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芯界  作者: カレーアイス
第二章 騎士入学編
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エピローグ

「ここは――」

「学院内の病院」


 ベッドで寝ていたシュヴァリィが目を覚ました。

 傍らで読んでいた本を閉じ、彼女に容体を聞く。


「調子はどうだ?」

「問題ないわ」

「なら良かった。病院の先生が『どうしてこの傷で、意識を保っていられたんだ』って驚いてたぞ」

「……命が掛かってるのよ。そりゃあ粘るわ」


 手を差し出してきたので、アメを乗せた。


「それで、ディーシュは?」

「気を失わせて、警察に引き渡した。……もしかして、警察だと、権力でねじ伏せられたりする?」

「私が、更なる権力で捻り潰すから、大丈夫よ」


 さらっと笑顔で怖いことを言った。

 やっぱり、俺に権力闘争は無理だな。家は姉に任せよう。

 そんなことを考えていると、いつの間にか俺の眼前にシュヴァリィの顔があった。


「そんなことより、あの芯界は何?」

「うちの師匠のヤツ」

「誰のかじゃなくて、どうしてできるのか聞いてるのだけど」


 言うまでも無く、普通芯界は一人一つ。

 たまに二重人格でなくとも、人格の仮面(ペルソナ)の振れ幅が大きすぎて、存在基底が分離する人はいるが、俺はそれにも当てはまらない。

 では、どうしてできるのかと言うと――


「俺にも分かんなーい」

「……アナタそんなのばっかね」

「だってマジで分かんねぇんだもん。一番聞きたいのは俺だよ……」


 男の特性かとも思ったが、古い文献にそんな記述は一切ない。

 そうすると、転生関係なのかもしれないが、関連性が全く分からない。

 分かっているのは、能力の概要だけ。


「ある行為をした相手の芯界を、三回くらいコピーして使える。と言っても、他人の存在基底だし、かなり練習しないと、まともに使えない」

「なるほど。で、ある行為って?」

「……接吻」


 シュヴァリィは、時間が停止したかのごとく身体を固め、俺は気まずくなって目を逸らした


「要はキッスよね?」

「そうだよ! 口くっ付けて唾液を交換するアレだよ……。言わせんな恥ずかしい!」

「にしてもキスって……」


 この世界では女同士で遺伝子を混ぜる方法がキスのため、前世での性交までとは言わないが、それなりに重要な立ち位置になっている。

 まあ、装置を使ってキスしなければ、子どもはできないが、それでも倫理的に……。


「いや、ロボットをそれなりに乗りこなしてたのは、テトレディさんが酔ったらキス魔になるせいだから!」

「……もういいわ」

「なんか誤解してない?」

「今日はありがとう。お礼はまた今度するから、もう帰っていいわよ」

「待って、絶対誤解して――」


 俺が喚こうとした時、シュヴァリィはボウっと病室の天井を見上げていた。

 彼女にしては珍しく、不安が感じ取れた。


「……これからどうすんだ?」

「さあ。どうするんでしょうね」

「そんな、他人事(ひとごと)みたいに……」

「第二王女派閥は実質解体、裏切ったから敵は多いし、平和主義の思想は第一王女派閥と被る。ゼロから所か、マイナスからのスタートよ。終わってるわ」

「それでも、やるんだろ」


 ベッドの傍に備えられた椅子から立ち上がり、シュヴァリィに近寄る。

 そのまま、頬に両手を添え、顔を近づけた。


「自分の行動の責任は取る。シュヴァリィを変えたのは俺だ。協力するぜ」

「……珍しく積極的ね。悪くないわ」


 彼女の手が俺の首元に回された。

 ……自分からやったこととはいえ、赤面する。

 窓から差し込む夕日が眩しい。

 おちょくってやろうと思ったのに、コイツ受けも強いのかよ。


 そんな俺の内面を知ってか知らずか、彼女は目を合わせたまま微笑み、手を、俺の胸に置いた。


「ラギナ・アークエス。ドゥリター王国第二王女、シュヴァリィ・ドゥリター・ユートロンの名において、アナタを私の専属騎士に任命します」

「喜んで就任させていただきます、未来の女王様」

「フッ」


 二人の距離が近づき……口と口が触れあった。









「……これキスする必要あった?」

「剣を持ち合わせていなかったから、私のドラゴンを贈呈したのよ。コピーできなかった?」

「できたけど……俺に大軍系の指揮できるかなぁ」

「なら、出来るようになるまで、練習するだけよ」

「それ、滅茶苦茶(めちゃくちゃ)キスすることになるんですけど」

「すればいいじゃない」

「ヤダよ主人とキスしまくる騎士とか」

「フフッ……ああ、あと、専属騎士は主人と騎士、どちらかが死ぬまで解任できないから」

「――本当に俺で良かったの?」

「いいのよ、私が惚れたアナタで」

「それってどういうっ――」

 三章のプロット練り直すので、明日投稿無いです。

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