表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

Side.乃亜③

カラオケ店に着くと、タイミングが良かったのか直ぐに部屋に入ることができた。


最初に誰が歌うのかっていう探り合い?みたいな雰囲気が苦手で同級生とか後輩と来る時は大抵トップバッターで歌っている。先輩だったり、ムードメーカーがいる時は大人しくしてるけれど。


「さ、歌うぞー!」


今日のメンバーなら響華ちゃんからでも良かったけれど、一応先輩だし私からでいいかな、と早速曲選びに入った。


最初だし盛り上がる曲がいいかな、と最近一押しのアイドルグループの曲を選ぶ。いい曲だし、何よりMVが可愛いんだよね!


「凄い! 乃亜先輩上手すぎです!!」


歌い終わると、りぃちゃんが今まで見た事のない笑顔で褒めてくれた。わ、笑顔やば……!!

そんなに真っ直ぐ見つめられると照れる……


普段は冷たくあしらわれるか、笑ってくれても困ったような表情が多いからこんなに褒めてくれるとは思わなくてビックリしたけれど嬉しい。まあ、あしらわれてるのは私の態度が原因っていうのは分かっているのだけれど。


藍ちゃんとはよくカラオケに来るから上手いのは知っているけれど、本当になんでも出来るよな……

響華ちゃんは歌声可愛い! 普段かっこいい系なのにギャップ萌ってやつ?

りぃちゃんはとにかく可愛い。ちょっと緊張してるみたいだけど上手だし、何より声が好き。普段の声も好きだけど、歌声もいいな……次の私の曲りぃちゃん歌えたらハモってくれないかな?


「この曲歌える人ー?」


ハモり曲だし、せっかくなら誰か歌えないかな??


「あ、莉子が歌えますよ」


響華ちゃんナイスアシスト! りぃちゃん歌えるんだ。でも素直に歌ってくれるかな?


「莉子ちゃん歌えるんだ! 私もこの曲好きだから乃亜と歌ってみて?」


藍ちゃん、ありがとう! マイクを渡されて困惑しているりぃちゃんも可愛いよ。


「りぃちゃんと歌えるなんて嬉しい! 私がハモるね」


どっちでも良かったけれど、主旋律はりぃちゃんに任せることにした。

わ、なんかしっくりくるな……声の相性いいかもしれない。あえて選んだ訳じゃないけれど、友達を好きになる曲なんて当てはまりすぎ。


歌い終わると藍ちゃんと響華ちゃんが絶賛してくれた。しっくり来るなって思ったのは私だけじゃなかったみたい。

りぃちゃんも同じように思ってくれてたらいいのにな、とりぃちゃんを見ると、2人から絶賛されて嬉しそうに笑っていた。笑顔可愛い。こっち向いてくれないかな。

チラッとこっちを見たけれど、すぐにそらされてしまった。


「楽しかった! りぃちゃん、またハモろうね?」


頷いてくれたから嫌じゃなかったみたいでほっとした。


「ねぇ、うちの高校、9月の文化祭でライブがあるのって知ってる?」


しばらくりぃちゃんを見ていると、藍ちゃんの選んだ曲が流れているけど歌わずに文化祭の話を始めた。うわ、嫌な予感しかしない。

2人のことも誘っているけれど、いい返事が貰えなくて落ち込んでる姿を見ると、断ってちょっと申し訳ないな……

でも文化祭のライブに出るとなると夏休みも練習しないとだし。今年はりぃちゃんと遊んだりしたいなって思ってたから余計に出たくないんだよな。


そんなことを思っているといつの間にか私が出ないのか、という話に変わっていた。藍ちゃんが昨年のライブの話を始めて盛り上がっている。いつの間に……


「え、乃亜先輩参加したんですね! 見たかったです!」

「それはもう盛り上がって。順番はくじ引きだったのだけれど、乃亜が最後で。歓声は止まないし、アンコールが起こって、急遽アカペラでもう一曲歌ったんだよね。ほら、後輩も見たがってるし、今年も出ようよ?」


うわ、りぃちゃんが見たいって言ってくれると揺らぐな……でもやっぱりりぃちゃんと会えるかもしれない時間が削られるのは嫌だな。まだ遊びに誘ってもいないけれど……


「昨年はアンケートで1位になっちゃって実行委員に泣き落とされたから渋々出たけど……今年はもういいかな」

「えー、きっと乃亜が出るのを期待してる子いっぱいいるよ? もちろん私も」


期待してくれてる人には申し訳ないけれど今年は諦めて欲しい。


「藍先輩、そのライブ参加って個人だけなんですか?」

「え? 何人で出ても大丈夫だよ。ソロだったりバンド組んで出たり、ダンサーが居たり自由だから」

「それなら、乃亜先輩と莉子で出たらいいんじゃないですか?」


え、りぃちゃんと? それなら夏休み中も練習で会えるよね。それはむしろ出たいかも。


「うん。もしりぃちゃんが出てくれるなら参加しようかな」

「ほんと?! 2人のハモりを聞いたらみんなびっくりするよ! 莉子ちゃん、どうかな?」


藍ちゃんがものすごく期待した目でりぃちゃんを見てる。あんまり嫌そうなら可哀想だけど、どうだろう? そこまで嫌がってはなさそう、かな?


「えっと……限りなくNoに近い保留って出来ます?」

「完全な拒否じゃないってことは可能性があるってことだよね!」


りぃちゃん、そんな答えじゃOKしてるようなものだよ? 押しに弱いりぃちゃんも可愛いけど。もう曲の候補だけ探し始めちゃおうかな。

藍ちゃんと響華ちゃんと曲探しを始めるとりぃちゃんの困惑が強くなった気がしたけれど、せっかくなら一緒にライブに出たいからOKして貰えたらいいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ