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ピンチフラグが立ったかも

「いーそーがーしーいー……」

 桐羽は忙しい日々を送っています。

 安息市で大量注文を受けてしまったしわ寄せが今になって訪れています。

「あうー……」

 大量生産大漁精算……と訳の分からない言語を頭の中に思い浮かべながら、桐羽はひたすらにハンマーを振るいます。

 材料は芽久琉と正宗が揃えてくれたので、あとは桐羽が製品を作るだけ、という状況になっています。

 幼女ツインズはとても優秀であり、たった二日で材料を揃えてくれました。

 優秀すぎて桐羽だけに仕事が溜まっている状況です。

 手伝ってくれる気など微塵もないようです。

 というよりも鍛冶スキルを持たない幼女ツインズに手伝えることは無いのです。

 悲しい現実がそこにはありました。

「あーつかれた!」

 一段落付いた桐羽は作業場で寝転がります。

 もう煤で汚れるとか服が皺になるとかどうでもいい気分です。

 もちろん期限を設けているわけではないので急ぐ必要はないのですが、桐羽の性格上、いつまでも仕事を溜めておくのはストレスになってしまうのです。

 結果として、真面目に取り組む疲労者が出来上がります。

「お疲れ様です、ご主人様」

 セシアがお茶を持ってきてくれました。

 桐羽はむくりと起き上がってお茶を受け取ります。

 喉が渇いていたので丁度いいところででした。

 ついでに美人を拝めて目の保養にもなります。

「つかれたよー、マジで」

「そのようですね。おっぱい揉みますか?」

「……揉まない」

 セシアもこんな軽口が言える程度にはこの家の雰囲気に染まってきたようです。

 まあ幼女が四十八手指南書とか読んでいるお家ですから、そりゃあメイドも染まりますよね。

 桐羽としても揉みたいのは山々なのですが、うっかりすると幼女ツインズにバレて半殺しにされかねないのでここはぐっと我慢です。

 異世界に来て二ヶ月近くが経過しましたが、この間桐羽は下半身的欲求を全く解放していません。

 解放しようとすると幼女ツインズが潰しにやってくるので迂闊なことが出来ないのです。

 仕方なく注文を処理すべく鍛冶仕事に従事しているのですが、しかしやはり人間の三大欲求は馬鹿に出来ません。

 溜まります。

 たまってたまってたまります。

 吐き出したい欲求がむらむらします。

「……むらむらする」

「末期ですねぇ、ご主人様」

「うー」

「いっそのことお嬢様達に手を出してみてはいかがですか?」

「……勘弁してよ」

「お嫌いなのですか?」

「いや、好きだけどさ」

 好きでなければここまで一緒にやってきたりしませんよ。

「でもせめてあと五年……」

「あと五年、ご主人様の下半身が無事だといいんですけどねぇ」

「無理」

「正直ですねぇ」

 まあ男の性欲を我慢しろと言う方が無理でしょうね。

 本能ですし。

「まあご主人さまにその気がないのでしたら、お嬢様方を焚きつけてみましょうか」

「やめてーっ!」

「いいじゃないですか~。面白そうだし」

「いやいやいや! 幼女に手を出すって色々な意味で終わってるから!」

「? 貴族の方達にとってはよくあることですよ。幼いほど価値が高いらしく、結構な人数を囲ってらっしゃる方もいますし」

「マジか!?」

 異世界ルールマジぱないですね。

 まあ海外にも幼女●●はアリという場所もあるので異世界ならば普通にアリという感じなのかもしれませんが。

「幼女を愛人として囲ってんの!? 何人も!?」

「ええ。多いところでは何十人という幼女がいますが」

「マジかっ!?」

 異世界怖い! と心底震え上がる桐羽でした。

「ですからその事をお嬢様がたに教えて差し上げれば、きっと面白いことになるかなあと思いまして」

「やめてやめてやめてお願いプリーズ!」

 異世界ルールではオッケーでも桐羽の倫理観がまだそこまでふっきれていません。

 幼女に手を出すのはノーなのです。

 いえもちろん二人のことはとても大切ですが。

「うっふふふふ~♪」

「セシア~!」

 セシアは鼻歌混じりにお盆を持って出て行ってしまいました。

「………………」

 桐羽は近い内に幼女ツインズに襲われるかもしれません。

「……襲われるぐらいなら襲うか? いや、それは駄目だろう。でも襲われるのも嫌だなぁ。だからといってあいつらが力ずくで事に及んだら間違いなく僕が負けるし……男のプライド的には襲う方が……でも地球人の倫理的にはそれはちょっと……」

 と、思考が無限ループに突入しつつあります。

「だあーっ! 仕事だ仕事! 仕事して現実逃避だーっ!」

 結局、鍛冶仕事に打ち込むことで現実逃避するのでした。

 残るノルマはあと五十本ほど。

 同型の武器を集中して生産することで一日五本はなんとかクリアしていますが、それでもあと五十本あるのです。

 仕事が山積みなうちは現実逃避が可能です。

 ……仕事から逃げたかったはずなのに、いつのまにか仕事を逃げ道にしている桐羽なのでした。



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