あんかけ肉団子は家庭の味
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ぺろぺろという名前の男の子がいました。ぺろぺろがなんでぺろぺろというのかといいますと、なんでもぺろぺろなめてしまうからでした。アイスクリームや アメちゃんなんてものなら何の問題もありませんが、ぺろぺろは机やおさいふ、メガネや車なんてものまでなめてしまうので困ったものです。12月のある日、 ぺろぺろはいつもの様にお気に入りのランボルギーニ・アヴェンタドールが止められている駐車場に行き、いつもの様にぺろぺろ。しかしその日はあまりに寒く て、ぺろぺろの舌は、ランボルギーニ・アヴェンタドールにくっついてしまいました。大変ですね。
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「――というふうな具合に、今日はちょっと児童小説にチャレンジしようかと」
「最悪極まりないですね。書いたら捕まりますよ」
「なにそれこわい。かわいいじゃんぺろぺろ」
「完全に響きだけですよ可愛いの。やってること普通に変質者じゃないですか」
「そうかなー」
「そしてなんですかランボルギーニ・アヴェンタドールって、なんでここだけ妙に詳細凝ってるんですか」
「で、でも子供って車好きだしー俺好きだったし―」
「子供にランボルギーニ・アヴェンタドールとかいってもポカーンですよ。完全に置いてけぼりですよ」
今日も今日とて、中村さんが家にいる。一週間前にうな重を食べたせいで、財布内の財政状況が南アフリカのヨハネスブルグ状態になっていて、職場での昼食が 一週間インスタント味噌汁のみだった俺のために、なにやら食糧支援をするために来てくれたという。なんだ天使か。
リアルに体重が4キロ落ちた俺には、大量の食料を両手に持った中村さんが天使に見えたけれど、翌々考えてみたら中村さんにうな重おごったから今俺は死にそうになっていたのだった。危うく騙されるところだった。そんな俺の二律背反的思考推移を意に介さず、中村さんはてきぱきと食料を冷蔵庫に詰めて、当たり前のように俺のエプロンを付けた。
「今日はお酢を使った料理にしましょう。何食べたいですか?」
「手巻き寿司!」
「魚がないです。肉団子の甘酢あんかけにしましょう」
「選択肢などはじめからなかった……」
「一応聞くという態度が大切だって本に書いてありました」
中村さんは手慣れた様子で料理をこなす。豚肉の挽き肉をこねて、包丁で長ネギを切り、油を暖めながらじゃがいもをレンジに入れ、豚肉を団子状にする。レン ジから出てきたじゃがいもをすりつぶし、油が温まってきた所で肉団子を揚げる。あとは皿を用意して、レタスを数切れ敷いて、ポテトサラダを盛りつけて、肉 団子を油から上げて、予め用意していたあんかけたれと一緒に鍋で軽く煮込んで、肉団子を盛りつけた。
「なかなかの手際、おぬしやりおるな」
「へへえありがてえお言葉。料理は少し自信あるんですよ」
食べてみるとなるほど確かに、肉団子のボリューム感と、適度なお酢の風味が食欲をそそる。更には付け合せのポテトサラダともなかなか相性が良い。どこに出しても恥ずかしくない、暖かい家庭の味だった。中村さんがなにかそわそわしながら、俺を見ていた。
「味のほう、どうですか?」
「美味いなこれ」
「ほ、本当ですか?」
「うん、これなら毎日食べたいくらいだ」
中村さんは目を見開いて、アワアワと口を動かして、何度もまばたきをして、くすぐられているかのを堪えているかのような表情を浮かべていた。トイレにでも行きたいのだろうか。
「せ、先輩、それって……」
「まあ急にこんなこと言っても困るよな」
「い、いえ、私の方は別に……」
「ちょっと待って、ちゃんと考えよう」
「は、はい」
「一ヶ月は平均30日ある。一日の食費合計が300円。ひと月大体9千円なわけだ、それにバイト料として払う分を追加するからーうーん。一ヶ月8千円くらいまでかなー」
「は?」
「いやだから、バイト料一ヶ月8千円払うから、俺に御飯作ってよ」
ここ数ヶ月で一番重いローキックが飛んできた。
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