4話「違和感と遭遇」
俺は、とりあえず家に帰ることにした。
いつも通りの通学路をいつものように帰る。
何も帰り道は変わっていない。
ただ、俺の見てる景色だけが変わっているみたいで他の誰も何も言わない。
明るく話しているような動き、悲しく泣いているような動き。
どれをとっても人間と言えてしまうのである。
ひとつ違うことというならば、いつも一緒に帰っていた新井といつもみたいな笑い話ができないところだ。
人形は多分命令されて動いているのだろう。
なら、俺に話しかけてくる新井の姿もあるはずだとは思う。
しかし、姿の変わった新井からは、何をされるかわからない。
何をするのかもだ。
だが、何事も無かったかのように日常が送られている。
学校の正門に立つ先生や、それに挨拶を返す生徒。
挨拶を返さず怒られているところまで完璧に学校である。
校舎の中にいつまでもたむろっているやつに、肩を組んで何処かへと向かうやつ。
俺にはすべて変にしか見えないのだ。
学校の外には一人のオバチャンがいた。
学校の近くに住んでいる人だ。
大体は昼に買い物にいっているようだが、たまに夜に買い物に言ってるらしく。
今日は後者の日だったのだろう。
普通の人、この状況を何も知らない人。
だから、この変化に気付かない。
生徒(魔法で作られた人形)が挨拶をすると、
「おかえりなさい」
といっている。
ほかのひとから見ると当たり前の風景なのだろうが、俺には不気味な絵にしか見えなかった。
とりあえず、学校から遠ざかることにした。
俺は、帰り道の途中に本屋があるのを思い出しよることに決めた
理由は簡単だ。
現実逃避というか、自分を落ち着かせるためである。
まぁ、これが夢ではないのか?と少し思うが、多分違うのだろう。
痛みを感じるし、この音や風、周りの動き、どれをとっても現実としか言えないからだ。
なら、違うことをして一度心を落ち着かせないと何かが壊れるような気がしたからだ。
商店街を通り、先日出たばかりの本を探しに本屋の中へと入る。
マンガ棚の方へと向かう。
最近はスポーツ系や頭脳対決が人気みたいだ。
向かう途中に学生とすれ違う。
ほかの学校の学生も来ているようだ。
まぁ、そりゃ当たり前か。
なんか、小さなことにも気にするようになっているみたいだ。
軽く避けながらマンガ本の方へと向かう。
その学生から3歩ほど離れた瞬間に気づく。
ー透けていない?!!!
これは多分、あいつの言っていた選ばれた者の1人なのだろう。
全くそうは見えないのだが。
その学生は立ち読みしていた。
ライトノベルだろう。
最近、学生の間で流行っているらしい。
表紙が少し恥ずかしいため俺は買うのをやめた本だ。
おすすめしてきた人は
「表紙より中身が大事!」
といっていたが、表紙が曲がった時は
「表紙が本のいのちなんだよ!!」
と言っていたのを思い出す。
一度くらい呼んで話したかったと思う。
今さら読んだところでそいつと話せる訳ないらのだが。
俺は本を買うのをやめ、出来るだけ早くこの部屋の外へと出ようとした。
その学生の横を通らないために少し遠回りして店の外へと出る。
そして、中を見るとまだライトノベルを読み笑っている姿が見えた。
とりあえず、近くのコンビニでもよろうと決めた。
ここから左側へと150mほど歩いたところにあるのだ。
まだ本に集中していたのでホッとして歩き出そうとしたその瞬間。
肩に誰かの手が乗る。
ゾッとして後ろを振り向くと。
いや、振り向いたが誰もいない。
「なんだ、ただの勘違いか」
そう言って前を向いて歩くと、何か壁のような物に当たる。
「痛っ!わりぃな、少し考え事してて...」
そう言いながら顔を上げた先には、先程まで立ち読みしていたはずの学生が俺の前に立っていた。
「あんた、誰?何者?なんでほかと違って透けてねぇんだ?」
と聞いてきた。
そして、少し後ろへと下がった俺にそいつは近づいてきた。
これからもよろしくお願いします