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01.
「はあ…本当にすまないね詩音。」
ベッドに横になりながら祖母が申し訳なさそうにこちらに顔を向けながらそう口にする。
「大丈夫だよ、おばあちゃん。しばらくの間は家の事は心配しないでゆっくりして。入院に必要なものは後から持ってくるから。」
今も続いているのであろう腰の痛みに眉を顰めている祖母に大丈夫かと声をかけながら今後入院するにあたり必要になりそうな物を考え、脳内でメモをしていく。
服とタオルと…歯ブラシはこの間買ったものがあったはず。スリッパやコップは百円ショップにも売っているだろうし他には……。
――ああ、そうだ蔵の掃除がまだ残っていたわ。
祖母が腰を痛め、病院に来るきっかけとなった出来事を思い出す。