番外編
響華視点
文化祭から数日経った土曜日、文化祭のライブ動画をもう一度見ようと検索すると、再生数、コメントが一気に増えていた。
そういえば莉子は見たのかな？ と思い電話をかけると直ぐに出た。
「何してたー？」
「寝ようか迷ってたところ」
え、もうお昼近いんですけど？ 部活が休みだからってまた寝るの？
「文化祭のライブ動画ってもう見た？」
「え、見てない。もう載ってるの？」
わー、恥ずかしいな、なんて言っているけれど、再生数とコメントの数を見たらきっとびっくりするに違いない。
「載ってる。てかめっちゃ再生されてる！ これからURL送るから見て」
「え？ 分かった見てみる」
電話を切り、莉子にURLを送って私ももう一度再生することにした。
××高校 文化祭ライブ
動画
再生回数 ×.× コメント ××× 件
ライブ時間が長かったので、組ごとに区切って載せられているから探しやすい。
莉子は目立つことを苦手にしている。
小学校の時は男の子に混ざって遊ぶような男勝りで活発な子だったけれど、中学校に入った頃くらいから一気に女の子らしくなって可愛くなった。
その頃からモテるようになって、3年のある出来事からは陰口を叩かれたりと陰湿な嫌がらせを受けていた。もちろん私は莉子の味方だったけどね？
莉子が目立ちたがらないのは中学の時のことが影響してるのは間違いない。そんな莉子が最近いい方に変わってきている気がする。
文化祭のライブに出られたくらいだからね。乃亜先輩に振り回されている影響なんだろうけれど。
莉子は穏やかだけれど、ちゃんと自分の意思を持っていて、人の痛みがわかる優しい子。私の自慢の親友。
最近は乃亜先輩との関係が気になって仕方がない。絶対お互いに気になってると思うんだけどな……莉子は否定してるけど。
ライブが終わった後に教室に戻ってきた時の莉子は明らかに挙動不審だったし何かあったよね……
乃亜先輩って名前が出るだけでビクッとしてたし。周りはライブが終わって恥ずかしいのかな、くらいに思っていそうだけれど。
手を繋ぐ？ 手を取り合う？ 振り付けでは2人とも分かるくらい嬉しそうだし。
見つめ合う所なんて、乃亜先輩めっちゃ優しい目してるじゃん。
あ、今背中合わせで歌ってるのに莉子のことチラッと見てなかった？
乃亜先輩は間違いなく莉子の事気にしてるよね。それが恋愛なのかは分からないけれど、莉子に対する態度が他とは違っている。
莉子は自分に向けられる視線の違いに気がついていないけれど……
前に莉子が乃亜先輩を天然タラシと言っていて爆笑してたことがあったけど、乃亜先輩が自分から抱きつくのって見ている限り莉子にしかしていない。
可愛い子が好き、と公言しているからか可愛い子達にに囲まれるのは嬉しいみたいだけれど。
乃亜先輩の家に泊まったあと辺りから莉子の態度も変わった気がする。デレてはないけれど、ツンが和らいだ感じかな？
乃亜先輩が人気者だから構われるようになった頃こそ陰口とかもあったけれど、最近は2人が一緒にいるのが当たり前になってきていて、2人セットで騒がれていることも多くなっている気がする。
乃亜先輩から絡みに行ってるっていうのが広まった影響もあるだろうけれど。
文化祭で見せつけたこともあって、もう公認って感じな気がする。
動画の再生が終わったので、コメントを開いてみると会話になっていたりと盛り上がっていた。
コメント
：男の子イケメンすぎ！
返信：2人とも女の子ですよ
返信：え?!
：2人のハモりずっと聴いてられる
：最後抱きつかれてびっくりしてるの可愛い
：女の子が可愛すぎる
：生で見たかった！
：女子校ってことは学ランの子も女の子?? イケメンすぎない？
返信：昨年の文化祭の動画で男装してる子がソロで歌ってます！昨年は制服なので女の子って分かりますよ
返信：見てきます！
：この2人って付き合ってる??
：背中合わせで歌ってる時に学ランの子が隣の子をチラッと見てるのが可愛い。
：お互い好きなんだろうなー
：こんなイケメンに見つめられたい
：2人ともいい声してる。ソロでも聞いてみたい
返信：ショートの子のソロはあるらしいですよ
：第2弾はいつですか？
：イケメンの笑顔の破壊力……女の子平常心だけど慣れてる？
：学ランの子が女の子を見る視線優しすぎない？
：手繋ぐの照れてるの可愛い
：歓声がものすごい
：女の子の歌い出しのところで視線合わせるのが分かりあってる感じ
：もうカップルじゃん！
：来年絶対受験します！
：学ランの子その辺の男よりイケメン
：2人ともビジュアルが完璧
：最後キスするのかと思った……むしろしてください
：生で見ましたが最高でした！
返信：え、羨ましい！
沢山のコメントが来ていて、読んでいて楽しかった。莉子が読んで悶えている姿が浮かぶ。乃亜先輩は喜んでそうだなー。
これから2人がどうなるにしろ、近くで見守りたいと思う。
