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文化祭で歌うことが決まった次の日のお昼休み、教室でお弁当を食べ終わって雑談していると廊下がざわついた。


「莉子、乃亜先輩が来てる」


見に行ってくる、と廊下に出ていった響華が戻ってくるなりそう言った。


「乃亜先輩? 1年のクラスに来るなんて珍しいね」

「莉子に会いに来たんじゃ?」


放課後になれば部活で会うのに来ないでしょ、なんて思ってたこともありました。


「りぃちゃんのクラスに来たの初めてだなー!」


にこにこしながら教室を見回している乃亜先輩。なんで乃亜先輩がここに? って声が聞こえるけど、私も聞きたい。


「先輩、どうしたんですか?」

「えっと、特に用事はないけどりぃちゃんに会いたくて?」

「……は??」

「そんな目で見ないで?! 文化祭の曲決めだけしておきたくて来ちゃった」


来ちゃったって可愛く言ってもダメですからね?! なんて思っていたら私より早く周囲が反応した。


「乃亜先輩、文化祭の曲決めって、ライブ出るんですか?!」

「昨年はソロで参加したんですよね? もしかして今年は莉子ちゃんと組んで出るんですか?!」

「うん。りぃちゃんがOKしてくれて、一緒に出ることにしたよ」


乃亜先輩が笑顔で文化祭で歌うことを伝えると歓声が起きた。ね? と首をかしげながら聞いてくる。かわいい。


いつの間にか他のクラスの子も覗きに来ていて、人だかりができている。


「やばい! これはもう見に行くしかない」

「もうクラスの出し物とかやってる場合じゃなくない?!」


え、これどう収拾つけるの? OKしたのは早まったかもしれない。……そもそもOKしたことも覚えてなかったわ。


「ということで、りぃちゃん借りてもいいかな?」

「「「どうぞ!!」」」


現実逃避しているうちに貸し出されてしまった。

……先輩、私は物じゃないんですけど??


そしてクラスメイトの皆、速攻許可出すのやめよう?

発言する間もなく乃亜先輩に手を引かれ、教室を出た。振り返ると、いい笑顔で手を振る響華とクラスメイトが見えた。


廊下にも沢山の人が居たけれど、乃亜先輩が進むと道が出来てスムーズに進むことができた。ものすごく目立ってるよ……


たどり着いた先は中庭で、空いているベンチに並んで座った。


「あー、外だと暑かったね……場所変える?」

「日陰ですし大丈夫です。それより、なんで教室なんて来るんですか……自分の人気分かってます?!」

「りぃちゃんに会いたかったってのは本当だよ? 目立っちゃったのはごめんね」


シュンとされると私が悪いことをしているみたいな気になってくる。騒がれるのは乃亜先輩が悪い訳じゃないんだよね。


「いや、もういいですけど……曲決めでしたっけ?」

「うん。人気のある曲は取られちゃうから。もし歌いたい曲があるなら早い方がいいかなって」

「うーん、絶対これ! っていう曲は無いですね。乃亜先輩はあります?」

「××とか××とか××とか?」

「……ヤです!!」

「えー」


なんで提案してくる曲が禁断系なの……?しかもちょっと大人向けの歌詞のやつ。どれかはMVかライブでキスシーンがあった気がする……

乃亜先輩は残念そうだったけれど、最終的には定番の恋愛ソングに決まって一安心。曲は藍先輩に伝えておけば登録してくれるらしい。


夏休みに練習することを約束し、教室に戻ったら待ち構えていたように囲まれた。


「莉子ちゃん、乃亜先輩と付き合ってるの?!」

「や、付き合ってないから!」


「乃亜先輩に会いたくて来ちゃったとか言われてみたい!! 莉子ちゃんいいなー」

「教室出る時恋人繋ぎしてたよね?!」

「乃亜先輩があんな風に笑うところ初めて見たけど可愛すぎ! 普段はかっこいい感じなのに莉子ちゃんの前だと可愛いとか何それ?!」

「また来てくれたらいいのになー!」


一気に質問されすぎて回答が間に合わない……クラスメイトの勢いに困惑しているとチャイムが鳴ったのでこれ以上の追求は免れた。

これは文化祭まで騒がしくなるのを覚悟しないといけないかな……

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