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そろそろ調査終了

 ゴルゴンが現れた!

「おらおらおらーっ!」

 芽久琉が3620のダメージを与えた!

「忍法雷神の檻~」

 正宗4200のダメージを与えた!

 ゴルゴンを倒した!

 9200の経験値を手に入れた!

 蛇の皮を手に入れた!

 ゴルゴンの血を手に入れた!


「って、RPGじゃねえしっ!」

「レベルアップもしてないし~」

「まあモンスター倒して回って素材アイテム集めまくってるんだから似た様なものだろ」

 RPG風の中継が不評だったので通常ナレーションに戻しましょう。

 ともあれつるぺた同盟の混沌荒野調査は順調に進んでいくのでした。

「大体経験値ってなんだよ経験値って」

「あ、でもそれは分かる~」

「分かるか? パラメーター上昇なんてしてねーだろ」

「してるしてる~」

「どこが? もしかして忍法の威力が上がったとか?」

「ん。そっちはまだだけど。めぐちゃんの石化耐性が目に見えて跳ね上がっているのは経験値効果でいいんじゃないかな?」

「単なる慣れだと思うけどな」

 慣れというよりは耐性が出来てしまったようです。

 バジリスクから石化攻撃を受けた時は身体がすごく重くなる程度でしたが、受ける回数を増すごとにその動きは緩和されていきました。

 先ほどゴルゴンと対峙した時には石化攻撃を受けた瞬間に砕け散るような音とともに動けるようになったという無効化モードで攻撃を続けています。

 薬と一緒で魔法攻撃にも耐性が出来てしまうようです。

「パラメーターを数値化出来たら絶対に石化耐性が跳ね上がってると思うぞ」

「んー。毒物に馴らされるのと似たようなものかな?」

「馴らされたことあんのかよ?」

「ん? ああ。あっちの世界なら大抵の毒物を無効化できるぞ。青酸カリブレンドカレーなんて五杯は余裕で食える」

「………………」

 だからさりげに重すぎる過去をあっけらかんとぶちまけないでください。


「モンスターは一通りエンカウントしたと思うけど~」

「エンカウントってまたゲームじみた物言いを」

「RPGっぽいよな」

「現代風に言うならVRMMOかも~?」

 呆れたり納得したり忙しい三人でした。

「ええと、バジリスクにフレアドラゴン、リザードマンにゴルゴン。確かに記録に遭ったモンスターには大体遭遇したな」

「だよだよ~」

「骨やら眼球やら血液やら爪やら鱗やら素材アイテムもたんまり手に入れたしな」

 手に入れたアイテムは持ちきれないのでマンションに置いています。桐羽の部屋がすごい事になっていますが、まあ怪しい組織の人間が強制的に踏み込んでこない限りは大丈夫でしょう。

 ついでに一時的につないだゲートを利用して食料補給もしています。

 食料が途中で枯渇したとかそういう理由ではなく、

「あ、そういえば冷蔵庫の生もの処理するの忘れてたわ……」

 という桐羽の爆弾発言が原因だったりします。

 生ものということで肉類は全滅でしたが、まだ数日なので加工食品や冷凍食品は無事でした。

 なので調理器具と一緒にカセットコンロを持ち込んでその日の夕食は忘れ去られていた残り物の材料にもかかわらず大変豪華なものになりました。

「やっぱり調味料の問題は大きいよな」

 味噌汁をすすりながら桐羽が言った言葉です。

 異世界は調味料がシンプルになっているため、どうしても物足りなさを感じてしまいます。

 そのあたりの調整も含めてこれから往復を繰り返すかもしれません。

「あとは植物系アイテムか」

「だね~」

「荒野なんて言われてるけど結構緑が茂ってるし。荒れ果ててるイメージはないよな?」

 道の途中で貴重な植物を手に入れています。

 ガルガンド草は薬品の調合に使われる草だったり。

 スルメイカンの実は魔法薬に使える貴重品だったり。

 シーリオの枝は鍛冶師が武器に属性を与えるときに利用する材料だったり。

 他にも貴重な鉱石を色々手に入れてしまいました。

 アイテムのお勉強をしてきて大正解です。

 とにかく世界のマジックアイテム大集合、みたいな場所です。

 冒険者ギルドで出されている採取依頼アイテムの大半はこの混沌荒野で手に入る事でしょう。

「なんか昔ゲームであったなぁ」

「ん? 何がだ?」

「錬金術師がアイテムゲットのために出向くやつ」

「ああ、アトリエシリーズだね~」

「そうそれ。なんか今そんな気分かも」

「キリは錬金術師じゃなくて鍛冶師だけどな」

「創り出すものという意味においては大差ないかもしれないけどな」

「かもね~」

 暇になったので雑談が続きます。

「アイテムもかなり集まったし、このあたりのマッピングも済んだし、そろそろ戻るか?」

 芽久琉がそう言いました。

「それもそうだなぁ。書物にあるアイテムは一通りコンプリートしたし、それ以外のアイテムも手に入れたし」

 桐羽もそれなりに満足していたようでその意見に同意します。

「うん。そろそろいいんじゃないかな~。もっと向こうの方に海が見えるから果ても近いし~」

 正宗が望遠鏡で確認しながら言いました。

「おおう。そんなところまで来てたのか。そこまで広い場所でもなかったのかな?」

 たった一週間歩いただけなのに果てが見えてしまったことがちょっぴり不満そうです。

「地図上だと縦よりも横に広い感じだったからな。あたし達は真っ直ぐに突き抜けただけだし、横に探っていけばまだいろいろあるかもしれないけど、まあこの辺りが丁度いい感じなのかもしれないな」

 混沌荒野がどのような場所かを理解するには、とりあえず縦に突き抜けてモンスターとエンカウントしたり植物や鉱石をゲットしたりで十分です。

「そろそろベッドで寝たいしね~」

「それは同感」

「僕もベッドで眠りたいよ。さすがに寝袋三人はきついから」

 朝になると胸の上に幼女二人がのっかっている状況というのは、さすがに寝苦しいというか目覚め苦しいというか、そんな感じです。

 そろそろ安眠が恋しくなるのも無理はありません。

 寝袋で三人寝るぐらいならキングベッドで三人の方がまだ安眠出来るというものです。

「じゃあサイハテの街に帰還決定~♪」

「おー!」

「賛成!」

 踵を返して蜃気楼の向こう側に建つ街へ。

 つるぺた同盟は混沌荒野を引き返すのでした。


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