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43 地味女の復活と危機

公爵夫人は、イライザが連れ帰りました。


無論、アルが指示を出したからです。今や、イライザは、アルの忠実なしもべ。


こいつが、万が一東宮なんぞに雇われてたら、大変なことになってたでしょうね。


エイブは、ようやく起きた私に、

(良かったスープは呑めたね)

(階段の昇り降りは、大丈夫?)

などと、ご機嫌伺いをしてきます。


必死やな。


くそばばあは、エイブに噛み付いたそうですが、逆ギレされて、その後さめざめと泣かれて、毒気抜かれたババアは、何の解決もなく、

退場。


ババアのせいで、エイブの

『大人に裂かれた純愛を取り戻した僕たん』

が、復活してしまい……

私のキレっぷりに、正気になったはずなのに、まーた、

『妻も愛人も、どちらも選べない僕たん、可哀想!』

に、なってしまい……



ほっとこう。


タウンゼントにエイブを説得≠説教して貰って、当主教育を続けてもらって、缶詰にさせています。



「書類は、ほぼ、揃ったよー」

久しぶりな気がするウザークは、家出か?と言うくらいの鞄を持ち込みました。

「これ、全部?」

「うん」


「……もしかして、全部、頭に」

「うん。入ってるよ

どこに何が書かれているか、記憶してる。

こういうのはひと月ばかり、持てばいい記憶だからねー。

簡単に覚えられるんだー」


いや、アンタすげえわ、ウザーク!

しかも。

「……領地へ行ったのね?」

「うん。城の家令とか鉱山会社とか、あちこち会わなきゃ、転写できないでしょ?」


そうなのよね。

人に会って、書類を見せてもらって、それをそのまま、丸ごと記憶して書くことができるのよね。


ウザークと、敵にはなりたくないもんだわ。


「アルは?」

「こっちも上々。

釣られてやったよ。

これが、書類。

ウザークのと、照合して貰う」


アルは、くっくと、喉で笑い、

「それから、イライザから、結構聞き出したぜ。

あいつが、声をかけた女子学生」


完全な洗脳状態ですねー。

アルは、お友達になりたくないタイプですよね。


「それについては」

エマが、加わりました。


「エリス様に、裏を取って頂いています。

アラン様が、お見舞いにいらした時に、僭越ながら、お話を通させて頂きました」


「ちい兄様とエリスなら、安心して任せられるわ……

彼女の家、リーン伯爵家は、御典医ゆかりの医師一族ですからね」


もしも、の時にも、対処して貰えるでしょう。学長に、通しておきますか。


さあ、準備は、さくさく整いました。


「イザーク。

中兄様に、連絡を。

仮面のパーティに、エマをエスコートして貰いましょう」


三人は、エマを同時に見て、ニヤニヤ。

「……何よ」

「いやー

お前の晴れ姿を見るなんてさー」

「イーヴォに記念の写真を、ワプ!」


私はウザークに、クッションを投げました。

「あんた達、今、エマの拳にも、あんた達の顔にも、傷を付けるわけにいかないんだからね!

綺麗な顔でなきゃ、幕引きの時に、困るでしょ?」


まだ、病み上がりの私は、ゼーハーします。


「お嬢様、大丈夫ですか」

「ありがとう……あら、エマ」

「はい」

エマは、変わらない表情ながらも、口元を綻ばせて、

「もう奥様なんて、呼びません。

さっぱりスッキリしましょう、

ビアンカお嬢様」


「そうだねー

も、領地なんかなくったって、

ビアンカはさ、運用できる資産貯め込んでるしさー」

と、ウザーク。


「公爵家も、実家も離れて、俺たちで、面白いこと、やろーぜー」

と、イーヴォ。


「お嬢は、俺の最高の生徒だからな。今後も、面倒みるさ」

と、アル。


全く、アンタ達は……。


「分かった。

ビアンカは、ビアンカらしく、

生きていくわ」


エマは満足げでしたが、


「さあ、こうしては居られないわね!

エマ、磨き隊に、最後の仕上げをして貰って!

後で私が、チェックしますからね」


ひえ、と、軽い悲鳴とともに、

(エーマー!

さあさー

参りましょー)

と、女中頭に、持ち去られました。


「ビアンカ様!」

そこに、タウンゼント。


「アラン様からです。

侯爵閣下が、じ、じ、」


沈着冷静な執事が、何の動揺でしょう?


「タウンゼント」

「事故に、合われた、と!」

「えっ」

「馬車がお迎えに!

奥様、お早く」


事故?

何の?

父が?


「ビアンカ、行け」

「あとは俺たちがやっとく」

「奥様!」


お父様……


「ビアンカっ!」

エイブが走り寄ってきました。

「乗るんだ!行くぞ!

しっかりするんだ、私も同行するっ」


エイブの真剣な顔……


私は人形のように、エイブに抱かれ、小走りに馬車まで走り、

馬車に乗りました。


そう。

そして、

馬車が走り出すやいなや、


記憶が切れたのです。






ごめんなさい

話の関係で、今回短いんです。


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