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芯界  作者: カレーアイス
第三章 鉄の意思と魂の魔王
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百合ゲー主人公、シュヴァリィ!

「あの、二人しかいないように見えるのですが……」

「ごめんなさいね、あと三人メンバーがいるのだけれど、少し飛行船が遅れているみたいで、今この場にはいないの」


 世界大会のエントリー会場にて。

 受付のお姉さんに、シュヴァリィが食ってかかっていた。


「ああ、自己紹介しておくわね。私、シュヴァリィ・ドゥリター(・・・・・)・ユートロン」

「お、王族の方でしたか」

「そう。私、王族なの」

「お、おい、無茶すんなよ」

「あと少し、あと少しで到着するの」

「いや、あと三人どころか、一人もい――!」


 「いない」と言おうとした瞬間、シュヴァリィに口を塞がれた。

 キスで。

 あまりにも白昼堂々としたキッスに、周りから黄色い声が上がる。

 短いようで長い数秒が経ち、ようやく口を離した。


「こんな所でキスしたがるなんて、我慢できない子ね」

「おい!?」

「……」

「あの、シュヴァリィさん!? シュヴァリィさん!?」


 シュヴァリィが受付に身を乗り出し、職員さんの首元を掴んで、唇を近づかせ――あと数センチという所で、相手の職員さんが音を上げた。


「分かりました!分かりました! この場にいなくてもエントリーを認めます!」

「ありがとう」

「……お前は百合ゲーの主人公か」

「本当でする気は無かったわ。……もしかして、嫉妬してる?」

「してねえわ!」


 二人だけエントリーシートに個人情報を書き、残り三つの欄に、シュヴァリィが適当な情報を書き込んで行く。


「誰だよ、ザッリガーニって」

「頭に浮かんだのが、ザリガニだったから……」

「そんなに適当でいいのか?」

「書きさえすれば、あとは『ちょっと間違えてた』でどうにかなるわ」

「ちょっと(全て)」


 真実が半分しかないエントリーシートを提出し、大会の登録を終わらせた。

 ちなみに、チーム名はシュヴァリィ。

 少しでも売名をするためである。



「とはいえ、どうする? 最低でも、あと二人はメンバーがいるぞ」

「想像以上に見つからないわね」

「イースの魔王でも連れて来るか?」

「相手を殺すわよ」

「だよなぁ」


 鉄の魔王を見た時「もしや」と思ったが、無謀だった。

 初戦は一週間後。

 それまでにメンバーが集まればいいのだが――。



「まあ、二週間で一人も見つからなかったんだから、一週間増えたところで、あんまり変わらないよね」


 今日は、世界大会の予選。

 俺たちの初試合となる日だ。

 相も変わらず、メンバーは俺とシュヴァリィの二人だけ。

 この一週間、必死に残りのメンバーを探したが、候補すら見つからなかった。


「とりあえず、二人は体調不良ということにしておいたわ」

「それはいいけど、どうする?」


 今回のルールは団体戦。

 一対一、二対二、一対一を順番に行い、二勝した方が勝利となる。

 しかし、現在俺たちは二人しかいないので、試合は一対一、一対二をして、両方勝たなければならない。

 言うまでも無く、芯界戦闘で一対二は厳しい。


「……落ち着きなさい。まず、世界大会といっても、私たちみたいに『絶対優勝する!』なんてマインドで参加している方が少数よ。ほとんどは『友達と思い出作りに~』とか『上手く行ったら、就職で使おう』くらいの人の方が多いわ」

「確かに。……それはそれとして、その声真似なに」

「だから、今日の相手はほぼ格下。一対二でも勝てるわ。私が殺る」


 また、抱え込んで。

 自分が巻き込んだことに、責任を感じているのか、殺気立っている。


「一対二は俺がやるよ。何回か経験あるし」

「でも――」

「何より、姫をリンチにさせる騎士がいるかっての」


 至近距離で、目を合わせた。

 加速的に時間が長く感じられ――永遠の様な時間の後、先に目を逸らしたのはシュヴァリィの方だった。


「そうね。二人相手はアナタに任せるわ」

「任されました」


 その時、控室の扉が開き、職員さんが先方の人を呼びに来た。


「チームシュヴァリィの先方の方、会場にお越し下さい」

「じゃあ、パパッと勝ってくるわ」

「ファイト」


 職員さんに連れられて、シュヴァリィが会場に行った。

 仲間は観戦することができるが、シュヴァリィが勝つと信じているので、見ない。

 二人相手の定石を、思い出しておく。



 数分後、シュヴァリィが普通に勝って帰って来た。


「腕前はそこそこ程度よ。普通にやれば勝てるわ」

「オーケー」

「……今回は予選だから、最悪一回負けたとしても、何とかなるわ。気負わず行きなさい」

「いいや、勝利をお届けしますとも」

「次鋒の方」

「じゃ、行ってくる」


 職員さんに呼ばれて、俺は戦いの地に赴いた。

 予選なので、観客などはいない。

 こじんまりとして、中央には机とテーブルがある、カードゲームでも始まりそうな部屋だった。

 そして、対面に立ったのは、糸目に青い髪、マーメイドドレスを着た、俺と同じくらい大きな少女と、もう一人、ほぼ同じ容姿で、少し小さい少女。


(見た目的に姉妹かな? いや、俺の見た目予想は信用ならないから、可能性の一つくらいに留めとかないと)


「君、相方は?」

「……ちょっと体調不良で寝込んでて。悪いけど、一人で相手させてもらいます」

「あらあら可哀そう」

「でも、それで一人って……舐めてるの?」

「すみません。でも、勝つつもりなんで」


 少し睨みを効かせると、二人とも怯んだ。

 多分、戦闘慣れはしてない。

 一対二でも、勝ち目はある。


「それでは、中堅戦を開始します。両者、芯界の用意を」


 間に入った審判の人の合図と共に、手を胸に置き、いつでも芯界を使えるようにする。

 相手の二人も、同じく胸に手を置いて構えた。


「では、開始!」

Dream(ドリーム) of(オブ) bandy(バンディ)

Seanger(シアンガー) opel (オペル) nutry(ニュートリー)

Pirany(ピラ二ィ) diriver(ダリバー)


 もう十三時投稿に変えた方がいいかもしれない

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