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72.バニーガールと幼きエロスの女神は抱き枕でドラゴンによる性癖トークとおまけに防犯ブザー

楓華は現地で買った大胆な服を着用し、早速自信満々な顔でファッション店を出た。


「これでヨシっ!」


先程の服装とは一変して、彼女は肌露出が多い生足のバニーガール姿となる。

兎の特徴を持った人間と考えれば、半獣人らしさが最低限あるから適切な選択なのかもしれない。

一方、モモは鬼族に相応しい恰好を求められたのか、ほぼランジェリー姿の恰好となっていた。

問題なのはメイド服みたいな色合いで、何かしらの拘りある改造が施された服同然になっていることだ。


「フウカさん。試着を経て買った私が言うのもなんですけど、これ変態っぽく無いですか?」


「そう?似合っていてカワイイと思うけど。それにモモちゃんは天使みたいな可愛さあるから、結果的にエロスの女神って感じかな!」


「欲望がダダ()れじゃないですか。そこはせめて美の神って表現して下さい」


「いいや、完全にエロスだね。エッチパワーが解き放たれていて、淫乱ピンクが体現されている。まさに甘い果実だよ。願わくば抱き枕にしたい」


「はっ?あまり冗談の度合いが過ぎると、いくらフウカさん相手でもぶっ飛ばしてあげますからね」


楓華に煽られたせいでモモの口調は刺々しくなってしまっているが、その表情は恥ずかしさ全開で周りを気にする視線となっていた。

つまり冗談を受け流す余裕が失われているほど、幼い少女は羞恥心に苛まれている。

だが、普段は気丈に振る舞うモモが恥ずかしがっている様子に楓華はギャップ萌えを勝手に見出し、からかい続けた。


「安心して、モモちゃん。これは大人の色気を備えているって褒め言葉でもあるから。要するに大人ってのはエッチそのもので、みんな愛と卑猥(ひわい)なエッチを求めているんだよ!」


「そんなモンスターみたいな、本能丸出し持論を熱弁しないで下さい。今のフウカさんは見境(みさかい)なく欲情する変態さんでしょ。それとフウカさんも少しは恥ずかしがったらどうですか」


モモは煽り返すのが一番の対抗手段だと考え、楓華の無防備な胸を平手打ちする。

しかし胸は揺れども、度胸ある彼女の精神が揺れ動くわけが無かった。


「ぁん。そんな事を言ってアタイのおっぱいを揉みたかったのか。ありゃりゃ、アタイの溢れんばかりの美貌で女の子を誘惑しちゃったな~」


「メンタル無敵ですか?いえ、生中継に突撃する人が羞恥心を覚えるわけが無いですよね。はぁ……。負けを認める以前に、勝ちたいと思いたくも無いです」


「アタイは率先してエロを求めるだけであって、恥ずかしがることは普通にあるけどなぁ。とりあえず、モモちゃんを抱き枕にするのは後回しにしてさ」


「はい?今、なんて言いました?」


「準備が整ったからドーム会場の方へ行ってみようか。パーティーの準備があるだろうから、もう入れるかどうか分からないけどね」


「付いて行きますけど……。えっ?私が抱き枕にされるのは確定なんです?もし本当にしたら、お姉ちゃんに貰った爆音防犯ブザーを鳴らしますからね?」


モモは警戒した物腰で言いながら、どこからともなく防犯ブザーを取り出した。

そして即座に鳴らせるよう肩に紐を通してぶら下げる。

だが、なぜか楓華はそれすら装飾品の1つとして見なしてしまい、舐めるように観察する視線を送ってモモの背筋に寒気を走らせた。

こうして妙な盛り上がりを見せる2人だが、実はマイケルが低空飛行しながら律義に待機してくれていた。


「華やかな正装だな。正直、我には先程の衣装との違いが分からぬが……。さぁモモ殿とフウカ殿、我の背に乗るがいい。ドーム会場へ参るぞ」


「ありがと~マイケル。ちなみにだけど、マイケルにとって興奮する好みってどんなやつ?」


「無論、第一は(うら)らかながらも強靭な(うろこ)だ。そして星々も射抜く獰猛な瞳に万物を噛み砕く口と鋭利な歯。もし出会いがあれば、やはり甘噛みして欲しくてな。それからメスが丹念に磨いた角にも注目すべきで……」


「ヤバっ。ドラゴンの熱心な性癖トークが始まったわ」


楓華の質問は単なる好奇心によるものだったが、この1つの質問に対する回答は終わりが見えなかった。

それこそ飛び立ってもマイケルの軽快にして怒涛の熱弁は続き、ドーム会場前へ到着しても本人は感慨深そうに語っていた。


「それと小さき親友にも噛まれた事があってな。あの時は内心トキメキを覚えたものだ。しかし、酒宴の場であれど我の立場がある。異種族に(うつつ)を抜かし、痴態を晒すわけにはいかぬだろう。ただ少女の笑顔は宇宙の深淵も照らす(きらめ)きが…」


「うん分かった!ありがとう、参考になったよ!それじゃあ、帰る時またよろしくね!」


独り言が絶えない状況に楓華は面倒臭さを覚え、強制的に会話を打ち切りながらモモの腕を引いて離れた。

それでも後ろからマイケルの話し声は途切れなかったため、2人はちょっとした恐怖感に(さいな)まれてしまうのだった。

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