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14 地味女 嫁の務めに励む

一応、乙ゲー&ライトノベル設定なので、ビアンカが何やら不穏な言葉を使いますが、気にしないで下さい笑

なるべく敬語と丁寧語を使いますが、時々地金が出てます。

気になる方は、お申し付け下さいまし。

その後の私の結婚生活は、順調でした。


夫を送り出す。

別邸の修復作業と、経理事務。

お散歩。

エスメ夫人や色々な方々の茶会。

たまの夜のお出かけで、お芝居やオペラ。

晩餐。

夜の♡


どうです。結構忙しいでしょ?


なのに、更に忙しくさせる奴がいます。そう。


お義母様。


あれ程恥をかいたのに、姑は、

「本家の奥を教えますから、こちらにいらっしゃい」

と、呼びつけて、

ネチネチねちねち、指の動きまで文句文句。


これがあなた、週に三回。


大タウンゼントも、優秀な侍女も女中もいるのに、

どうして私が銀器を磨いたり、

掃除をしたり、

納戸の整理をしたり、

カーテンを替えたり、

しなきゃいけないんでしょう。


銀器は優秀な男性家人が扱うもの。

それに、私が掃除や片付けをしたら、女中たちが迷惑じゃないですか。


「ふん。

作業服がよっくお似合いだこと」


おお、ぼっち娘。

家では、大きな顔ですねー。

エリスから聞きましたよ。

男の子達まで、

(公爵令嬢は淫乱)

って言われて、

(あの、母から、ちょっと)

と、女の子達から、遠のかれ、


はっはー

陰キャの私と同じ最底辺!

いやいや、私は、ちゃんとお友達居ましたよ。女のコは少なかったけど。


相手にしないでスルーしたら、

「ああら!学のある方は、私ごときと、会話もしたくないってのかしらね!」


と、喚くので、


「だったら書物の一冊くらいお読みなさったら?

お義母様に仰せつかったお仕事のおかげで、貴女のように暇ではないの」

と、返すと、


「……っ、この家まで我がものにする気?別邸は、ウチの物よ!アンタのじゃない!なのに、あんな主人顔して、威張って、

人を貶めて!」


と、グチグチ言ってるので、


「だーかーらー」

と、私は、そこから大陸語で


『お前が低脳だから、ワナにかかるんだろうが。人を虐めたかったら、もう少し、頭使ったら?

まあ、空っぽの頭じゃ、使うおミソも、ないかしらね』

という、悪態を


悲しそーに言ってやったら、

中身の分からないボンクラ娘は、泣き言云ったと、誤解して、去りました。


『馬鹿娘ー』


遠くで大タウンゼントの肩が震えておりましたね。彼、大陸語が分かるのですね、流石、筆頭執事です。


さあて、カーテンを替えてしまいましょう!


「若奥様、お休み下さいな」

「そうですよ。お手が傷みます。

私たちが若様に叱られてしまいます」


本家の女性陣も、お優しい。

励まし隊が、良いように伝えて下さった様子です。


それでも

「公爵家の嫁たるもの、本家の何処に何があるか、一刻も早くご承知頂きたく」

と、女中頭は、厳しい目で監視してましたから、休めません。


「今の奥様は、先代様から、それはもう厳しく厳しくされて。

同居でしたから、貴女様以上のお辛さでした。

おかげで、早くに先代様が亡くなられても、揺るがず公爵夫人として君臨なさったのです!」


おお。姑に付いてきた女中ですね。

贔屓の引き倒しです。

先代の奥様は、姑が嫁いで、わずか半年で亡くなったそうですよ?

たった半年で、ロックフォードの隅々まで、把握なさったんですかあ?


それに。


同じこと私に要求するってことは、お義母様、あんまり先がないんですかね 笑。わあ短命? 笑笑。


脚立で伸びをして、レールを触る私を見た女中たちは、


「サットン夫人

若奥様に高い所に上がっていただく訳にはまいりませんわ」

「もし、お子がいらしたら」


と、申してくれました。


おお、そんな配慮もありますね。

ありがとうございます!


「これしきの片付けで流れるような、ヤワなお身体では、それこそ困るでしょう」


サットン。

鬼軍曹もかくや、だね。


まあ、絶賛月のモノ中だから、絶対やや子は、おりません。

でも、月のモノだから、ちょっと貧血なんです。

流石に、しんどいですね。

いっちょ、フラフラと、倒れりゃ可愛げもあるんでしょうが、

そこはビアンカですからね!


正体なくして、介抱されて、素顔がバレたら一大事ですもん。

意地でも、倒れませんよお〜。


そんなこんなで、鬼軍曹の指示は、全てこなしました。


姑は、ちょっと悔しそうでしたが、私の顔色が悪いのを見て、溜飲を下げたようです。


性格悪ー。


この間、私に恥をかかされたと、恨んでるので、多分、今後もこの作業は、続くものと思われます。


ろくに茶も、食事も、もてなされず、私は別邸に帰りました。


疲れました。


私の様子を見たエマは、目をひん剥いて、すぐさま寝室の用意を女中に告げました。

何でも、真っ青だったそうで。


「今日は、ベッドでお食事もなさって下さい。

滋養のある物を用意させます」


私は横になって、ようやく身体が弛緩しました。

いやー、ふかふかで、気持ちいいー。


「おいたわしい。

下女同様に、こき使われたと」


「アソコには、サットン夫人が居ますからねえ」


「若奥様は、頑張ってしまわれるから……

奥様なんて、手を抜いては先代様に叱られておりましたよ」


女中頭の情報、アザース!

私の手札にしますね、それ。


いや、冗談言ってる場合じゃない。

そろそろ、エイブが帰ってくるお時間です。


「ビアンカ様」

タウンゼントが入室しました。


「申し上げにくいのですが、今晩は旦那様は、お帰りにならないそうです」

「え?それは、急な話ね」


「またも、上司の言いつけで、4日ばかり、宮廷に詰める、と」


「……そう。ありがとう」


今週は月のモノで、元々夫の要求には、応えられません。

でも、こんな辛い時に、あの優しい声と森の香りで、癒して頂きたいと、思うのも、事実です。


独り寝の寝台は、広い。


クソ上司め……。


(ん、と、待って)


4日程って、もしかして?

私の月経期間ということ?


どうせ一緒に居たって、デキないわけだし、って?


(まさか……)


夜のとばりが下りて、室内は明かりと影のコントラストがハッキリしてきました。


輝く太陽のもとでは、無かった影の闇。

(……偶然、よね?)


今日は、本当に疲れたし、この時期は、ナーバスになるものです。

悪い考えが浮かんで、それに固執しかねないのも、むべなるかな。


私は、痛む下腹部を抱えながら、眠りにつくことにしました。

夜が明ければ、また、強いビアンカに戻れると、自分に言い聞かせて。



この夜の疑惑は、随分後に、はっきりしました。






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