レッツ異世界
チート過ぎて地球世界で生きていくのは難儀だからみんなで異世界にお引越ししましょう計画発動から一週間。
みんなそれぞれで準備を進めています。
一週間後には桐羽のマンションにみんな準備万端で集まっていました。
「って、お前らなぁ……」
そして準備万端な二人を確認してから桐羽が呆れます。
「どうして武装オンリーなのさ。着替えとか保存食とか持っていこうとは思わないわけ?」
いつも通りの普段着にいつも通りの武装万端状態で準備万端と威張っている幼女達を前にして、桐羽がツッコミを入れました。
「いや。別に必要ねえだろ。だってキリの創った『旅の鍵』は異世界とこっちの世界を自由に行き来できるんだろ? だったら調査段階ではお腹が空いたらこっちに戻ってくればいいし、着替えたくなったらやっぱり戻ってくればいいじゃんか。大荷物を持っていくよりも身軽な方が調査ははかどると思うぜ」
ジャケットの内ポケットではなく両腿にハートレスを装備した芽久琉はそんな風に言います。小さなリュックサックには予備の弾丸が、ジャケットの内ポケットにはナイフが装備されています。
完全武装モードです。
でも幼女なのでとてもかわいらしい武装モードです。
「うーん。でもまだ一度も試していないから本当にいつでもどこでも自由に戻ってこられるとは限らないし」
まだ試用すらしていないアイテムをそこまで信頼されても困る、と桐羽は言います。
「そのあたりは換金できるものを持参しておけば大丈夫じゃないかな。どこの世界でも貴金属はそれなりの値で買い取ってもらえると思うし~」
正宗が無難な提案をしてくれます。彼女も普段どおりの格好です。心持ち、ロングコートの中身が膨れ上がっているように見えるぐらいです。それも食糧ではなく武装強化の類なのでしょうが。
「それもそうか。んじゃ適当に宝石を見繕っておくかな」
引き出しの中からごろごろと取り出します。
ダイヤモンドやルビー、サファイアなど、様々な宝石が詰め込まれています。宝石箱ならぬ宝石引き出しです。
とりあえず十個くらい持って行っておけば当面は困らないでしょう。
「……でも念のために保存食も」
そして小心者の桐羽はカ●リーメイトを一週間分ほど鞄に詰め込むのでした。
「じゃあ行くか」
「行こうぜ」
「れっつらご~!」
『旅の鍵』を手に持った桐羽は、さっそく発動させようとします。
芽久琉は桐羽の右腕に、正宗は左腕にしがみつきます。
ここが二人の定位置です。
桐羽お兄ちゃんは幼女にモテます。
「二人ともしっかり掴まってて」
転移時にはぐれてはたまらないので一応注意しておきます。
「しっかりってどれぐらいだ?」
「そのぺったん胸を押しつけるぐらいに」
「お兄ちゃんは幼女の胸に興奮する性癖の持ち主だからね~。でもそんなお兄ちゃんも大好きだから安心していいよ~」
正宗はそう言いながらしっかりとぺったん胸を桐羽の腕にくっつけます。
ぺったんこなのであまり幸せな感触ではありませんが、これはこれでよいものです。
芽久琉もしっかりと胸を押しつけます。やはりぺったんこですが。
「別に興奮なんかしてないし。将来が楽しみなだけだよ」
「大きくなれってことか?」
「お兄ちゃんが望むんだったら頑張って牛乳飲むよ~」
「否! おっぱいに貴賤無し! おっきいのもちっさいのもちゅうくらいのも素晴らしきかなっ!」
「……何でもいいんじゃねえかよ結局のところ」
おっぱい力説する桐羽に芽久琉が呆れたように突っ込みを入れます。
「『旅の鍵』発動! アクセルコード接続開始!」
芽久琉の冷たい突っ込みを無視しながら『旅の鍵』を発動させます。
両手に花、ではなく両手に幼女を抱えつつ、水無月桐羽は異世界に旅立ちました。
ここでようやく旅立ち。
前ふり長い?
いやいや幼女がいるんだから十分でしょう、タイトル的に( ゜д゜ )