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第四十六話~彼女とキメラと不穏な未来2~

「…………見つかりました!!!『魔宵(まよい)の森』深部です!!!」


「行って来る!!!」


あの森なら私の庭同然だ!!!


お願いだから、死なないでいてね!!!キクノハ先生!!!


「転移!!!」


シュンッ


…………あれ?カルテ?……………嫌になったの?…………帰ってきた……お帰り………………どうしたの?……


「妖精ちゃんたち!!!人間来なかった!?というかいない!?」


………人間?………2人来た………一人帰った…………倒れてる……こっち!!!……


「ありがと!!!」


ダッダッダッダッダッダッダッダ


……あの盛り上がってるところか!!!


……もう!雷帝のローブ微妙に土と同化して見にくいよ!!!変えてって頼もう!!!




………あれって……!?


ッ!!!血が!!!………急いで連れて行かないと!!!


「キクノハ先生!!!聞こえますか!!!返事してください!!!」


「……………。」


なんで?なんで、なんでなんでなんでなんでなんで!!!


なんで心音が聞こえないの?………なんでなんで!!!


あはは、なんでだろう……理不尽な怒りが湧いてきたや!!!


「ふざけんなよこんにゃろう!!!私に逃げろっていう暇あったら!!!お前が逃げてこいよ!!!この馬鹿野郎!!!いい加減に返事しやがれ!!!みんな待ってんだよ…………あんたの帰りを……待ってんだよ!!!このヘタレ野郎が!!!起きやがれ!!!生きて……生きて帰るんだよ!!!キクノハアアアアアアア!!!死の淵からだろうが戻ってきやがれえええええええ!!!」


ドゴォ!!!


「………グハッ!!!ハア、ハア、ハア、ハア……。」


息が………戻った!!!


「ア………?……カル…先…………!?なんで……!!!グッ…!」


「よく戻って来てくれたな、この野郎…。めっちゃ、滅茶苦茶心配したんだぞ!!!グスッ、死んでて………びっくりした……もう、もう、あの日常が戻んないのかと思った!!!怖かった、すごく、こわかった…。よかった、よかった、戻ってきてくれて……よかった。」


あはは、キクノハ先生のそんなに驚いた顔、初めて見た…。


「……俺がいなくたって、マリルやら刃やらがいんだろ?…。」


な………に……言ってんだ?この大馬鹿野郎は………!!!


「よく聞きやがれ!!!大馬鹿野郎!!!てめえの代わりなんざどこにもいねえ!!!私は!!!あんたが!!!キクノハ先生が!!!いいんだよ!!!なのに、なのに、他の奴がいる?私の日常は!!!一人だけだろうがその一人が欠けたら…それはもう、私の『日常』って言わねえんだよ!!!」


…………………声が震える。視界がぼやけてぼやけて見えない。ああ、きっと私今、ひどい顔してる。


「……カル先…。」


「お願いだから、お願いだからそんなこと言わないで…。例えばなしだろうが言わないで!!!」


「…………カル先………。ああ、そうだな。俺は馬鹿野郎だったよ。」


「ふ、はは。ちがうよ。キクノハ先生は、馬鹿野郎を超えてる大馬鹿野郎だよ。」


きっと私の顔、涙でぐちゃぐちゃだな。でも、でも、きっと、最ッ高に幸せそうな顔をしてると思う。


「はっ、ひでえ言い草だな。おい。」


「キクノハ先生にはこのくらいで十分よ。今まで心配かけたんだから、このくらいは大目に見なさいよね。」


「仕方ねえな。心配かけたみてえだしな。これでチャラにしてやるよ。」


「もう、それは私のセリフだし…。」


「………ふ、ふはははははははははははははは!!!」


「………ぷっ、あはははははははははははははは!!!」


ああ、気持ちイイ。幸せっていうか、なんか……わけわかんないけど……どう言ったらいいかわかんないけど………なんか、いい気持ち。


「さてと、いい加減にその傷直さなきゃ。今は止血しただけだしね。さあ、帰ろっか!!!」


「ああ。」


「転移」


シュンッ


「カルテ先生!!!キクノハ先生!!!よかった、無事で。こっちに、早く!!!」


「はい!!!」


よし、呪解師呼んだみたいね。これで治る!!!


よかった、誰一人欠けることなくて……。


きっと私のことを甘ちゃんだって、言う人もいるだろうけど……私は全てを、手の中にある全てを守りたい。


今の私には、それができる力があるから。


絶対にこの手からは何も落とさない。落とさせない。


私の邪魔をする奴は、私の仲間を傷つける奴は……許さない。絶対に


……学園長たちを傷つけた奴を見つけたら…………この手で八つ裂きにしてやる!!!


同じ目に合わせてやる!!!恐怖心を煽って、恐怖で自分から殺されたくなるようなことをしてやる。


覚悟しとけよ。犯人。泣いて縋ったって許してやんねえから。


………さあ、犯人をあぶり出しに行こうかな。


妖精ちゃんたちが見てるはずだからね。妖精ちゃんたちにけば一発だ。


シュンッ


………カルテ…?………またきた………どうしたの?……


「妖精ちゃんたちお願い。もう一人の人間の特徴を教えて頂戴!!!」


…いいよ。………男だよ。……髪長かったね…………きらきらしてた………短剣使い………黒かった……でも、キラキラ…


黒いのに……キラキラ?


意味わかんないなあ~。う~ん、もうちょっと詳しく分かんない?


……う~ん、……髪がキラキラ……服は黒………綺麗な顔だったよ………周りもキラキラ………


………髪がキラキラってことは金髪か銀髪ってことだよね。……綺麗な顔ね~。案外多いからな~。この条件の人間って。唯一の犯人に繋がる手がかりは、周りもキラキラってことなんだけど……なんだよ。周りもキラキラって…。光魔法?かな?それ以外思いつかん…。


う~ん、犯人は分からずじまいか~。


残念…。見つけたらギッタンギッタンのメッタメタにしてやるんだから!!!


私の怒りはマグマよりも煮えたぎってるんだから……。


ん?この小さな魔力は魔力の残留かしら?……もしかして…これって……犯人の!!!


……でも、他の人の魔力もかなり混じってて、わかんないや……。


クソッ!!!せっかく手掛かりになると思ってたのに…。でも、光の魔法の残留がない。


犯人は光じゃないってこと?残ってるのは雷と……これはキクノハ先生のね。


炎と………誰よ、森の中で火遊びした奴。考えて魔法使いなさいよね。


水と……回復系統の魔法かしら?少し光が混じってるような気がする。


風と……………これは妖精ちゃんたちの魔法みたい。魔法で飛ぶのを補助してるってわけね。


星?…………見たことないわね。怪しいわ…。犯人のかもしれない……。要注意ね。


鏡?……………………これも分かんないわ。……犯人のかもしれないけれど…、何だか転生者の気がする。


んと、闇ね………あら、ブラックホールなんて大規模な魔法をこんなところで使うなんて、本当にバカなのかしらね。


…………これは…………………聖属性…。怪しい、怪しすぎる。この属性ならキラキラしてるでしょうし…。


犯人かも!!!つまり、犯人は星属性か、鏡属性か、聖属性を持っているはずね。


珍しい属性だから、すぐにわかると思うんだが……。


………にしても髪がキラキラで、綺麗な顔の、男ね~…………。


…………………うん、ないない。ぜえええええええったい、ないわ~。あるわけない。あったら怖いわ。


……うん、ないない。ないよね?……ない。あの人はないわ~。


……まさか………………ね?







私はこの時気づいてなかったんだ。


魔力の残留の中に……………………


















氷の魔法の残留があったということに………。




私は、気づけなかったんだ……。

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