3話「ルールと魂」
「ようやく起きましたか?
状況はまだ把握しきれてないって感じですかね?
いや、まぁしょうがないんですよ
ほら、自分が魔法使えるのなんてわかんないでしょうし
あと、なぜそんな力を持っているのかも
まぁ、それもいずれわかるでしょうが
とりあえずいわなく...」
「ちょっとお前黙れ!
お前の話はどうでもいい
魔法なんて使えないし、そんなことはどうでもいいんだよ!
お前、俺の友達や先生に何をした?!」
「あれあれ?でも、その回復力や二階から落ちてかすり傷程度ってのはギャク漫画くらいですよね?
その時点でもう超能力者とかわらないじゃないですか!
そ、れ、と、友達や〜先生ですか?
簡単ですよ!
アナタ、自分の心に耳傾けてご覧なさい」
なんなんだこいつは?!と思いながらも俺はそいつの言う通りに、自分の中心へと心を傾けた。
「テキトーじゃダメですよ〜
深く深くですよ」
「うるせぇ!だまれ!お前のせいで集中出来ねぇんだよ!!!」
少しずつ、深く深く入っていく。
雑音が聞こえてくる。
あれだ、テレビの放送がなくなってながれている音みたいな感じだ。
うるさく耳に響き、拒絶しそうになる。
だが屈することなく深めていく......。
すると!
「助けてくれよぉぉぉ!」という声や「ここはどこなんだ?!」、「殺してくれよ!苦しい!苦しい!ぐるじい!」と、たくさんの声が聞こえてくる。
こ、これは聞いたことのあるような......。
もしかしてこの人たちは......。
そこにいる声たちに話しかけようとする。
すると、それがわかったかのように声が話しかけてくる。
「あなた、キラくん?
どこから話しているの?ここがどこか知っているの?
教えて!
助けて!
ねぇ、お願い!!オネガイィ!!!」
と流れ込んでくる。
うるさい、騒がしい、気持ちが悪い。
ついには吐いてしまった。
「それがあなたの飼っている心ですよ」
と青年がいう。
「あなたは魔法というのを知っいますか?」
「あれか?炎とかを出したりするやつだろ?」
「あれ?意外と冷静ですね
ほかの学校人たちなんて絶叫して気絶する人もいましたのに
まぁ、そんなのほんの一部ですが
吐いたばかりでそこまで落ち着いていられるのも一種の才能でしょうか」
「気にしてたら生きていけねぇだろうがよ
(あいつじゃあるめぇし)
てか、なんで俺なんだ
この中のやつじゃなくて俺を選んだ?!」
「まぁ、マギってマンガをイメージするとわかりやすいかな
マギに選ばれた勇者様的な〜」
「お前テキトーなことに言うなよ
なんで、俺が生き残った
なぜ、こいつらは俺の中にいる
どうしたら元に戻る」
「元に戻る?方法はありますがあなたじゃ無理ですよ」
そう言って底のない笑みで彼は笑う
なんつーか適当そうで恐ろしそうだ
「あと、あなたが選ばれた理由ですか...まぁ、簡単です
才能があるからですよ」
「才能?」
「はい、この学校の誰よりも才能があります!しかし、未だに魔法も使えないとなるとどうしたものか」
「まて、なんの才能だよ」
「せ、ん、と、う、の、才能ですよ
なんというか、どぶぁ!っていうか、ヒャア!っていうか、そんな感じです」
体を大げさに左右に振り動く。
歌舞伎みたいに少し見える。
というか、説明が下手すぎる
「それより、たすけることはできるのか?
どうすればいいんだよ?」
「簡単です、勝ち抜けばいいんですよ」
「どういう意味だ
どうすれば助かる?」
「それです!そう聞いてくださることを待ってましたよ!
戻すためにはどうしたらいいか?
それは簡単ですよ!
これから、1週間に数回突然戦闘が始まります
とりあえず、この聖なる証を与えようではないか」
と王様のような口ぶりで渡す
それは、小学生が防犯用で持つようなブザーのようなものだった
「これが鳴り出した瞬間に戦闘が始まる
各学校の代表者同士で戦い、そこで勝ち上がり一人になるとその力が貰えるのだ
まぁ、どれほどの時間がかかるのか、いつ鳴るのかはわからない
鳴るのはお楽しみ!ということで
その上、学生が死んでいたんじゃほぼ一瞬でどこにいるのかバレてしまうでしょう
だから、魔法で学生らしい人たちを街にはばらまいておくことにしました
それと、学校にはいつものようにこないと変化に気づかれてしまうので」
そう言って青年は左手をあげる。
そして、なにか言葉を唱えた。
すると彼の手が光だし、それを地面へと叩きつける。
すると、地面から人の形をした何かが出てくる。
しかも、1体どころではない。
数百もの数がどんどん出てくるではないか。
「あぁ、これが今いった学生の代わりになります
他のなんにも知らない人たちには都合のいいように見えるよう魔法が施してあります
ただ、あなたやほかの学校の代表には違ったように見えるでしょうけど」
言われた通り、俺の目の前に映るこれは少し透けている。
中に紫色のホヤのようなものが光っている。
顔もよくわからない。
というより、人間なのか?と疑いたくなるほどである。
「この人形さんにイメージを与えてみてください
例えばですねぇ、あなたが好きだったはずの友梨さんなんてどうでしょうか?」
「ななな!!いや、別にす、好きじゃねぇし、てかお前なんでそんなことしってんだよ!」
こいつ、ホントになんなんだよ。
どこまで俺のこと知ってんだよ。
「どこまででも知ってますよ?
だって才能があるって見極めるにはあなたというものをずっと見ていないとわからないですから」
「ストーカーかよ!!」
「まぁ、そう言わずイメージしてみるといいですよ
目を閉じて、彼女をイメージ!イメージ!!」
言葉の後ろに☆でもつけるかのような言い方だ。
言われたとおりにイメージをする。
すると、頭の中にある友梨との思い出が出てくる。
初めて映画を見に行ったことや水族館でデートをしたことなど。
「イメージできたみたいですね
なら、目を開けてご覧なさい」
そう冷静に少し怖い声で青年がいう。
目を開けると、そこには先程までの人形はおらず友梨の姿があった。
思わず抱きしめてしまう。
それと同時に自分の頭から何かが消えてしまう。
「あ、言い忘れていました
イメージして人形に移したものは、データとなりその本人の記憶から消えてしまいます」
俺は多分ここで怒るべきなのだろう。
しかし、記憶から消えた人のことなどわからない。
怒ることすらできない。
今抱きしめたこの相手のことすら誰なのか思い出せない。
当然、抱きしめていた手を離す。
「おい!!
記憶を失ったって、これはどうすればいいんだよ!」
「ゴチャゴチャうるさい人ですねぇ
知らない人のこと信じて勝手に実行するあなたが悪いんですよ
戻す方法ですか?
一人目の相手に勝てたなら私が直々にあなたの記憶を元に戻してあげましょう
というかあなた、まだ魔法が使えないんですか?
それでは多分誰にも勝てませんよ?
一体あなたの能力はなんなんでしょうかね〜
それで勝つあなたの姿が見たいものです」
そう言って青年は突如として消えた。
続きを読んでくださりありがとうございます!
沢山の人に読んでいただき光栄です
これから先もたくさんの人に読んでほしいので、できれば周りの人達に紹介してくださると助かります
何とぞこれからもこの作品を宜しくお願いします