とても便利だった。ただただ、殺しと奪い合いを繰り返していた日常だった。


いつの間にか、俺はスラムのボスになっていた。でも、どうでもよかった。


ずっとずっと殺した。気に食わないから、殺した。思い通りにならないから、殺した。奪われたから、殺した。殺されそうになったから、殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。殺した。


ぜんぶぜんぶ死んだ。気に食わないことをしたから、死んだ。思い通りにしなかったから、死んだ。奪ったから、死んだ。殺そうとしたから、死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。死んだ。


俺はいつの間にかスラムの住人全員を殺していた。


ある時、「殺し屋にならないか」と問われ、手を取った。


No.1になるのは簡単だった。ただ、殺すだけで金が手に入った。大金が手の中にあった。


二つ名なんてものがついたようだが、どうでもよかった。


ただただ、殺した。何人殺したかなんて覚えてなかった。誰を殺したかなんてどうでもよかった。


仲間だと言っている奴に「死ぬのが怖くねえのか」と聞かれた。


死ぬのなんて怖くなかった。むしろ、死に場所を求めて殺しまわっていた。


でも、俺の足元は他人の血で染まっていて、自分の血なんてひとつもなかった。


俺の立つ場所はいつも誰かの屍の上だった。肉を切らせて骨を断つなんて生温かった。隙を見せて殺せるようにしていたのに…、誰もかれもが弱すぎた。


もう、面倒だと、暗殺組織を潰した。仲間だと言っていた奴らも殺した。


「どうして…」なんて聞かれたって、理由なんてない。


ただただ、気に食わなかった。飽きた。つまらなくなったから。そんなちっぽけな理由。


俺の背中にはいつも死者の怨念がついて回っていた。「しね」「コロサレテシマエ」「死んでしまえ」ずっと聞いてきた。言葉はもう、意味をなさなくなっていた。


死に場所はなかなか見つからない。彷徨い歩くうちに『死に場所を探す』という目的すら忘れてしまった。


ただただ、無気力に、怠惰に、惰性で生きていた。


ある日、『ミカド』とかいうやつらが来て俺を殺そうとしてきた。


だから、殺し返してやった。返り討ちにしてやった。でも、なかなかに強かった。


深い傷を負った。そのうち治るだろうと放っておいた。


傷は治るどころか徐々に腐っていった。切られたところも問題だった。腹は流石に切り捨てられなかった。段々と朦朧としていく意識。死が近づいていると分かっていた。


「ここで終わるのか」と思っていた。なかなか死ねなかった。


のどが渇いた。腹が減った。傷が痛い。何年ぶりの感情だろうか。それすらも思考の隅に押し流されていった。


「死ぬかもしれないな」なんて思って5日たった。衰弱していた。


何だろうか、死が近づくにつれて胸の奥のナニカがうずいていた。


音が聞こえた。獣だろうか。「いよいよ死ぬのか」そんな思いが強くなっていくと同時に胸の奥のナニカも強くなっていった。


見えた足は人間だった。きっと俺を殺しに来たのだろう。


「………お前、生きたいのか、死にたいのか、どちらだ。」


とても、人間が発したとは思えないほど、低く、美しい声だった。


聞かれたことを認識したのは問われてから数秒たった後だった。


死にたいのか、生きたいのか、そんなの決まっている。死にたいに決まっている。


「………死にた…。」


なのに、なぜ、なぜ俺の心は揺れ動く?なぜ、この続きが言えない?たった一文字、「い」という言葉を発するだけだ。なのに、声が出なかった。


胸の奥のナニカが暴れだす。声に出したくない。そんな考えとは裏腹に体はココロの思い通りになった。なってしまった。


「…………ない…。死にたく………ない…!!!」


ああ、ああ、よしてくれ。こんなの俺じゃない。「死にたくない」なんて言わないでくれ。俺は今まで数え切れないほど殺してきた。だから、死ぬ覚悟もあった。だから、「死ぬ」なんて怖くないんだ。


「生きたい……!!!生きたい……。」


分かってるだろう。俺は死ぬべきなんだ。今、ここで。死ななければいけないんだ。たくさん殺した。そいつらの怨念も言っているじゃないか。「しね」「死んでしまえ」「そのまま死んでしまえ」「殺されろ」って言ってるじゃないか。


聞こえているだろう?ならば、死ななければ。せめて、助からないんだから。無駄に生きるよりもいっそ、ここで死んだ方がいいんだ。だから、お願いだから、「死にたくない」だなんて言わないでくれ。


「……おれは、まだ…生きていたい!」


「生きたい」だなんて言わないでくれ。


無理矢理納得させようとしていたのに、自分自身を誤魔化そうとしていたのに…、そんな風にココロを揺さぶらないでくれ。


「そうか…。」


希望が、未来が、光なんていうものが、見えてしまうじゃないか。「生きてもいいのかもしれない」だなんていう感情があふれ出してしまうから、止まらないから、希望を見せるのはやめてくれ。


この先には死という闇しかないのだから、光なんて眩しすぎるんだ。光が見えたら、闇が怖くなってしまうじゃないか。


「………人の道を外れたとしても生きたいか。」


………でも、でも、もし、少しだけでも自分を甘やかしていいのなら、光を見せていいのなら、反対言葉じゃない、本当の言葉を、胸の奥に閉じ込めた本音を言っていいだろうか。


少しだけ、少しだけ、今だけだから、神様、満ちあふれていく感情を出させてください。


「助けて……。」


ボロボロと泣くさまは、赤子の様だろう。醜いものだろう。助けるに値しないものかもしれない。でも、今だけ、今だけだから、甘やかされてなかった分、甘やかしてもいいよな?


「お願い……助けて………。」


「いいだろう。人の道から外れてでも生きたいというのならば、生きてみよ。」


ガリッ


「う、あ、あああああああああああああ!!!」


ひどい痛みが襲った。死にたいくらい痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。


……だから、なんだ!!!痛いくらいなんだ!!!俺は、生きたいんだ!!!


生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。生きたい。


「素晴らしい。お前の生への執着は、素晴らしい材料だ。」


何か、言っていたが、聞こえない。ただ、生きたい。生き延びたかった。


スッと痛みが引いた。あれほど怠かった体が嘘のようだった。腐っていた身体も元通りだった。


「おめでとう。君は試練を乗り越えた。今のお前はヴァンパイアだ。お前、行くところがないのだろう?私と来るがいい。ふむ、名を決めていなかったな。お前は…Killer……。Kill……よし、お前はキルア(・・・)だ。行くぞ、キルア。」


「はい。主様。」


この日、俺…いや、()は、人というものをやめた。

カルテのハーレム要員である暗殺者くんだと思っててくれてたら大成功。

どうでしょう?途中で分かってくれたかな?

次回もとある暗殺者のお話です。

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