第十一話~彼女とキメラと賭け事と~
「だが、実力を試そうとしたとも取れる…。」
あっま!甘すぎるね。
「Ha!チカラを試そうとした?何のためのemperor examination(帝試験)なんだよ!なあ?それともなんだ?この私の力はinferior to?(劣っていると?)馬鹿にしてんじゃないぞ、shit!(クソが!)」
言葉が汚い?考えたらさ、悪役ってさ言葉汚いよね?
いいじゃん、汚くってもさ。異世界じゃ、丁寧語とかしか使えなかったし。
いや~、言いたいことを言えるって最高!
「英語?やっぱり日本人?」
そこ気になんのかよ。神帝。
「言いたいことを相手を気にせずに言うカルテ様も、素敵です!」
嵐帝、だんだん私のイエスマンになってきてない?
{完璧的になってますね。}
やっぱり?だよね。大丈夫かな?
{大丈夫でしょう。}
「で?結局、私を騙そうとしたってことでOK?(いいか?)なら、処罰は……」
「ストップ、ストップ!」
ギロッ
チッッ、なんなの?
「う、本当は処罰して帝追放どころかギルド追放なんだけど…」
「当然だ。カルテ様を罰そうとしたのだから。」
嵐帝、私の味方は君だけだよ。
「………。」
「The continuance?(続きは?)」
「………。」
イライラするな~!さっさとしてよ。
「どうか、正規の報酬+水帝の依頼の報酬10件で許してほしい。頼む!」
「なっ!どうして貴方たちが土下座するのですか!?悪いのは私です!私が、ギルドを馬鹿にしたことを許せなくて勝手にやったことです!カルテさん、申し訳ございませんでした!!!」
私…………悪役っぽい…。☆。*゜+.*.。(感´∀`動)゜+..。*゜+☆
今までのイライラは帳消しにしてあげるよ!
「Ha!謝ってすむならvigilante qroup(自警団)はいらないな!」
「分かっている!なんならできる限りのことを叶えて差し上げよう!だから、どうか!」
「ん?叶えて差し上げよう?貴様らviewpoint(立場)が分かっていないようだな?差し上げようって、strange(可笑しい)だろう?叶えさせて下さい。だ。You see?(分かったか?)
Dog of inferior breed(駄犬)。」
ここで絡繰杖を扇にして顎をクイッと持ち上げれば完璧だ!
「//////っ!!!」
あれ?なんで顔を赤らめてんの?
あ、怒りか。怒りだよね?見惚れたとかじゃ無いよね?
{完全に見惚れたようですよ?ポーっとしてますから。そして、嵐帝が親の仇を見るように睨んでますから。}
「くっ、炎帝め。カルテ様に見つめて貰い、更には微笑まれるなど……なんとうらやましい!変われるものなら変わりたい…!くっ、罪人をかばっているくせに…………後で覚えておけよ……!」
嵐帝ェ……。
「お、俺からも!頼む!」「私も」「俺らも」「僕も」「アタイからも!」
ふ~ん、愛されてんのね。水帝。でも、
「まあ、どんなことをされようと許す気なんてないけど。understood?(理解した?)」
「「「「「「「「「「なっ!」」」」」」」」」」
ふふ、これぞ悪役よね。
{まさに悪役というか、悪役令嬢って感じですね。}
でしょう?ま、男悪役と悪役令嬢を足して2で割った感じかな?
よく暴言吐いてるし。
「許す気なんてサラサラ無いのに必死に頭下げてThis is silly!(バカみたい!)」
「「「「「「「「「「……………。」」」」」」」」」」
「カッコイイ!」
嵐帝ェ…。
「………そこをなんとか!」
……あ、いいこと思いついた!
ねえ、ミディア?知っている?
人ってね、どん底にいた時に上に上がれる糸があったら、蜘蛛の糸でも上ろうとするんだよ?
{ほう?なるほど、そういうことですか。}
フフフフフフフ。
「フフフOK.じゃあ、Let us bet.(賭けをしよう。)私が勝てば処罰は全て私が決める。
Life or Death.(生か死か。)So,all.(そう、全てね。)」
「………俺達が勝てば、処罰は俺達が決める。と、いうわけか。」
「Yes.That's right!(当たり!)」
{具体的には、どうするんです?}
安心して、それも考えてあるから。フフフ。
「賭けの内容はvery easy!(至極簡単!)私のsecret(秘密)を言い当てて。もちろん、変えられないように紙に書いて嵐帝に渡そう。」
「あんたがルールを破るってえことは……」
ギロッ
「Ha!私がルールを破る?ハイエルフたちの顔に泥を塗るようなやつだと?」
「い、いや。疑って悪かった!!!」
「ふん、じゃあ。シュピッハイ、嵐帝。絶対に誰にも、私にも渡しちゃダメだよ?」
「はい!!!!!!!」
これでよし、フフフ。
ん?何を書いたのかって?
ンフフ~。内緒♪
「答えるまでに3日あげるよ。せいぜい頑張って。」
さて、わかるかな?私の秘密。
フフフフフフ3日後が楽しみだな~。
~noside~
フードを被った女エルフが出て行ってからギルドは暗い雰囲気が漂っていた。
「ふん、カルテ様がお優しくて良かったな。カルテ様が一言「このギルドを潰せ」と言えば、エルフはもとよりハイエルフ、エクストラエルフ様が集い物理的にも社会的にも潰すことが出来たはずだ。それを遊びに委ねたのだ。嗚呼、なんとお優しい!」
緑色のローブを着た者がそう叫んだ。
「………お前は『魔法の森姫』の味方…か。」
ギルドのマスターである男は、悲しそうにそうこぼした。
「当たり前だろう。もとよりその女が原因だ。カルテ様を騙そうなどとした結果がこれなのだろう?自業自得だ。炎帝よ。我は今、腸が煮えくり返っている。それこそ、こやつを我の手で殺したいほどな。」
炎帝と呼ばれたギルドのマスターである男はフードの奥でくすぶっている殺意のこもった瞳を見て、息を飲んだ。
「そう………か……。何故、そんなに肩入れする?」
恐る恐る炎帝は聞いた。
「ほう?では、人間は創造神に対して同じ立場の人間のように扱うのか?機嫌を損ねれば国が、大陸が滅ぼされてしまうかもしれないのに?それと同じだ。エルフにとって『森の守護神』様は人間にとっての創
造神なんだ。信仰している神を侮辱されて怒るのは当然だろう?」
「………だが、生きているぞ。きっといつか死ぬ。それでも神だというのか?」
「何を言う。『森の守護神』様に寿命など無く、老いという概念も無い。何にも負けぬ圧倒的な力を持つ。そのような方が死?ありえぬ。257才というのは眠りから起きて、だろう。」
自信満々に言った嵐帝。実際、それは外れていない、当たってもいないが。
257才というのはキメラになってから。だが、眠っていた『森の守護神』が死んだわけではない。
凛華の魂と融合したにすぎないのだ。
そう、凛華の魂は他の魂と融合している。
だから、汚い言葉を使っても何も思わなかった。あるモノたちが普通に使ってもいたから。
面白いことが好きになった。あるモノたちが退屈していたから。
これは、凛華でさえ知らないこと。
「では、我はもう行く。せいぜい頑張ることだな。」シュンッ
そう言って嵐帝は『転移』で出ていった。
「………すみません。私、私が!こんなことをしたから!」
「謝罪は後だ。今は、あいつの秘密を考えようぜ。」
「ああ、時間が勿体無い。謝罪は賭けが終わった後にしてくれ。」
「はい……。」
そうして知恵を出し合いながら、夕陽は沈んでいく。
ギルドに重い影を落としたままで、暗い夜が始まろうとしていた。
期限まであと、3日。




