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芯界  作者: カレーアイス
第二章 騎士入学編
10/72

竜と火山とチリチリと

 十二角形の大広間。

 床と壁のアメがキラキラと輝き、世界の主人を迎え入れる。


 そして、シュヴァリィの世界は……焼野原、流れる溶岩、灰の空。

 荒廃した火山の世界。

 火山には至る所に横穴が開いており、そこから飛び出したのは、赤いドラゴン。

 サイズは人より少し大きい程度だが、何せ数が多い。目算で軽く八十といったところか。

 自由自在に空を飛び、綺麗な隊列を組む。

 真ん中のドラゴンに、シュヴァリィは騎乗していた。


「大軍とエレメントの混成かな?」

「そういうアナタは……不定?」

「一番近いのはエレメントだ」

「……まあいいわ。左翼!」


 俺の芯界を測りかねていたシュヴァリィだったが、殴ったら分かると手を振り上げ、左側のドラゴンが火を吹く。

 束にって凄まじい威力になった火炎放射だが、アメで作った壁で簡単に防いだ。

 多少溶解するが、俺まで届くことは無い。


「アメ? にしては溶けないけど」

「……師匠二人とも熱使いだったから」

「そう……|牙〈ファング〉!」


 最前衛のドラゴン数匹が、陣形から突出して突っ込んでくる。

 映画のワンシーンような圧巻の光景に感嘆しつつ、武器として巨大な棒付きアメを作り出した。


「……ふざけてるの?」

「真面目なんだなぁ、これが」


 テトレディさんに持ち武器を作れと言われ、色々試した結果、この形が一番しっくりきた。

 一先ず、大きく上に振り上げ、正面のドラゴンに向かって振り下ろす。


「ディ・メイス!」

「ヴァウ!」


ガン!


 食らったドラゴンは頭から潰れ、反動で俺は少し浮く。


「ガンガン行くぞ!」

「ッ!」


 大質量に振り回されながら、アメのハンマーを振り回す。

 薙ぎ、下ろし、叩き。近づくドラゴンは全てねじ伏せる。

 さらに、倒れた伏した奴は、アメでガチガチに縛り、再起させない。


 こうして、近づいてきたドラゴンを全て処理した。


(このまま、近づく奴を叩き続ければ勝てるかな?)


 束の間の沈黙。

 シュヴァリィは下手にドラゴンを指し向けても、無駄に数を減らすだけだと分かっているし、俺も数十匹のドラゴンに囲まれたら、どうなるかは分からない。

 水面下で芯界の押し合いは続けているが、今のところは互角。


 押し合いを有利にするために、ゆっくりと境界の方へ歩く。

 それに合わせて、シュヴァリィはゆっくりと下がる。

 境界との距離が変わり、押し合いが俺有利に。

 火山が狭まり、六角のアメが再生されていく。

 出力が上がり、アメの自由度が上がっているのを感じた。


(このまま行けば、確実に勝てるけれど……)


 あのシュヴァリィがこれで終わる気がしない。

 色々仕込んではいるが、対応しきれるだろうか。


 押して押して、芯界の割合7対3になった頃。


「中々やるわね」

「どうも」

「けど、それもこれで終わりよ!」


ゴゴゴゴゴ!


 火口から追加のドラゴンが飛び出し、地鳴りが起こる。

 火山が煙を上げ……噴火した。

 

ドッガァアアン!


 複数の火山が火を吹き、火砕流が降り注ぐ。

 冷静にアメで防いだが、同時にドラゴンが接近し、壁の無い部分から攻撃を仕掛ける。


「クッ!」

「行くわよ!」


 さらに、このタイミングでシュヴァリイは前進。

 押す力が強まり、火山の世界が広がっていく。


「調子に、乗るなァ!」


 アメのハンマーを振り回し、回転薙ぎ。周囲のドラゴンを一掃する。

 上手くいったと思っていたが……ふと周りを見渡すと、付近にドラゴンはおらず、少し遠い所から、俺を囲んでいた。


「ファイア!」

「ッグアアア!」


 瞬時に全身にアメを纏い、威力を軽減したが、それでも火傷ができる。


「降参なさい。全焼したら、細胞一つ残らないわよ」

「しないから大丈夫!」


ポン!


 仕込んでいたアメの砲が、巨大な飴玉を発射した。

 空中で破裂し、俺を囲んでいたドラゴンを一網打尽にする。

 さらに、仕込み中に用意していたアメの海から、巨大な津波を発生させ、サーフィンの様にそれに乗り……地味に流れて来ていた溶岩を回避した。


(あっぶ)ねえ!」


 床に固定されていたドラゴンが飲み込まれ「一歩遅ければ俺もああなっていた」と戦慄する。

 シュヴァリィがチッと舌打ちし、手を上げたかと思うと、死んだ分のドラゴンが巣穴から復活してきた。

 まあ、こうなるのを察していたから、殺すのを避けていたところはある。

 しかし、復活から隊列に合流するまでには少し時間がかかり、今シュヴァリィの護衛はたったの二十匹程度しかいない。


 アメの波が前に進み、これ以上芯界が狭くなると立て直せなくなるからか、シュヴァリィも前進する。

 最終決戦といこう。


「フッ!」


 先頭のドラゴンと接触。

 アメ付き棒のハンマーで薙ぎ払おうとしたが……がっしりと受け止められた。


「ッ!?」


 流石に護衛用のドラゴンは強いか。

 ニ、三回と打ち合っても崩せず、強靭な腕を振るう。


「アメでも食ってろ!」


 軽く動きを止めた後、口にアメを押し付けて呼吸困難にし、一匹落す。

 これが、あと十九匹。


「ああもうメンドイ! 来い!」


 アメの棒を差し向け、圧縮してたアメを解放。

 ビームのようにアメを伸ばし、シュヴァリィを乗せたドラゴンを捕えた。

 彼女は乗るドラゴンを変えようとしたが、既にアメは彼女自身も捕えている。


「クッ!」

「オオオオオオオオオオ!」


 芯界のパワーを自分の身体に全集中。

 背中に炎を受けながらも、捕えたアメの棒をしっかりと握り、背負い投げ。

 ドラゴンごとシュヴァリィを頭から床に叩きつけ……彼女は、失神した。



◎◎◎



「……さすがは実戦トップといったところね。甘く見てたわ」

「アメだけに?」

「ドラゴンの餌にするわよ」

「すみませんでした」


 会話しながら、医療設備から緑の液体をすくい、身体に塗る。

 すると、見る見るうちに火傷が治り、戦いの前のように戻った。

 ついでに黒い液体を頭皮に塗り、髪を伸ばしてチリチリになった部分の髪を切る。


「下手ね。切ってあげましょうか?」

「え?」

「友達、なんでしょう?」

「……じゃあ、よろしく」


 ハサミをシュヴァリィに渡し、彼女は慣れた手つきで俺の髪を切っていく。

 もしかしたら、髪を焼いた相手に対して、よくやるのかもしれない。

 

「これくらいでどうかしら?」

「ありがとう。前より綺麗になった気がする」


 長い分を縛りなおして、ポニーテールにし直してから、チリチリな髪を掃除する。


「お礼とお近づきの印に、アメいる?」

「……甘いやつ」

「どうぞ」


 「辛いのが好きそうなのに、意外」と思いつつ、甘めのアメをあげた。

 彼女は苦々し気にアメを睨んでから、口に入れた。


「案外美味しいわね」

「そうでしょう」

「あなた……私の専属騎士にならない?」

「え?」


 ラギナの姿描写無かった……。


 白髪ポニーテール(侍みたいな感じ)

 男性なので平均より頭一つ分くらい高い身長(ベディヘロペアよりは低い)

 筋肉質の体

 いつも棒付きアメを咥えてる

 

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