第四十八話~彼女とキメラと贖罪と~
何とかあいつ等に魔法をかけれた…。なんだろう、無駄に疲れた…。
まあ、これで襲われたとしても私にわかるようになった。よしよし。順調順調!!!
……でも、犯人は一体何が目的なんだろう…。殺せるのに、殺さないなんて…。苦しめたかったのだろうか?
わからない。まだ、情報が揃わない。学園長たちも目覚めない。証言がないと何とも言えない。
…………………犯人はだれなんだろう?
…あ~!!!もう、やめやめ!!!こんなシリアスな雰囲気私じゃないし!!!
とりま、ケロ○軍○でも見ますかね。緊張感を無くすためにも。
私が緊張感でピリピリしてたらみんなも笑えなくなっちゃうし!!!
やっぱり、スマイルだよね!!!笑顔が一番!!!
無理して笑ってたって、いつかは本物になるから…。スマイル、スマイル!!!
ピ、ピ、ピ、ピピピピピピピピピピピ!!!
アラームが!!!襲われたのは誰!?………刃!!!場所は……『カエレン華憐』?
分かんない!!!でも、転移!!!無理矢理でも私なら……
イケるんだよ!!!覚えておけなのであります!!!
あ、さっきまでケロ○軍○見てたから…、つい…。
シュンッ
「刃!!!」
「――――――――!?」
あいつか!!!……うわ、真っ黒。上から下まで全身黒…。フードもかぶってるとか…。
徹底しすぎ。よくそんなに黒いのあったね!!!しかも効果高っ!?もったいない!!!
「―――!?」
あれ?何だか…あいつ……………焦ってる…?
「――――――!!!」
あ!!!あいつ転移で逃げようとしてる!!!そうはさせるか!!!
「今、この時も魔法で苦しんでいるものがいる。ああ、なんと悲しきか。ならばもう、使えなければいいのに…。『魔法無効化』!!!」
パンッ!!!
詠唱付きで威力をあげてるからね、そうやすやすと壊せないよ!!!私の魔法は!!!
詠唱も零コンマ単位でだしね。『森の守護神』は魔法においては無敵だよ?
ここが森じゃないのが残念だね。まあ、お花畑も好きだけど…。
「―――――――!?―――!!!」
あ、目くらましの魔法を打ってきた!!!こいつ頭いいな。私だと理解して、反撃、隙を作るように誘導し、その隙に逃げるわけか…。
でも、逃がしてやんないんだから。
「月はいう。その光に照らされしとき、汝何を思う。真実が照らされ、真の己と会いまみえるとき、汝何を欲す。全ては照らされ、隠すことなど不可能。汝覚悟せよ。全てを受け入れるときはきた。汝の全てを白日のもとへ。『真月ノ光』!!!」
この魔法は身体強化などの強化系だけでなく、身につけているもの全ての強化を無効化する。
それには特殊能力も含まれる。
さあ、ありのままの姿で戦いましょう?犯人さん♪
私、すごく、怒ってるんだから…。
「――――――――!?」
あら、ごめんなさいね?ついつい殺気が漏れちゃった…。
本気の私を前にして、逃げられるなんて………思うなよ。
「……ふっ!!!はあ!!!」
「―――――!!!」
サッ!!!スッ!!!ズザッ!!!
チッッ、全部避けやがって。やっぱり、接近戦は無理か。じゃあ、魔法でいくしかないよねぇ?
死んでも文句、言わないでね!!!私を怒らせた、あんたが悪い!!!
「カラカラ回るは糸車、クルクル踊るは赤い靴、シャリシャリ食べるは毒りんご、サラサラ零れる長い髪、キョロキョロ見つけた甘い家、ねえ、あなたの物語を聞かせて?『御伽噺』!!!」
この魔法は相手の属性に合わせた御伽噺がランダムで選ばれ、様々な効果を齎すもの。
あなたの物語を聞かせなさい?
パキパキパキパキ!!!
こ……おり……!?氷の属性なんて…あの中には…!?おかしい!!!それとも、私に気付かせないくらい少ない魔法でしか、キクノハ先生と戦っていなかったというの!?
あり得ない…。でも、現実に起こっている。とりあえず犯人を捕まえないと…、話にならないわね。
さて、そろそろ氷漬けになったころかな……!?
氷で対抗している!?私の魔力には炎の属性も入っているから不利なはずなのに!?
氷魔法のエキスパートなんて……、でも、あれだけで手いっぱいみたいだし、もう一つ魔法を仕掛けたらお終いでしょう。
「我望むは圧倒的な陽の光、我従わせるは煌めく月の光、我手にするは瞬く星の光、全ての光は我が手の中に。『蒼穹の輝き』!!!」
光系、オリジナル、龍級魔法。流石に止められないでしょ?
「いけ。」
シュピン!!!
「―――――――ガハッ!!!」バタンッ
「さようなら、犯人さん。恨むなら、自分を恨みなさい。」
………え…?なんで…?あの人が……倒れようとしているの…?どうして…あの人が!!!
「なんで!?なんであなたが倒れようとしているの!?答えてよ!?」
「―――――――――すみません。カル……テ…。」
「キルア!!!」
心臓の中心に穴が開いてるのに微笑んでいる友達が…、そこには、いた…。
「なんで!?どうして…!?答えてよ!!!友達じゃ、友達じゃあなかったの!?」
「………友達です…よ………。でも、………私にも……やらなければならない……ゴプッ、はあはあ、………贖罪があるんです………。」
キルアの瞳は死に向かう諦めと、それでも揺るぎない決意に染まっていた。
「……それが、仲間を殺すことでも…?」
「…………私は……あの方に…救われたんです………今度は……私が……救う番………なんです!!!たとえ、禁忌を……犯してでも……私は…………あの方を……救いたい!!!」
………私は、知らない。誰を思ってキルアが涙を流しているのかを。
………私には、分からない。何がキルアをそんなに駆り立てているのかを。
………私は、知ろうともしなかった。友達だと言っていたのに…。
………私は、分かり合おうともしなかった。仲間だと言っていただけだった…。
………私は、知っていた。キルアが優しく微笑んでいる瞳の奥で、憎悪と辛苦を混ぜた感情でこっちを見ていることを。
………私は、分かっていた。キルアの笑みが張り付けたものであることを、顔に出る表情全てが仮面をつけて演じているものだと。
………なのに、私は…全て見ないふりをした。キルアは友達だと、仲間だと言って自分を誤魔化した。
何が、最低だ。何が、許さないだ。何が、殺してやるだ。
一番酷いのは、最低なのは、許されないのは、私じゃないか!!!
「…キル…ア……。ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめん、ごめんね。」
謝って許されるなんて思っていない。私が許せない。
「後悔と、懺悔と、罪の意識が、自らを死に追いやるのなら、命を無駄にするのなら、その命を他の者に分け与えよう。贖罪の雫を振りかけよう。許されるまで、気のすむまで、自分自身が許すまで、贖罪の雫はこぼれ落ちていく。『贖罪の雫』」
私の涙で癒せるように、せめてもの償いだから。そんな顔しないで…。
「………ど…して…。」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。」
涙なら、止まらないから、あなたを癒せるから、せめて、あなたの傷がふさがるまでは、私に謝らせて…。
あなたが悪いんじゃないの。私が、悪いの。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。」
あなたにこんな思いをさせて、ごめんなさい。
………どうか、私を許さないで。




