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うらぎりもの~

 そしてつるぺた同盟ご一行はギルド会館を出て、どこか食事どころを探し始めました。

「つーかつるぺた同盟って最悪すぎないか……」

「お兄ちゃんの趣味全開だよぉ~」

「失礼な。僕はつるぺたもぼいんぼいんも大好きだ。ただパーティー名と言われたからメインどころに似合った名前を付けただけじゃないか」

「確かにまだつるぺただけど……」

「これからまだまだ成長するもん~」

 自分たちの胸をぺたぺた触りながら落ち込み気味な二人でした。

 行動そのものはかなり萌えるのですが。

「大体メインどころに合わせるっていうんなら『童貞同盟』でもよかったじゃねえかよ」

「僕は童貞じゃない!」

 往来で凄いことを言っています。

「………………」

「………………」

 そしてそれ以上にすごい眼で桐羽を睨みつける幼女二人組でした。

「誰だ……?」

「へ?」

「誰とやりやがった!?」

「はい……?」

 芽久琉が桐羽の胸ぐらを掴み下げながら(身長が低いので掴み上げることは不可能なのです)、声を低くして唸ります。

「お兄ちゃんのさくらんぼを摘み取るのはわたし達二人だって決めてたのにーっ! おにいちゃんのうらぎりものーっ!」

 そして正宗の股間蹴りが炸裂しました。

「ぎゃひーっ!?」

 きーん!

 という効果音が発生しそうなぐらいの衝撃と激痛でした。

 でも人通りの多い場所で幼女二人組がそんな事を叫ばないでください。


「あいたたた……酷い目に遭った……」

「キリが悪い」

「僕かよ!?」

「そうだよ。わたし達の信頼を裏切ったお兄ちゃんが悪いんだから~」

「えー……お前らと会う前のことでそこまで責められてもなぁ……」

「あたし達と会ったあとにそんなことやってたらハートレスで蜂の巣にしてやってるところだ」

「そうだよ~。滅多撃ちの滅多刺しなんだからね~」

「……いやいや。待て待て。そもそもお前らとそんな約束を交わした覚えが無いんだけど」

 女の子なら幼女だろうが少女だろうがお姉さまだろうが大好きな桐羽ですが、さすがに幼女相手に手を出すほど踏み越えてはいません。

 セクハラはしているので際どいところで踏み越えかけているような気はしますが。

「ぺったん胸を押し当てろと言った」

「太もも撫でまわしたし~」

「うぅ……」

 約束はしていなくとも期待させるようなことはばっちりやってしまっているのでした。

 日頃の悪行が祟りまくっていますね。

 自業自得ということで、ご愁傷様です。

 この二人がいる限り女の子大好きではなく幼女大好きの認識になることは間違いないでしょう。

 まあタイトルからして『幼女と旅する異世界道中』なのでぴったりではありますけどね。


 食事はお店ではなく屋台で摂ることにしました。

 建物の中にあるお店よりも、歩いているときに漂ってくる美味しそうな匂いの方がそそられてしまったようです。

「結構おいしいね~」

 正宗は牛肉の串焼きをほおばりながら言います。

「こっちのうどん? もなかなかいける」

 そして芽久琉はうどん、らしきものをすすっています。

 らしきものと表現したのは、麺はうどんなのにスープは豚骨ラーメン風だったからです。

 ちぐはぐですが、意外とアリだということが判明しました。

 機会があれば真似をしてみましょう。

「ふむふむ。食べ物も地球とあんまり変わらないらしいな」

 桐羽が焼き鳥の串をくわえながら続けます。

「しかし似ているようで違う。こっちの食事は地球のものよりはるかに原始的だ」

「原始的?」

「さすがに粉を引いて水と混ぜてパンを作ったり麺を打ったりすることは出来るようだけど、基本的に加工食品が存在しない。串焼きは基本塩味だし、たれが存在していない」

「あ、そう言えば」

「言われてみれば。でもこのスープはよくできてるぞ。ばっちり豚骨だ」

「まあ全くないわけじゃないと思うけど、地球よりもはるかに少ないってこと。食生活においては若干の物足りなさを感じてしまうかもしれないな、この先」

「いや。別に恋しくなったら地球に戻って食い倒れツアーでもすればいいし」

「だよね~」

「それもそっか。移住するといっても移動手段がないわけじゃないからそこまで深刻に考えることはないのかな」

「そうそう。それに美味しいじゃない~。原始的な料理も結構好きだよわたし~」

 あむあむと串焼きの二本目をほおばります。小さい身体の割によく食べる子です。

 栄養が胸にいってくれることを祈ります。

 え? 幼女だからぺったんのままでいいって? それもそうですね。ではそのまま消化されてください。

「って、僕の串焼きが全部なくなってるー!?」

 あっという間に欠食児童に串焼きを食べられてしまいました。

 とほほとなりながら新しい串焼きを買いに行きます。

 まだまだ胃袋に余裕があるので三本買いました。

「お、ごくろーさん」

「わーい。出来立てだ~」

「って、僕の分……」

 三本のうち二本を二人に奪われて、がっくりと肩を落としながら残された一本を手に取るのでした。

 食べ盛りの幼女の食欲は恐ろしいと身に染みる瞬間でもあります。


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