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豚しゃぶ鍋と熊五郎

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 胸を焦がすのは、彼の瞳だった。

鋭く、誰も寄せ付けないような拒絶の色。光が届かないような奥底で、一人で彷徨う野良猫のような瞳。それでいて、何処か哀しさ、寂しさを感じさせるその暗黒の瞳は、私の心のなかを激しく揺さぶって離さない。そんな冷静と情熱のあいだで、私は揺れる――

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「みたいな胸キュンぞっこん恋愛小説を書いてみようと思うんだけど」

「良かったですね、書いてたら即死ですよ」

「俺の小説アイディアは劇物かよ!」

「お鍋食べてる時に毒薬の話題出さないで下さいよ」

「おっかしいなー俺結構本気でいいネタだと思ったんだけどなあー」

「ほら先輩、安物の豚肉が煮えてますよ」

「安物は余計だ。お豚様に失礼だろうに」


  中村さんは俺の小皿を取って、豚しゃぶ鍋を取り分けてくれた。丁度食べたいと思っていたしいたけを入れてくれたのはポイントが高い。口は悪いけれど、意外と気が利くのが中村さんだった。


体の芯まで冷え込むような1月17日、中村さんは鍋を貸してくれと野菜を持ってウチのボロアパートにやってきた。野菜は私が用意したので、先輩は肉を用意してくださいとアパートを蹴りだされ、給料日手前の俺は明日の食費を犠牲にしてしゃぶしゃぶ用豚肉を買ってきた。


そんな豚肉を見て、中村さんは死んだ魚みたいな目で俺の顔を見て、

「先輩にはほとほとあきれました」

と言いながら鍋の準備を始めた。何故か俺のエプロンを既に着けていた。


なんでコイツは俺の家のものの位置を知っているんだ。意外とてきぱきと準備をする中村さんをみて、目つきを直せば将来いいお嫁さんになるんじゃ ね? と気の利いたことを言ったら蹴られた。本気で蹴ってきた。痛くて涙が出そうだったけれど、先輩なので我慢した。


 出来上がった鍋は 結構美味しそうだった。まあ鍋だからよっぽどのことがなければ失敗するものでもないんだけれど。しかし会話がない。泣きたくなるほど会話がなかった。


俺は そもそもドレッドノート級のシャイ・ボーイ☆であって、女の子と二人で鍋をつつきながら、ジョークを交えた気さくで小粋なトークなんてものと縁のない人間だった。


そして中村さんも、まああんまりそういうタイプではない。だから俺は、本来なら隠しておきたい小説執筆についての話題を彼女に切り出すんだけれど、毎回毎回切り伏せられる。


「先輩は休みの日はなにしてるんですか?」

「小説書いてるよ」

「それ以外は?」

「飯食って寝てるよ?」

「……うちの近所にいる野良猫の熊五郎の方がよっぽど有意義に生きてますね」

「えっまじで? 俺の人生熊五郎に負けるの? ていうか猫なのに熊なのかよ」

「熊五郎は新宿を仕切るボス猫で、九千の配下と五千の側室がいます」

「そんなネコならむしろ勝てる人間の方がすくねえよ!」

「熊五郎は一メートルくらいで、人語を解する超猫なので」

「それもうネコとかじゃねーよ! モノノケのたぐいだよ!」

「先輩はそういうわけで、熊五郎には勝てません」

「まあ、悔しいけれどそうだろうよ」

「それに、先輩は今のままでいいんです」

「へーへー、情けない先輩ですまなんだね―」


 何故かおもいっきり引っ叩かれた。地味に痛かった。


「で、次の小説はいつ出来上がるんですか?」

「一応書き終わったけれど、貴様にはみせん!」

「いつもの場所ですよね、後で貰っていきます」

「だからなんでお前はいつも俺の家のモノの位置を把握してんだよ!」

「先輩の考えることなんていつだってお見通しです」

「チクショー!」

「本棚の裏に収納されているエロい本の所在とかも全部知ってます。巨乳が好きなんですよねこのクソド変態」

「お、女の子がそんなはしたない言葉を言うんじゃありません!」


 そんなこんなで、中村さんはいつものように俺の心をボロボロにしたいだけして、終電間際に原稿を本当に発掘して持って帰っていった。


駅まで送っていくと、 寒いのか中村さんは少し頬を赤らめていた。顔赤いぞ風邪を引くなよと心配したら、また鋭いローキックが飛んできた。


新作連載スタートしました!

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ブクマ、評価いただき誠にありがとうございました!ものすごく元気と勇気をもらえました。これからも精進するので応援を宜しくお願いします!具体的に言うと評価とブクマとか。評価とブクマとか。あとコメントとか……宜しくお願いします!(ゴリ押し

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