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芯界  作者: カレーアイス
第一章 少年編
5/72

ガンダm

「いくよ! Grandun(グランドゥン)!」

Dream(ドリーム) of(オブ) bandy(バンディ)!」


 世界が、いつものアメの大広間に変化する。

 そして、その半分は……宇宙になっていた。


 深い深淵の紫に、散りばめられた無数の星が輝く。

 その中央には、どこかで見たような人型巨大ロボット。


「いやそれ、もう完全にガンダm――」

「ちょっと待っててね、今等身大にするから」


 巨大ロボットが段々と小さくなっていき、やがてテトレディさんと同じサイズまで小さくなった。

 あっけに取られているうちに、背中のジェット機を起動して、こちらに飛んで来る。


「お待たせ」

「えぇ……」

「今日は押し合いは無し! 純粋に殴り合いましょう!」


ブゥン


 そう言って、テトレディさんはビームソードを取り出した。


「フッ!」

「ッ!」


 大きく振りかぶって、真上から振り下ろされたビームソードを、床から出した壁と、アメで作った剣で止める。

 しかし、熱に弱いのは相変わらず。

 すぐに溶解して、俺の肩に火傷の跡ができた。


「イッ!?」

「大丈夫、後で治せる人呼ぶから!」

「今呼んで! 今すぐ呼んで!」


ジュッ


 喋りながら放たれた横薙ぎを、アメの棒で受け止めて、その力を利用して一歩後ろに下がる。

 そのまま、床に手を置いてアメを操り、ロープで床とテトレディさんを繋いで縛る。


「エレメントタイプに近いのかな? これを殴りながらできるようにね」


 彼女は、纏わりついていたアメを瞬時に溶解させ、俺に迫った。

 次の袈裟(けさ)斬りを、前回学んだカタパルト式打ち上げで回避。

 直ぐに追撃しようと、テトレディさんが上を見上げると……天井に、大質量のアメの塊。


「食らえェ!」

「工夫は買うけど、今は近接戦闘の時間だよ!」 


 ビームソードに力を入れたかと思うと、青白いビームは巨大なハルバード型に変化した。


「モード、ハルバード……お仕置き!」


ザンッ!


 その長い戦斧は、巨大なアメの塊を一刀両断。

 俺の首から足の付け根を、綺麗に浅く切り裂いた。


「グッ!」

「終わりが分かりやすいのはいいけど、気絶癖が付くのは問題かな」


 そんな言葉を聞きながら、俺は気を失った。



◎◎◎



 次に気が付くと、そこはベディさんの戦艦の中だった。

 趣味の悪い、金色の天井が俺を迎える。


「起きましたか」

「あなたは?」


 俺の顔を覗き込んでいたのは、知らない女性。

 茶髪のショートカットで、黒い眼鏡をかけている。

 身長は、平均から少し下程度か。どこか大人しく……怪しい雰囲気を感じる。


「私はマプティル・リーダー。第七騎士団の書記官です」

「ラギナ・アークエスです。よろしくお願いします」

「起きた!?」


 マプティルさんと軽い自己紹介をしていると、勢いよく扉を開けて、部屋にテトレディさんが入って来た。


「うるさい」

「ごめんごめん」


 マプティルさんは膝の上の本に目を戻し、テトレディさんは笑顔のまま俺の方に駆け寄る。


「傷の調子はどう?」


 言われて服をめくってみると、傷は跡形も無く消えていた。

 いつものことだが、この医療技術には驚かされる。


「……まだ痛みます」

「そう? まあ、完治してるから大丈夫だね」


 修行が楽になるかと思ったけど、ダメかぁ。

 嘆息してから、新しいアメを口に咥えた。


「いります?」

「うん、甘めのちょうだい」

「どうぞ」


 ピンクの棒付きアメを渡し、テトレディさんはそれを美味しそうに口に入れた。


「うん、甘い」

「ん」


 話を聞いていたのか、マプティルさんが口を軽く開けた。

 同じのを芯界からとりだして、彼女の口に入れた。


「……どうぞ」

「ん、ありがと」


 礼を言った後、また本に意識を落とした。

 それを確認してから、テトレディさんが話を始める。


「じゃ、今回の任務について話すね!」

「はい」

「えっと、王都から少し離れたノンフット領に、質の悪い山賊が現れたみたいなの。領主の部隊では鎮圧できなかったから、王都の騎士団に依頼が来たって感じ」

「なるほど。騎士団の人数は?」

「千人いるけど、今回連れてきたのは百人。山賊の規模は五十人くらいらしいから、絶対勝てるよ!」


 確かに、耳をすませてみるとガヤガヤと騎士団員の声が聞こえた。

 この世界の戦闘システムでは、人数差はかなり大きいアドバンテージになる。

 倍もいれば大抵は何とかなるだろう。


 その時、いきなり戦艦が減速を始め、慣性力が働く。

 スピーカーから、ベディさんの声が聞こえてきた。


『総員、あと一分で山賊の根城の山に着く。スカイダイビングの準備をしろ』

「スカイダイビング?」

「上空から急襲するからね!」

「……」

「これ、第七騎士団の十八番(オハコ)だから! 今のうちに慣れときなさい!」


 そう言うと、テトレディさんの背中にジェットパクが現れた。

 いつの間にか、本を読んでいるマプティルさんの背中に、(ページ)の羽があった。


『三、二、一』

「いっくよー!」


パッ


 戦艦が消え、俺は空中に投げ出された、


 ラギナが修行を嫌がるのは、部活を嫌がる中学生みたいなマインドです。

 技術関係といい、かなり脳内設定が多いので、質問がある場合は感想などで聞いて下さい

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