第二十話~彼女とキメラと学園と3?~
「り゛ん゛があああ!!!そ、そんな奴の方が、そんな奴の方が俺よりもいいのかよおおお!!!」
あちゃ~、刃が男泣き(?)してら~。
はあ、仕方にゃいにゃ~。
「ほら、泣き止んで?ね?刃のことも大好きだから。ほら、チーンしようね。よしよし。刃のこと好きだよ?好きじゃなきゃ依頼なんて受けないでしょ?うんうん、よしよし。ちょっと嫉妬しちゃっただけなんだよね?うんうん。ちょっと普段されないことをされて嬉しんんん、びっくりしただけだから。」
「う~、じゃあ凛華はどっちの方が好き?」
え~?ん~、今はまだ…、
「刃の方が好きだよ。」
幼馴染に情がわくのは自然なことだし、ちょっとやそっとじゃあ覆らないよ。
今はまだ、ね。
「ホントか!!!やったー!!!あ、凛華。俺の友達紹介する。」
機嫌直って良かった。てか、やっぱり来ちゃったか~。友達紹介。
出来ればやめて欲しいんだけど、差別しちゃうし…。
てか刃、抱きついてぐりぐりすんな。くすぐったい。
はいはい、甘えたいお年頃なんですか?もう、仕方ないな~。
あれ?もしかして、こうやって甘やかすから刃のヤンデレ度が悪化するのか?
って、そんな風に脱線しないで答えなきゃ。
「いや、いい。混ざってるから偏見と差別が、な……。お前の友達に不快な思いをしてほしくはないんだ。」
あと、情が移って特別扱いっていうのもしたくないし。
「んじゃあ、いいや。柔らかい、気持ちイイ。えへへ。凛華大好き!」
ああもう、かわいいな。ちょっと幼児退行してるけど…。
刃ったら急に私の好みの先生を見つけて焦ったのかな?
確かにマリル先生は好きだし、恋愛的感情に近いけど一番近いのは刃なんだよね~。
フフフ、ああ、かわいい。
「刃、私も刃のことが大好きだよ。」
〚(うわ~、なにあれバカップル?なんであそこまで言ってて付き合ってないんだよ!?)〛
{(と、見ていた人の思いが一致したのであった。)}
ん?何か聞こえたような……。んー、気のせいか!
「そういえば、刃。魔盲フラグ折った?もっと言うと妹・弟フラグ。」
「んーん、折ってない。ヤンシスになった。封印されてた魔力は解いた。」
ああ、やっぱり会わなくて良かった。魔盲なんて一番の侮蔑対象だし。
「そっか、刃。もうあっちに行きな。そろそろ始まるよ。」
「……………………分かった。」
そう言いながらなかなか立たないね。もう仕方ないな~。
「はあ、一緒に行こっか?」
「おう!」
うーん、今日一日は刃といないと拗ねちゃうかな?
今回は刃悪くないし…、一日くらいは一緒にいてあげようかな?
お、チャイムまであと3、2、1っと。
キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン
「ん、ピッタリ。」
え?なんで分かるのかって?……………かん?
体内時計が正確な人はそんなもんだよ。
「おし、全員いるな。これから魔武器の製作と使い魔の召喚をする。先ずは、魔武器の材料となる魔石を取りに来ーい!」
ん、始まったみたい。よいしょっと。
「じゃあ、またね。刃、頑張って。」
「…………。」ギュー
「刃?」
「…………………………。」
「や・い・ば・!」
「…………………………………おう。」
刃さん?手を離し、おい、離せって。
パッ
「………………。」ムスッ
あ~、拗ねちゃいましたか~。もう、おこちゃまだな~。
チュッ
「!!!」
「刃、頑張ってね?」
「おう!」
うん、チョロんんん、素直だね。おでこにキスしたぐらいで大袈裟な。
まあ、機嫌が戻ったんならいいや。このまま機嫌よく終わってくれないかな。…………無理か。
フラグが立ちそうな日だし。
「おい、カル先。」
えっと…………それって私のこと?かな?カルテ先生でカル先?
「私か?なんだっっっ!!!と、危ないだろう!ところで何を投げた?」
「あ?魔石。魔武器ねえだろ?」
ああ、気を遣ってくれたのか。投げるのはいただけないけどな。
「いや、ありがとう。だが、私にはこれがあるのでな。」
そう、種族が変わるたびに変わる武器がな。
一回変わる前に鑑定してみたらさ、こうなってた。
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結果:メタモルフォーゼ 状態:Z レア度:over
効果:変形 状態変化 スキル付加 魔法付加 材料コピー
説明:世界に一つしかないもの。
誰が作ったかも不明。何のためかも不明。どこからコピーしているのかも不明。
唯一分かっていることは、このものは現所有者であるカルテット・カルテリカ以外は使えないということだけである。
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うわーって思った。だから、魔武器いらないし。
「ふーん、分かった。でも、使い魔召喚はしろよ~?」
「ああ、気遣い感謝する。」
「…………おう。」
フフフ、少~し頬が赤くなってる。照れてるのかな?かな?
な~んだ、キクノハ先生にも可愛いとこあんじゃん。ニシシシ。
あ~あ、これでピシッとしてくれたらストライクゾーンなんだけどな~。
「凛華!凛華!見て見て!これ!俺の魔武器!」
「……………………………刀?流石小説王道脇役主人公。鑑定してもいいかい?」
「もちろん!」
ん、許可取ったし、『鑑定』
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名前:朧月夜 状態:SSS レア度:A
効果:絶対切断 対象設定 斬撃放射 魔力付与 魔法剣
説明:刃の魔武器として誕生した。これからもまあまあ成長する。
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なんだろう、説明の部分で台無し感半端ない。
「凛華?だ、ダメか?」
「ああ、いや、凄いよ。ただちょっとびっくりしただけ。」
うん、本当に凄いよ。よくある小説王道脇役主人公の魔武器としてよくある効果が結構あった。
「そっか、良かった。あ、そうだ。凛華は魔武器いらないのか?」
「ああ、うん。これがあるからね。」
「ふーん……。使い魔召喚は?」
ああ、見せあっことかしたかったのね。
「そこは大丈夫。ちゃんとやるよ。」
「そうか!!!あ、気をつけろよ?凛華。あそこのグループが怪しいから。」
「分かった。」
禁忌召喚しそうなグループってことか。
ん?禁忌召喚って何かって?それはな、ああ、丁度説明するみたいだ。
「使い魔召喚は使い魔と呼ばれる生涯のパートナーになるものを呼び出すものだ。決して奴隷ではないので、そのように扱うなよ?魔法陣に血をたらし、適当に言葉を言え。ただし、複数の血を混ぜ合わせて魔法陣に垂らすな。これは禁忌召喚といい、大体は死神が出て、禁忌召喚した者の魂を奪うが、最悪の場合は国が滅ぶ。キメラと呼ばれたものが出てきてしまうからだ。キメラとは様々な魔獣が混ざったものだが、キメラになった時の魂はぐちゃぐちゃだ。そのため酷い痛みが走り、暴れる。暴れた後は死ぬんだ。そんなことがないように、死神が召喚者の魂を使いキメラに無理矢理させられた魂を救うんだ。ま、俺は死神が出ても召喚者は助けないって事を覚えとけ。わかったら、召喚開始だ。」
うん、わかりやすい説明だ。
にしても……私はキメラだけど痛みとかないよね?
………………無理矢理じゃあないから?とか?
んー、わっかんないな~。
「おーい!凛華ー!早く早く!」
「わかった~!」
ま、別にそんなこといっか。特に問題ないし。
{この時ほおっておかなければ……、後にカルテはそう思うのだった。}
不吉なこと言うな!!!




