新しい家
崩壊寸前だった母はある日からみるみる元気を取り戻したようだった。
そして、それと同時に知らないおじさんが家に頻繁に来るようになった。
おじさんはなんでも好きなものを買ってくれる。
「おじちゃんの事、パパって呼んでくれて良いからねー。」
「うん、ありがとうパパ。」
この人をパパと呼んでおけば母もこの人も機嫌が良くなることはわかっていた。
「それにしても本当に君に似て将来有望な顔立ちだなぁ。」
ご機嫌な母はさらに機嫌良く答える。
「でしょ?どこかの事務所にでも入れようかって考えてるの♪周りからも私に似て絶対イケメンになるって言われてるんだから♪みっちゃんも有名になりたいよねー?」
久しぶりに見た母の笑顔に応えるように頷いた。そうでもしないとまたあの母に逆戻りでもされたらたまったものじゃ無い。
それに母の辛そうな姿は二度と見たくなかった、母が幸せなら俺も心の底から幸せだったからだ。
今俺の世界にはこの人にしか興味が無い。母だけが俺の全てだった。
ーー前の母さんはこんな姿見たことなかったな。当たり前に安心させてくれていたから気付かなかった。亜夢もずっとママ、ママって沙織から離れたがらなかったもんな。その気持ち、今ならすごくわかる。ーー
そして母と俺は家を出て、次の父親であろう人の家に住む事になった。
次の家は子供の俺でもわかる、大豪邸だ。お手伝いさんのおかげで母は俺の前でも笑顔が増えた。
「みずきー♪これからはこの家で3人で楽しく暮らすのよ♪くれぐれも新しいパパに迷惑かけないでね?お仕事に支障をきたしちゃったら大変なんだから。」
笑顔の奥には何か別の感情を持った母が言った。
「うん、新しいお家、楽しいね!ママありがとう!」
幸せ満開のこの顔を見たのは生まれてすぐの時以来だった。
強く抱きしめられたのもいつぶりだろう。
その日の俺は久しぶりによく眠れた気がした。
思いつきで書いてみた初心者です
至らない点が多いかと思いますが、読んでくださる方がいたら頑張って続き書きます