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9.自己紹介と世界観説明だと思ったら、意味不明な情報ばかりで楓華は撃沈する

手合わせを終えた後、楓華と3姉妹は喫茶店で(くつろ)いでいた。

他にお客は()らず、楓華とミルの2人はフルーツパフェを楽しんでいる。

そんな何気ない交流も大切だが、現状を知ることの方が優先だ。

そのため楓華は3姉妹それぞれに質問を投げかけている最中だった。

とは言え、質問内容は楓華らしさ全開だ。


「まずヴィム姉の趣味は?」


「手芸かしらね。武術はダメダメでも、それ以外のことなら大抵できるわ。拾われる前はメイドで、失業した後に拾われたのよ」


「へぇ、意外な経歴だね。それじゃあ次にヒバナちゃん。貴女の御趣味は何でしょうか?」


「なぜ某だけ面接っぽいのですか……。某は、強いて言うなら1人で過ごすことが趣味ですかね。1人カラオケ、1人焼肉、1人アウトドア、1人テーマパーク、1人観光地巡り。ふふっ……はぁ……」


ヒバナは自虐的に言うと共に、表情を暗くして背中を丸めた。

ただ割かし活動的のようなので、そこまでマイナス要素みたい語るほどでは無いと楓華は思った。


「ヒバナちゃんは1人で好きなことを自由にやるのが好きなんだね」


「いいえ……。友達と遊ぶのも楽しいなぁと思うのですけど、臆病で誘えないだけです。あとヴィムお姉ちゃんは忙しいですし、ミルは……けっこう自由奔放ですので。そもそも借金のせいで、1人用フリーパスしかなくて……」


「ふぅん?まぁ今度、街の観光案内も兼ねてアタイと遊びに出かけようか。それじゃあ次はミルちゃん。自己PRをどうぞ」


上手くフォローする言葉が思いつかなかったらしく、楓華は問いかける相手をさりげなく変える。

おまけに質問の方向性も変わっているが、ミルは特に気にかけず、お喋り好きの女の子みたくペラペラと語り出してくれた。


「ミルの長所は優しいところかな。短所は無し!特技は早口言葉で、好きなことは遊ぶ事とオシャレ。あと最近はアニメやドラマを見る事も好き。勉強は苦手だけど、集中力はあると自負してるよ」


「うん、ミルちゃんは自尊心が強いね。自分に自信があることは良いぞ~。さて、次の質問は…」


「ちなみに!ヴィムお姉ちゃんは虫と暗闇が苦手で、ヒバナお姉ちゃんは男性が苦手だよ。ミルはどれも平気だけどね。でね、元々ミルは別世界で魔狼(まろう)の狩人組織『赤ずきん』の一員だったんだ。でもある日、異世界転移されちゃった」


「はん?あーちょっと待って、異世界転移だって?で、赤ずきんって……ごめん。失礼な質問かもしれないけど、もしかしておままごとの続き?」


唐突にミルの口から聞き慣れない用語が使われ始めたので、さすがの楓華も困惑して悩む顔を見せた。

この困り果てた反応に対してヒバナは待っていたと言わんばかりに身を乗り出し、やたらと大きな声で(まく)し立てる。


「そうですよ!某達への質問より、まずフウカ氏が自身に置かれている状況を整理すべきです!この世界の事とか、何も知らないじゃないですか!」


「あぁそうだった。アタイの興味がすっかりアンタ達に移っていたから完全に忘れていたよ」


「フウカ氏は記憶喪失の体質でも持っているのですか……?とにかく説明上手な某に、ざっくりと説明させて下さい。この世界は特殊なので、何も知らないまま生きるには過酷ですよ」


それから説明役という存在意義を勝手に見出したヒバナは、色々な事を教えてくれた。

この世界は様々な種族のみならず、神々や魔王、神話生物といった高い能力を持った存在が普通に街を闊歩(かっぽ)していると。

また異世界転移が日常的に多発しており、あらゆる科学技術と高度な知識、想像を上回るアイテムの流通すら珍しくないこと。


挙句の果てには1つの銀河に対して文明が築かれている惑星が10億以上も存在しているのに、その銀河が最低でも1兆は存在していること。

どれも規模が大きい話だが、ヒバナ達も全てを把握しているわけでは無いので世界は更に広く複雑なはずだ。

それら一通りの説明を姉妹から聞き、楓華は自分なりに一言でまとめた。


「おっけーおっけー。要するに、何でもありの世界ってわけか」


「ビックリするくらい要点を噛み砕きましたね……。その通りではありますけど」


「だけど、やっぱり想像が難しいね。こう、身近なことで例えた話とかは無いのかい?」


「えっと、近くに別の村があるのですけど、そこでは龍族がバーベキューしていますし、突如巨大怪獣が出現したり、宇宙戦艦が集合して全世界生中継ライブが開催されました。あと天空城の獣っ子カフェが人気だとか」


「あん?」


さっきの説明で何でもありの世界だと分かったつもりなのに、それでも理解が追いつくためには心構えが必要だった。

そのせいで楓華は頭を悩ませてしまうが、ヒバナの容赦ない説明は続いた。


「他にも天才錬金術師が触手で学会を揺るがし、盗撮が生きがいの映画監督。それと、お祭り企画が大好きな農民と世界的アイドル親子も居ますね」


「は?いや、あのさ……」


「あとは結婚式で地獄全域を模様替えした幼い死神。世界樹を栽培しているハーフエルフ。カルト教団の教祖である見習い女神。宇宙規模でお店を経営している魔女。他にも初々しい鬼娘が看板娘しているとか。ちなみに某の知り合いでもありますね」


「ちょっと待って。支離滅裂というか、情報量が多過ぎて大半のことを聞き逃したんだけど。だから、まぁなんだ。アタイは混乱した」


楓華の言い分は至極当然であり、まだ全てに理解が浅いから正しい反応だ。

何より口頭で専門用語を羅列(られつ)されただけと変わりないから、現時点では覚える気すら湧かなかった。


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