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第二話 急募:ドラゴンを倒せる人『請負歩合:尚、死亡時の保証はありません』

 金髪碧眼の前世ではお目にかかったことの無い美少女様が俺に依頼した。


「私の国のためにドラゴンを倒してはいただけないでしょうか?」

「嫌だ」

 即答だった。


 出来る、出来ない以前の段階のお話だったからだ。

 このお姫様、自分の口にしている依頼の内容を理解していないのか?

「国の為にドラゴンを倒して来い、もちろん報酬は後払い」

 ハローワークの掲示板にでも『請負』の仕事で貼り付けておけば十分な話じゃないか?

 『尚、死亡時に一切の保証金等は支払われません』という一文も添えてな。

 誰が受けるかアホウめ。


「なぜ、お嫌なのですか? 出来ない、無理だと言う返事はよく聞かされましたが、嫌だと断られたのは初めてです」

「まず、ドラゴンに恨みが無い。次に、依頼に従ってドラゴンを倒して得られるものが無い。最後に、頼み方が気に入らない」

 まず見知らぬドラゴンに恨みは無いし、見知らぬ国民のために命を懸ける義理もない。

 次に、ドラゴンを倒せば英雄だ。

 国家存亡の話を抜きにしてドラゴン殺しの英雄として扱われる。

 ドラゴンは倒せる奴が倒したい時に倒して、あとは何処かの国でチヤホヤされれば良いだけの話だ。

 だから、この依頼にはそもそも報酬が存在しているようで存在していない。

「頼み方……伏してお願い申し上げればよろしいのでしょうか?」

 金髪碧眼の美少女の土下座姿というのは捨てがたいものがあるが、そこまで倒錯的な趣味を俺は持たない。

 ……持たない? はずだ? と、思うよ?

 ちょ、ちょっと想像したら股間にきたけど。

「まずは報酬。依頼をするならば報酬について明言すべきだ。依頼を受けた後に小銭を掴まされては話にならない。次にやはり報酬だ。ドラゴンを倒した者は英雄扱いされる。国を挙げて英雄扱いされるのは当然の権利であって報酬ではない。だから、態々依頼するのであれば英雄扱い以外の報酬を用意しなくてはならない。最後もやはり報酬だ。国家存亡の危機ということであれば、国家存亡に見合っただけの報酬でこそ釣り合うというものだ。国家を丸々一つ救っただけの報酬を姫君様は支払えるのか?」

 セレスティアル姫は首をゆっくりと横に振った。

 そして俺は肩を竦めたて首を縦に振った。

 こうして交渉は決裂した。


 ◆  ◆  ◆


 詳しく聞けば、とてもとても楽しいドラゴンさんのお話だった。

 ある日、ある晩、満月の下、バルコニーで月を眺めていたセレスティアラ姫。

 セレスティアラ姫は、今、この場にいるセレスティアル姫の姉君だそうだ。


 そこに現われたのは月を覆い隠すほど巨大で夜空に溶け込みそうな漆黒のブラックドラゴン。

 聞けば、月を眺めていたこの国の第一王女、セレスティアラ姫に一目惚れをしたそうだ。

 そして、ドラゴンにとって己の武威を見せ付けることは求愛行動であった。

 そのため、じつに紳士的に自らの武威を奮ってみせて城下町と城をズタボロに破壊しつくした上で、セスティアラ姫を自分の妻に迎えたいと求婚した。

「これより百晩の後、新妻として迎えにくるゆえ用意しておくように」と姫に言い残して漆黒のドラゴンは去った。

 なんて男気溢れるドラゴンの求愛行動……男とはかくありたいものだ。

 そして、明晩、漆黒のブラックドラゴンはまた現われた。

 なんでも我慢が出来なかったそうで「未来の妻の顔を見ながら毎晩二人で語り合いたいのだ」と恋する寂しがり屋のドラゴンは語ったそうだ。


 ……もう、色々と台無しだよ。


 だが、城下町と城を破壊したブラックドラゴンが毎晩毎夜に渡って現われる状況は城内城下の人々に実に素敵な混乱をもたらした。

 惚れた女に格好いいところを見せたい。

 だから暴力を奮って自分の力を見せ付けた。

 その気持ちは解らなくも無いが、カルチャーギャップのためか、何から何まで一切合切の全てが間違っていた。

 そうやって最初の求婚騒動からはや三十日。

 国はその国力を総動員してドラゴンへの対策を練ったが、空を飛ぶドラゴンに抗う術などなく、巣穴の中に飛び込んでこれを滅ぼせる豪傑や大英雄も居なかった。

 ドラゴン相手には軍隊という数で押すことも適わない。

 天空を飛ぶドラゴンに剣は届かないから。

 天空を飛ぶドラゴンに槍も届かないから。

 天空を飛ぶドラゴンに弓も届かないから。

 僅かに魔法だけが届くのだけれど、高速で飛翔するドラゴンに命中させる事は叶わない。

 さらに、人の扱える魔法などドラゴン相手には焼け石に水だ。

 ドラゴンの怒りの呼び水にはなれるかもしれない。

 だが、ドラゴンのブレスはただ上空から地上へと重力任せに落ちてくる火炎の塊であるがゆえに、地を這う人間の軍隊はドラゴンに対して無力であった。


 ならば、大人しくセレスティアラ姫を差し出すか?


 それは国威と民意が許さない。

 周辺諸国に指差され笑いものにされてしまう。

 ここで言う笑いものとはただのジョークではなく、国家の存亡に関わる意味での笑いものだ。

 どこかの誰かに殴られた。

 ならば、そいつを殴り返さねばならない。

 でなければ、さらに別の誰かにも殴られることになるのだ。

 イジメかっこ悪い。

 ……どこの中学生男子だよまったく、とは思うものの、調停役の居ない国々とはそういうものなのだろう。

 殴り返すだけの力があるのだと内外に王家は見せ付けなければならないのだ。

 ドラゴンに姫を差し出した王家の力は内側で大きく傾き、ドラゴンに姫を差し出した国の国威は外側で大きく傾く。

 そして馬鹿正直にドラゴンと争えば、ドラゴンが姫を一人残して全てを滅ぼしてしまう。


 これがセレスティアル姫の語ったこの国の恥部と暗部であった。

 長女セレスティアラ姫、次女セレスティアル姫。

 名前が似ていて紛らわしいが、日本人で言うなら太郎と次郎くらいの違いがあるようだった。

 外国人からすれば太郎と次郎も紛らわしいものだろう。


 さて、ここまで聞いた上での俺の返事が『NO』、国家の暗部を聞いた俺の命も『NO』かもしれない。

 お姫様は将としては無能でも、周囲には実に有能なる騎士に魔法使いの少女から淑女たちが居た。

 美しき姫の隣には美しき男性騎士が相場なものだが、貞操を懸念してのものか、そういったことは無いようだ。

 単純な腕力以外の力が存在するこの世界、男女は実に平等な存在であるようだ。

 日常生活から戦場に至るまで男女平等。

 夫婦喧嘩まで視野に入れるとこの男女平等は末恐ろしい。


 セレスティアル姫が死刑執行のサインを出したなら、護衛の誰かが動くだろう。

 だがそれは、セレスティアル姫がサインを出さなければ、護衛の誰もが動けないということだ。

 それがゴブリンの集団に敗北した理由でもあった。

 だが、仮に、もしもサインが出た場合、その瞬間セレスティアル姫の最も近い距離に居るはずの人間は俺だ。

 ホブゴブリンの持っていたナイフ、『命名:ホブ丸』は背中に隠してある。

 この世界におけるレベルの差による能力差は解らないが、初動において負けるつもりは無い。

 なにしろ、今この場は横倒しになった馬車を無理矢理に立てなおした六人乗りの馬車内。

 仮初の謁見室なのだから。

 外の誰かが扉を開けるより、姫君の細首にホブ丸を押し当てる方が早いに決まっている。


 ◆  ◆  ◆


 すいぶんと長い沈黙があった。

 ようやく口を開いたのはセレスティアル姫。

「……では、一つお尋ねしたいのですが、なぜ、依頼も無く私達をお助けになられたのですか?」

 ゴブリンの戦奴達が見てられなかったから、とは言えないよな。

 戦士として殺される覚悟が出来ていない者を戦場に送り出す、この非道に怒りを覚えたから、とは言えないよな。

 軍曹殿の優しさ、今ではしっかりと理解できております! サー!

 ただし、殺された後の再訓練はゴメンです! サー!

「依頼が無くても報酬をガッポリいただけると思ったからだ。一国の姫の命、それから、護衛の十二名の乙女の命、それくらいなら支払えるだろう? それでもそれなりの報酬額になるだろうがな」

 最低でも爵位、表沙汰にできないなら、それに見合っただけの金や銀が踏み倒す気さえなければ支払われるだろう。

 問題は一国の王女でしかない彼女に支払能力があるかどうか、これが障害になる。

 彼女はあくまで王女、姫君、動かせる財産に権力は国主そのものに比べれば微々たる物だろう。

 爵位も勝手には与えられまい。

 亡国となる予定の国の爵位に縛られるなどこちらから願い下げだから、戴くものだけ戴いて去って行くがな。

 セレスティアル姫はしばらく考えた後、仕切り窓を開けてこう命じた。

「スピカとシャウラをここに」

 ん? これは……サインか?

 ミリ単位で身体を動かし、最速で首を狩る姿勢に近づけていく……。

「はい、姫様。スピカ、ここに参上いたしました~」

「はっ、姫様。シャウラ、同じくここに参上いたしました」

 扉は開けられないままに、仕切り窓ごしに話は進んだ。

「では、この二人を貴方に差し上げます。部下として扱うのはもちろん、寝台のなかで女として扱う事もお望みのままに。スピカ、シャウラ、両名は今この時より、この殿方に絶対の忠誠を捧げなさい」

 ……え?

 あれ、これって、軍曹殿より学べなかったあのトラップ?

「はい、スピカは今この時より、この殿方に絶対の忠誠を誓います」

「はっ、シャウラは今この時より、この殿方に絶対の忠誠を誓います」

 ……や、やられた。


 これは蜜色の罠。……ハニートラップ。

 あぁ、確かに、軍曹殿にも教えられない罠が御座いましたなぁ! サー!

 教えられても困りますけどね! アッー!


 ◆  ◆  ◆


 スピカは血を洗うためのお水をくれた銀色の長い髪に紫の瞳が愛くるしい猫のような可愛い魔法少女さんでした。

 シャウラは内面性が現われた金の長い髪に澄んだ蒼い瞳が綺麗な「くっ殺」が似合いそうな子犬のような乙女騎士さんでした。

 二人を両隣に並べて歩くと、童貞男子には少々歩き辛いやんごとなき事情が現われてしまうほどの美しい少女達でした。

 肌色の、柔らかな、美しい、肉の鎖。

 異世界に来て奴隷を購入するどころか、こっちが奴隷にされかねぬわっ!!


 副業の勇者が語ります。

「じゃあ捨てれば?」

 本業のコマンド隊長が語ります。

「任務には使えるだろ? いざとなれば囮にも使えるし、男性相手の暗殺役にも使える」

 俺の本能が叫びます。

「ベッドの中でちやほやされたいよぉぉぉぉぉ!!」

 多数決の結果2:1で現状維持の方向で進むことになりました。


 なるほど、姫君が直接出向いてスカウトする理由がここにあったわけか。

 軍事の才能は別として人心掌握の術は王族のお手並み。王族、さすが汚い。

 とりあえずブラックな身体にピュアなハートを兼ね備えたドラゴンの本格的な襲来はまだ二ヶ月後、それまでは忠実な部下として二人共に働いてくれるはずだ。国が亡国となってまだ忠誠を誓ってくれるとまでは思わないが。

『パパパパーパーパーパッパパー♪』

 おや? 懐かしい音だ?

『肌色の奴隷の称号を入手しました』

 なぁぁぁぁぁぁっ!?

 ステータース表示!! 略式出てこんかいっ!!


 ◆  ◆  ◆


 ステータス表示(略式)

 名前:ナナシ

 職業:コマンド

 副業:勇者 斥候 暗殺者 オゾマシキモノ(偽) 捕食者(偽) 傭兵 人買商人

 Lv:6 EXP:28/100

 HP:1/1 MP:100/100

 スキル:アナライズ スニーク サイレントムーブ アンブッシュ サプライズアタック トラップ テイクダウン タクティクス エキスパートオピニオン サイレントキル チェインキル 咆哮フィアー

 称号:死者冒涜 オゾマシキモノ 捕食者 男の敵 女の敵 肌色の奴隷


 ……副業が、増えておりました。

 斥候……斥候、したね。

 暗殺者……暗殺、したね。

 オゾマシキモノ(仮)……血を被って狂ったふり、したね。

 捕食者(偽)……ホブゴブリンのトロフィーを片手に「キシャアア」とか声あげたね。

 傭兵……戦闘後に戦闘報酬の交渉を行なったね。

 人買商人……そして美少女を二人ほど交渉の末に押し付けられたね。

 納得納得。


 称号は、

 死者冒涜……ゴブリンの死体を囮に使ったね。

 オゾマシキモノ……上半身血塗れでゲラゲラ笑ってたね。

 捕食者……新鮮なトロフィーをゴリッともぎ取っちゃったね。

 男の敵……美少女を二人も両脇に侍らせていたら男の敵だよね。

 女の敵……美少女を二人も両脇に侍らせていたら女の敵だよね。

 肌色の奴隷……そうそう、下半身に正直な判断しちゃったね。

 納得納得。


 ……出来るかぁぁぁぁぁぁっ!!

 既に勇者成分が1/7に成り下がってるじゃないか!!

 あと、スピカとシャウラには忠誠を誓われたはずなのにこっちが奴隷なのかよ!!

 ホブゴブリンごめん!! やっぱり男は男の男に忠実な生き物だったよ!!

 女のために奴隷を使って馬車を襲うくらい朝飯前だったよ!!


 ◆  ◆  ◆


 あまりの自分のステータス表示の惨状に疲れ果てたので、王都の宿屋で休むことにしました。

 俺は個室。スピカとシャウラには二人部屋を。

 セレスティアル姫様とは近くに居るだけで謀略の魔の手が伸びてきそうなので、戦略的撤退を行ないました。サー!

 軍曹殿とはまた違った形の強敵だ。戦力分析が及ばない相手は恐ろしいものですな。サー!

 あと、忠実な部下になったはずの美少女のお二人は、任務のことを十分以上に理解しているのかいないのか、隙あらばセックスなアピールをしてくださいます。

 それも、物凄くギコチなかったり間違っていたり。

 見た目は超一流。動きは超三流。

 これもギャップ萌えというものか?


 ある服飾店に入った時のことだ。

 顔を火のように真っ赤にして恥ずかしがりながら、くっ殺乙女騎士のシャウラが己の胸に『やる気を出しすぎて色気がない下着』を押し当てて「ど、ど、ど、どうかな? あ、あ、あ、主さまの、き、き、き、気に入られる感じかなななぁっ!?」などと、下着売り場で聞いてきました。

 ……なんでしょう、他人が恥ずかしがっていると、見て居るこっちが恥ずかしいを通りこしてやるせない気分になってしまいます。

 俺は、生暖かい視線で、優しく見つめておきました……うんうん、努力賞ね。


 銀色猫さんのスピカは「んっ」と言って、水色の布きれを俺に押し付けました。

 あぁ、パンツですか。水色の。

 そして、俺に、これを、購入せよと?

 間違っている。君のセックスアピールは、とてもとても間違っている。

 水色の布地を片手に恥ずかしい思いをしながら支払いを済ませると「んっ」とスピカに返しました。

 ニヘラと顔を緩ませて喜んだので、頭を撫でておきました。

 猫、可愛い。


 この違いは一度、三人一緒の部屋で眠ったとき如実に解りました。

 スピカは、俺の寝台にスルリと潜り込んできて、コロンとなって、寝ました。

 スースーという寝息がすぐにする、とても寝つきの良い子でした。

 シャウラは、俺の寝台にガタガタと侵略してきて、ガツンと横になって、起きていました。

 えぇ、夜が更け、朝になるまで、ズーッと目をギンギンにして起きていました。

 俺は、色気とは全く無縁な状態であることに気付き、さっさと寝ました。

 この日以来、寝る際の部屋は別々です。

 主にシャウラの健康と美容のために。


 セレスティアル姫様、人選を超間違えてる。

 あるいは、これこそがトラップの真価なのか?

 謀略の道を究めるのは遠い遠い先になりそうです。サー!


 ◆  ◆  ◆


 さて、王都に宿を取った理由。

 それはブラックドラゴンにエキスパートオピニオン(鑑定)を仕掛けるためだ。

 ある意味、先払いされてしまった美少女二人の報酬分、出来ることはせねばならない。

 なにしろ、この国はスピカとシャウラの生まれ故郷なのだから。

 ……やられたな。こうも簡単に、赤子の手を捻るように行動を縛られるとは情けない。

 戦術単位でしかモノを考えて居なかった自分が迂闊でありました! サー!


 しかし、毎晩毎夜、本当に来るのですな。

 恋愛にはマメなブラックドラゴンさんだ。

 最初の出会いさえ間違えなければその恋も実ったかも知れないのになぁ。

 夜空の一角を覆い隠すような巨大な闇。

 それは、黒い翼と黒い鱗に包まれた漆黒の竜。

 器用にもバルコニーの近くでホバリング状態をキープして、麗しの姫君との対話を楽しんでいるようだ。

 『セレスティアラ姫』

 このプロヴィデン王国の第一王女にして渦中の姫君。

 バルコニー上の彼女の容姿は、遠目であり星空の下の薄暗さに加え、ブラックドラゴンの落とす影によって見えづらかったが、金の髪に確かに整ったと思われる容姿、そして巨乳。

 なるほど、あのセレスティアル姫の姉なだけはありそうな美しさを備えているのだろう。

 まぁ、姫様のことを確認することは事のついでであり、本命のブラックドラゴンの図体は大きすぎて見逃しようが無い。

 初日以降はこちらから攻撃を加えない限り、反撃こと求愛行動を示さないそうなので、安心してエキスパートオピニオンを発動させる。

 俺の持つスキルの中で唯一MPを消費するスキルだ。

 他のスキルはそもそもスキル以前に身体に染みこませた身体運用術だ。


『鑑定対象:ブラックドラゴン

 主に山岳地帯に生息。巨大な洞窟を住居とし、繁殖力は旺盛。

 しかし、個体の成熟までに三千年の時を必要とするため個体数が増えすぎることは滅多にない。

 魔力を利用した高速かつ高高度の飛行能力を持つ。

 火炎、毒、冷気、諸々のブレスの形状をした魔法攻撃と、その巨躯を……』


「ぐがああああああああああっ!!」

 頭に激痛がっ!!

 なんだ? これは!?

 ステータス!!


 ◆  ◆  ◆


 ステータス表示(略式)

 名前:ナナシ

 職業:コマンド

 副業:勇者 斥候 暗殺者 オゾマシキモノ(偽) 捕食者(偽) 傭兵 人買商人

 Lv:6 EXP:28/100

 HP:1/1 MP:0/100

 スキル:アナライズ スニーク サイレントムーブ アンブッシュ サプライズアタック トラップ テイクダウン タクティクス エキスパートオピニオン サイレントキル チェインキル 咆哮フィアー

 称号:死者冒涜 オゾマシキモノ 捕食者 男の敵 女の敵 肌色の奴隷 挑戦者


 MPが0、つまり、情報を読み取るための魔力が不足した訳か。

 そう納得した俺は、ブラックドラゴンと姫様の談話を観察できる屋根の上で失神した……。


 ◆  ◆  ◆


 足りない。Lvが足りない。MPが足りない。

 だから、情報が足りない。

 一晩失神したおかげでMPは70/100まで回復したが、いかんせん屋根の上の一夜、CONコンディションMENメンタルにSAN(正気)までもが大幅に低下していた。

 まだ、ブラックドラゴンが指定した約束の期日までは二ヶ月ある。

 その間に出来ることをやっておこうではないか。

 この国の国軍も、その二ヶ月の間に対策を練りに練り上げることだろう。

 忌々しいことだが、セレスティアル姫が俺に『肌色の鎖』をつけたのもその一環なのだろう。

 スピカとシャウラの両名にその真意まで伝わっていないことが二重に忌々しい。

 完全に解っていて、そして、俺を死地に向かわせるつもりならば『肌色の鎖』は簡単に引き千切れる。

 だが、二人は曖昧にしか理解しておらず、俺をただこの国に繋ぎ止めて置きたいくらいにしか思っていない。

 スピカにいたっては完全に俺に懐いているだけだ。

 だからこそ、忌々しいことに『肌色の鎖』が引き千切れない。

 この苛立ちこそがMENやSANにダメージを受けた症状なのだろう。

 きっと、通常のステータス表記では理由も解らずにただ怒り散らしていたことだろう。

 ダメージコントロールパネル方式だからこそ、自分の状態を正しく理解できた。

 今はただ、回復に努め……いや、そんな余裕があるものか……。

 今日出来ることを明日に回したなら、その明日は永遠にやってこない!!

 Lvを上げる=モンスターの殺戮に務める以上、俺の行く先は一つ!


 そうだ!! 俺の行く先は定番の『冒険者ギルド』だ!!



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