お友達は幼女!
「はっはぁ~。な~るほど。こりゃあキリの創り出したゲテモノの中でも極め付けのキワモノだな」
『旅の鍵』と名付けたそれを手に取りながら、桐羽の友人一号、もとい九世芽久琉は興味深そうに呟きました。
茶髪のロングヘアをツインテールでまとめた、なかなかにナイスバディなお姉さん……ではなく、十一歳ぐらいの幼女でした。先端を破いたように加工したハーフパンツと黒のジャケット、そしてヘソ出しのハーフシャツがポイントです。
胸はつるぺたですがへそは色気たっぷり……げふんげふん。
しかし皮ジャンの中には二丁拳銃『ハートレス』が仕込まれています。いつでもどこでも銃刀法違反です。
ハートレスは桐羽特製であり、芽久琉の小さな手でも自由自在に扱える大きさになっています。
しかし彼女を捕まえられる警官は誰もいません。何故なら彼女は無敵だからです。つまり捕まりそうになったら警官をぶっとばして堂々とその場から立ち去るということですね。国際指名手配とかされちゃってたりしますが、そんなものはどこ吹く風で自由気ままに生きています。フリーダムの無敵少女……ではなく幼女です。
「でも異世界っっていうのはなかなかに心躍るアイテムだね~。わたしは賛成だよ。軽い気持ちで異世界旅行とかしてみてもいいんじゃないかな~?」
続いてそう言ったのは友人二号である捧正宗、八歳の幼女でした。
一年中真っ黒い上下にロングコートというスタイルです。上着は長袖ですが、生足を出すために下はミニスカートという素晴らしい服装です。ロングコートがはためくと生足が堪能できます。
髪の色は黒く、ショートカットで、右上側を可愛らしい飾りのついたゴムで結んでいます。スタンダードな幼女ヘアと言えるでしょう。
彼女は由緒正しい忍者の家系であり、リアル忍術継承者でもあります。分身の術とかも使えてしまうチート幼女です。
「やっぱりみんな異世界に旅行したいって意見は変わらないみたいだな」
そして作った張本人であり、幼女ツインズのリーダーでもある桐羽がそうまとめました。
……というか『どんな場所でもこの二人がいれば大丈夫だと桐羽が信頼する仲間たち』というのがまさかこんな 幼女達だなんて、一体誰が予想したことでしょう。
そして水無月桐羽(二十)の交友関係が同年代や近い年代ではなく、ここまで偏った年代だということに彼の性癖が一部露出しているようないないような……。
しかし桐羽の交友関係が幼女に偏っているのは、何も彼の性癖だけが原因というわけではありません。
……多分。
桐羽が能力付与鍛冶師という特殊能力を持っているように、この二人にもそれ ぞれ特殊能力があります。
先ほども紹介しましたが、芽久琉はその超人的戦闘能力、そして正宗は戦闘能力+忍術。
これらの能力は普通の人間が持ち得る能力ではありません。
年端もいかない子供達が学校にも通わず、裏世界で活躍してその名を知らしめているのは、その能力によるものです。
彼女たちを繋いでいるのは桐羽の作った武器や道具です。
芽久琉は二挺拳銃『ハートレス』。
正宗は各種忍具。
自身の能力をうまく制御できずにいた彼女たちに適切な道具を与え、能力を生かすことができるようにしてあげたのです。
それがなければ彼女たちはとっくの昔に研究機関送りになって解体実験でもされていたことでしょう。
それは今も変わらず傍にあり続ける危機でもあります。
桐羽自身が特定機関に確保されないよう、あらゆる組織に自らが作った道具を提供し、膠着状態へと持ち込ませているので辛うじて平穏が保たれています。
それもいつ崩壊するか分からないほど危ういものです。
桐羽達はこの世界で生きるにはいささか『チート』過ぎるのです。
あらゆる組織が、機関が桐羽達を狙っています。
あらゆる組織が、機関がそれを牽制し合っています。
そんな綱渡りな人生を送るよりも、もっと魅力的な道が見えてきたのです。
「というかさ、旅行なんて言わずにみんなで異世界に移住しない? こっちの世界だと色々厄介事が擦り寄ってくるし。僕たちみたいな『チート』でも、異世界ならそれなりに過ごしやすいかもしれないし」
「「賛成~」」
二人は即答で賛成してくれました。
こうして異世界旅行ならぬ異世界移住計画が始まったのです。
異世界に飛ばされてチート性能を与えられるのではなく、地球世界でチート過ぎて異世界にお引っ越しする物語が始まります。
幼女登場!
両手に花!
両手に幼女!
幼女にモテモテの鍛冶師青年!
ああ素晴らしきかな幼女幼女(・∀・)