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Side.乃亜⑧

りぃちゃんが泊まった日の朝、目を開けるとりぃちゃんの顔が近くにあった。朝日が差し込んで寝顔が良く見える。

昨日はお互いに背中を向けて寝ていたはずが、起きたら向き合って寝ていてちょっと嬉しい。


寝顔が見たくて、絶対りぃちゃんより早く起きようと思っていたからちゃんと起きられて良かった。昨日は絶対寝れないと思ってたけれどいつの間にか寝てました。


なんでこの子はこんなに可愛いんだろう?

写真撮ったら起きるかな? バレたら怒られそうだけれど、また寝顔を見られるとは限らないし残しておくべきだと思うんだよね。

試しに少し離れて一枚撮ってみたけれど、起きる気配がないので何枚か撮ってみる。

はー、可愛い。でもやっぱりアップで撮りたい。起きるかな?


カシャ、という音にりぃちゃんが目を開けた。ぼんやりと周りを見渡している。まだ眠そうに目をこすっているけれど、そんなに擦ると赤くなっちゃうよ……

寝起きのりぃちゃんも可愛すぎ。さすがに寝起きは撮れないけど、寝顔はバッチリ撮れたから満足。

撮った写真を確認していたら、ぼーっとしていたりぃちゃんが飛び起きた。


「りぃちゃん、おはよ」

「おはようございます。乃亜先輩、さっき何か撮りました?」


寝起きの割にはっきりしてる……りぃちゃん寝起きいいんだなー。でもぼんやりしてたし誤魔化せないかな?


「え? 何も?」

「……それなら見せて貰えます?」


訝しげに私と手元にあるスマホを眺めて、手を差し出してくるけど、渡しませんよ?


「いやいや、何も無いって……わ、りぃちゃん積極的ー」


りぃちゃんからスマホを遠ざけると、手を伸ばして取ろうとした拍子にバランスを崩して私の上に乗り上げる格好になった。顔近いし動いたら唇が触れそうでやばい。この状況は正直おいしいけれど襲われるよりは攻めたいなー。なんて。


「す、すみませんっ!!」


りぃちゃんはしばらく固まっていたけれど、状況を理解したのか真っ赤になって慌てて離れた。


「りぃちゃんに襲われたー!」

「ちょ、言い方っ……?!」

「意外と大胆なんだねー?」


オロオロしすぎて可愛いけれど、いつもの調子に戻るようにちょっと大袈裟にからかってみる。


「乃亜先輩、何も無いなら貸してくれますよね?」

「えー」


りぃちゃんが気を取り直すように咳払いをして、手を差し出してくる。あー、覚えてたかー。

最初に撮った写真を表示してりぃちゃんに渡す。


「やっぱり撮ってるじゃないですかー! 消しますよ??」

「え?! 消しちゃうの? 可愛いのに……」


ごめん、消したとしてもその1枚だけじゃないんだ。あ、でも一覧に戻されたら他にもあるのがバレるか。アップのだけでも残させてくれないかな……


「そもそも私の寝顔の写真なんていります?」

「いるよ!! 誰にも見せないから……お願い!!」


へこむ私を可哀想に思ってくれたのか、消さなくても良さそうな雰囲気になってきた。この際泣き落としてでも残させてもらおう。


「絶対見せちゃダメですからね? それと、今度乃亜先輩も撮らせてください」

「うんっ! 私の写真で良ければいくらでも」


りぃちゃんが仕方なさそうにスマホを返してくれた。さっき撮った写真が残せるならいくらでもどうぞ!!


テンションが上がった私に対して、りぃちゃんは心做しかやつれたように見える。朝からごめんね?


「ご飯食べたら昨日の続きしようか」

「はーい」


宿題を進めていると、お昼近くなってりぃちゃんのスマホが鳴った。


「……はぁ?!」


スマホを見たりぃちゃんが急に叫ぶからびっくりした……


「りぃちゃん、どうかした?」

「いや、なんでもないです」


返信をせずにメッセージを閉じたみたいで、スマホをテーブルに置いた。


「返事しなくていいの?」

「響華なのでいいです」


響華ちゃんだからいいんだ?? なんて来たんだろう? と思っていると私の方にもメッセージが届いた。


「あ、藍ちゃんだ」


藍ちゃん:お泊まりで莉子ちゃんのこと襲ってないー?笑 お昼に気分転換に出かけない? 響華ちゃんも来るよ。


とりあえず、襲ってません! って返しとこ。


「りぃちゃん、藍ちゃんが気分転換でもどう? だって。響華ちゃんと××のファミレスに行くみたい。順調に進んでるし、行くって返事しちゃってもいい?」

「はい!」


着替えをしてファミレスに向かうと、藍ちゃんと響華ちゃんが既に到着してメニューを広げている。私は藍ちゃんの隣、りぃちゃんは響華ちゃんの隣に座る。


「乃亜おつかれー。はい、メニュー。私はもう決めたから」

「ありがと。何にしようかなー」


藍ちゃんが何か言いたげにニヤニヤ見てくるけれど無視をして注文まで終える。


「先に飲み物取りに行ってくるね。乃亜、行くよ」


返事も聞かずに藍ちゃんが急かすように私を連れ出した。


「ね、なにか進展あった? もう気になって気になって……!」


やけに急いでるなと思ったらこれが聞きたかったらしい。


「残念ながら期待してるようなことは何も」

「えーつまんない。ヘタレー」


下手なことして嫌われるよりはヘタレでいいですー

飲み物をとって席に戻ると、りぃちゃんと響華ちゃんがじゃれあっていた。仲良くて羨ましい。

今度はりぃちゃんと響華ちゃんが飲み物を取りに行った。


「宿題は順調?」

「うん。ちゃんと頑張ってるよ。昨日から、勉強してるりぃちゃんを近くで見られて同級生気分を味わってる」

「嬉しそうな顔しちゃって」


学年が違うと、こういう機会でもないと一緒に勉強なんて出来ないからね。

2人が戻ってくると、早速藍ちゃんがりぃちゃんを褒めているけれど、余計な事を言わないか心配。


「莉子ちゃん、宿題順調なんだって? 頑張ってるね」

「乃亜先輩のおかげで何とか」


りぃちゃんは褒められてちょっと嬉しそうにしている。頑張ってるもんね。


「ちょっと今日だけじゃ無理そうだけど、まだ日数あるから余裕。ね?」

「……はい」


1人になるとサボりがちみたいだけれど、押しに弱いりぃちゃんだから、期待されたら何だかんだちゃんとやると思う。



「それ悩んだんですよねー! やっぱり美味しそう」


ご飯の後に頼んだデザートを見て、りぃちゃんが食べたそうにしているから、一口差し出してみた。2人だけじゃないし、食べてくれないかな?


「食べる? はい、あーん」

「あ、美味しい」


抵抗なく食べてくれてちょっとびっくりした。やばい、にやける。何だか気を許されてる気がして凄く嬉しい。


「イチャイチャしちゃってー」

「ラブラブですねー?」

「でしょー?」


3人でにやにやしているとりぃちゃんは真っ赤になって俯いてしまった。無自覚だったのかな。可愛すぎない??

顔は見えないけれど、写真撮っちゃお。


「あ、また撮ったー?!」

「りぃちゃんが可愛くてつい? はい、こっち向いてー?」


シャッター音に顔を上げたのでそのタイミングでもう1枚撮る。うん、ばっちり。


「つい、じゃないですよ?! あ、また! だから撮らないで?!」

「もう撮っちゃいましたー!」

「もー! 私も撮りますからね?!」

「どーぞ?」


りぃちゃんがスマホを向けてくるので笑顔を向けると、写真を撮ってくれた。よく撮れたのか、写真を見て笑っている。

え、可愛くない? すかさず写真を撮ってりぃちゃんにスマホの画面を向ける。


「ね、可愛くない? 満足気なりぃちゃん」

「え、今撮りました? 私が撮るので先輩はもう撮らないでください!」

「それは無理かなー」


楽しそうに撮ってくれてるけれど、藍ちゃんと響華ちゃんがいるの忘れてる?


「藍先輩、私たち完全に忘れられてません?」

「ふたりの世界だね。……とりあえず動画撮っておこう」


藍ちゃんが動画を取り始めたことに気づいたけれど、写真に夢中なりぃちゃんが可愛かったから内緒にしておいた。後で送ってもらわなきゃ。


2人はこの後遊びに行くらしいからりぃちゃんと家に戻る。2人で同じ家に帰るのってなんかいいな。


キリのいいところで終わりにして、夕方にりぃちゃんが家に帰った。

さっきまで一緒だったのに今は1人で寂しい……写真を眺めつつ、藍ちゃんに動画を送ってもらおうとメッセージを送る。

少しすると4人のグループに動画が送られてきた。あ、こっちで送ってくる感じね。

りぃちゃんはどんな反応をしているんだろう?


あ、消してって来た。やっぱり撮られてることに気づいてなかったか。そう言われてももう保存しちゃったし消さないけどね。


動画を見るとりぃちゃんが楽しそうに笑っていてこっちまで笑顔になる。藍ちゃんに後でお礼しておかないとな。

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