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かたる

作者: 渚のいん

2011年にオカルト・超常現象をテーマとした創作同人誌『PLAN9 FROM OUTER SpFILE』に掲載した短編です。


グレイの姿が人間の幼児や胎児を連想させることから、宇宙人がネオテニー化したヒューマノイドという説は実際に提唱されていたものです。

それをこんなふうに使っちゃあいけません。


※pixivに掲載済みのものを加筆修正して投稿しています。

「いいですか、地球は狙われているんです。

 何にって?

 決まってるじゃないですか、奴等ですよ、宇宙人ですよ!

 信じられないかも知れませんが、宇宙人がこっそりと人間社会に混じって生活し、我々を観察しているのは紛れも無い事実なんです!

 何で地球に来たかって?

 それは流石に分かりません。

 分かりませんが、地球人より遥かに進化しているであろう奴等がこの星に来ているという事実自体が一つの脅威なのです!

 だから僕は考えました。

 奴等の正体を見抜く方法を。

 だって、それに気付いた者が警戒するのは、地球人類として当然でしょう。

 奴等が人間社会で生活している以上、恐らく我々とそう変わらない肉体構造をしているはず。

 そう睨んだ僕はとある事実に気付いたのです。

 ネオテニーという概念を御存知ですか?

 肉体的な発達を遅らせる事で生物が幼児体のまま性的に成熟する現象です。

 アホロートル、一般的にはウーパールーパーと呼ばれるサンショウウオが見せる形態が有名な物ですが、実は進化論において重要な役割を果たすのではないか、という説があるのです。

 人間がチンパンジーのネオテニーではないか、と考える解剖学者もいるんですよ。

 つまりですね、奴等が我々より進化しているとしたら、それは人間のネオテニーとしての肉体を持っているのではないか、僕はそう結論付けたんです!

 ならば、奴等は自分が紛れ込んでもおかしくはない場所にいるはず。

 だから僕は幼稚園や小学校の近辺をパトロールして回っていました。

 だって、何時奴等が動き出すか分からないじゃないですか!

 見張っていないと危なくて仕方が無い。

 そうしてですね、警戒を続ける内に、どうにも怪しい奴を見付けたんですよ。

 ええ、常に一人で行動し友人もいないであろう女性型の個体ですね。

 怪しい。

 でも証拠が無い。

 何日か後を尾行してみたけれど何も出てはこない。

 だから、僕は決意したんです。

 奴を捕獲し、その擬態として纏った衣服を排除した上で全身をくまなく観察し、人間との相違点を発見しなければならないと。

 そして、それを今日、この場で実行に移した訳なんですよ!

 ですから、これはですね、人類と地球の未来を守るべき崇高かつ重要な行為なんであって、決して、決してやましい意図の元には…」

「よし、話は分かったからとりあえずパトカーに乗ってくれんか?」

2024年12月1日に東京ビックサイトで開催される文学フリマ東京39で、UFOや超常現象など、我々の世界をささやかに彩る事象を、肯定/否定などの立場を越えて慈しむサークル「Spファイル友の会」(G-59)から『UFO手帖9.0』が頒布されます。

小説ではありませんが私も「UFOと漫画」というエッセイで参加していますので、ご来場の際はぜひお立ち寄りを。

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