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考察  作者: 吹っ飛んだ布団
1/2

01 信号機

人はなぜ生きるのだろう。

私は、日課である散歩をしながら思案にふける。

気持ちのいい風が山のほうから吹いてくる、良い午後であった。

誰もが一度は考えたことがあるであろうこの問いに、私もまたすぐには答えが出せずにいた。

では、人が「生きていてよかった。」と感じるのはどういうときだろう。

美味いもので腹を満たしたとき、異性と触れ合うとき、趣味に没頭しているとき、、、

その共通点は、「現実を忘れている」ことであろう。

人は、自らが抱えている現実を忘れているとき、生きがいを感じている。

たとえ良いことがあってもその数日後には困難が待ち構えている。

それは誰しもが経験していることであり、「忘れたい」と考えるのも必然であろう。

では、なぜ「死」を持ってその現実から解脱したいと考えないのだろう。

やはりこれもすぐには答えが出るものではなかった。

しばらく歩いたのち、信号に差し掛かる。

()()()()()()()()、私はその()()()()()()

()()()()()()()()()()()()()

そこではっとした。

なるほど、信号と同じではないか。

私は信号が赤になったからその足を止め、青になると再び進めた。

それは本来の「交通事故を防ぐため」という目的を忘れ、信号の色だけを意識し目的とした行動である。

これは生きるという行為に当たっても同じである。

つまり、我々はなぜ死なないのか。それは「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()」である。

なるほど、面白い。

その後も二、三のことを考えながら帰路に就く。

今日からも「つらい現実を忘れるためにその現実を生きていこう。」

私はその矛盾をまるで苦心して完成させた彫刻か芸術品かのようにそっと胸にしまいこみ、靴を脱いだ。

扉の向こうに広がる空は、すっかり赤く染まっていた。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

これからもこのような作品を投稿していきたいと考えておりますので感想、評価、ブックマークよろしくお願いします。

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