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芯界  作者: カレーアイス
第四章 芯界強奪事件
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暴走のD

「お疲れ、二人とも」

「うん」

「イェー!……それで、奴は来ると思いますか?」

「ああ。十中八九、来る」


 事件の犯人にとって、少女の部の初日は狙い目だろう。

 そこで、二体のボス系が合体した正真正銘の化物を、ほぼ一人で相手したイースは、間違いなくターゲットになる。

 実際は、ラミリの強化もかなり大きいのだが、傍目には分からないだろう。


「疲れただろ、少し休んでから行こう。アメいるか?」

「うん。いつもの」

「ワタクシも」


 二人の好みのアメを渡し、俺自身もアメを口に入れた。

 今までの芯界強奪は、全て外で行われていた。建物の中にいる限りは安全だ。


 数分後、アメを食べ終わったイースは立ち上がった。


「よし、行こう」

「もう大丈夫なのか?」

「あまり遅いと、標的を変えられちゃうかもしれないからね」

「じゃ、行こうZE(ゼィ)!」


 ほぼ無い荷物を持って、控室の扉を開けると、外に人がいた。

 一瞬身構えてしまうが、「もしこの人が犯人でも、姿は見せないか」と思い直し、警戒を解いた。


「どうしました?」

「最近物騒ですから、選手は家の近くまで警護することになりました」


 ……さすがに、警察側も無対策では無いか。

 囮でもない人には、警護を付けて襲われないようにする。

 とてもありがたいことだが、今の俺達にとっては邪魔だ。


「あなた方は国立学園の寮生でしたよね? では、学園の門までお送りします」

「……あー」

「ソーリー、まだやる事があるから、ちょっと待っててくRE()

「分かりました」


 ラミリが適当にごまかして、扉を閉じた。


「……どうしよっか?」

「コッソリ三人で抜け出すしかねーだRO()

「つっても、この部屋から出るには、あの扉を通るしか――」

「フッ!」


 ラミリの靴がスケート靴に変化したかと思うと、消えた。

 キレイな太刀筋で壁がくりぬかれ、隣の通路に繋がった。


「よし、二人とも捕まRE()

「何も良くないよね?」

「ロックに行くZE(ゼィ)!」


 俺とイースと両手に、通路にエッジの跡を付けながら、ラミリは滑り抜けていった。

 部屋の前で待っていた人に捕まりそうになったが、スピードで置いてけぼりにし、三人だけで建物を出た。


「損害請求されたらどうすんだよ」

「きっとシュヴァリィが払ってくれるRU()!」

「……もういいや。作戦に戻るぞ」


 多少のトラブルはあったが、作戦に戻る。

 町の大通りから、商店街に入った。


 まだ来ない。

 何回かトラップを掛けられて警戒したのか、奴は最近、一人になった所を襲うようになっている。


 平静を装いながら、小声でイースに話しかけた。


「準備は?」

「できてる。いつでもいいよ」

「よし」


 作戦実行。


「おなか空いたな。フルーツでも買っていかない?」

「オレっちも食べてE()

「ボクはいいかな、ここで待ってるよ」

「そっか。じゃ、すぐ戻るからなー」


 内心はイースのことを心配しながら、ラミリと共にフルーツ屋の方に駆けていった。


「シュヴァリィにドラゴンフルーツでも買って行くか」

「食べれねえけどNA()

「もうすぐ食べれるようになるから」


バタン


 背後から嫌な音がして、振り返ると、イースが倒れていた。

 服にはひし形の穴が空いており、芯界が取られていることが分かる。

 戦いはここからだ。


「頼んだぞ、ラミリ!」

「イエーッサー!」


 俺はイースを近くの交番に預けに行き、ラミリは芯界から取り出したスケート靴で地面を滑り、犯人が行ったであろう方向へ向かう。

 多分、もうそろそろ。


「ギリィ!」

『ウワッ!』


 何もない空間から、金属の腕が現れた。

 デメトルーラーが、暴れている。


『何ですか、これ!?』

「逃がさないZE(ゼィ)Iskace(アイスケイス) on(オン) the() music(ミュージック)!」

『チッUncapeleon(アンケイプレオン)


 デメトルーラーの腕をターゲットにして、犯人ごと氷海の世界に取り込んだ。

 これで、もう逃げられない。


「この子をお願いします! あと応援呼んで!」

「え、ちょっと、君!」


 常駐している警察官にイースを預け、俺も芯界の中に入った。


Dream(ドリーム) of(オブ) bandy(バンディ)!」


 広がっていたのは、ラミリ氷海の世界と、緑に満たされたジャングルの世界。

 広大なジャングルの中、一匹の巨大なカメレオンが姿を現し――口を、開いた。


 第一印象は、変な人。

 顔の半分を、鬼のお面で隠しており、その下の表情は一切変化しない。

 代わりに、お面が表情豊かに変化する。


『いやー、まさか自分の生徒に捕まるとは思いませんでしたよ』

「……そういえば、全然自分の芯界を見せようとしませんでしたよね。……ヒルトレイヴ先生』


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