会わせてはいけない二人 前編
これから前、中、後編と続きます。
過去の話が書かれますが全部自分の作り話なので真に受けないであくまで、『二次創作』としてみてください。
それが許せる人は続きをどうぞ。
少し昔話をしよう。
時はまだヨーロッパが魔女狩りをしていた頃、ヨーロッパに住む二人の少女がいた。
二人は双子で昔から不思議な『力』が使えた。
二人の少女は貧乏ながらも母と一緒に楽しく笑いながら過ごしていた。
先ほどヨーロッパで魔女狩りをしてる頃と言ったが魔女狩りは多くの只の女性が魔女として処刑されたが中には『本当の魔女』も少なくはない数が処刑されていたのだ。
不思議な力を持つ少女たちも例に違わず魔女として疑われていた。
そのせいで友達ができなくても二人の少女はとても仲が良く将来は二人で働いて母を楽にさせてあげようと家で話していた程仲が良かったのだ。
しかしそんな明るい話もあることが起きるまでしか続かなかった。
「審議の結果お前たちの娘を魔女裁判にかけることになった」
ある日の昼頃にある司祭が来てそのことを伝えた。
母の笑顔は凍り付き二人の少女も恐怖を顔に張り付けていた。
魔女裁判。
それは死刑宣告と同じような言葉だった。
魔女裁判にかかって無罪となったものはそのころはまだ一人もいなかったのだ。
「ま、待ってください! 私の娘が魔女なわけありません! もう一度考え直してください!」
「いや、これは教会によって決められた、いわば神による選択だ。覆すことはできん」
父が幼いころに亡くなってしまい、それから母一人で育て上げた少女たちは母にとってはどんな宝物より大切だったのだ。
「頼みます! もう一度だけでも再審議してください!」
「くどいぞ! 魔女の子をかばうお前も魔女になるぞ!」
そう言って鎧を着て槍を持った男たちによって二人の少女は連れ去られてしまったのだ。
「「ママーー!!!!」」
「お願いします! 娘たちが魔女なわけないんです!」
土下座をして頼み込む母を無視して進む司祭はそのまま二人の少女に手枷をつけ教会に連れて行った。
昼に起きた騒動の後は土下座をしたままの姿勢で涙を流す少女たちの母だけが残っていた。
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「おいっ! 入れ!」
「ヤダーー! 帰らせてよぉ!」
泣きわめく少女たちを後にしてガシャン! という音とともに牢のとびらがしまった。
悪臭が立ち込め、よどんだ空気が満ちているこの場所は教会の地下にある地下牢である。
日の光も月の光も入らないこの地下牢は二人の少女のほかにも年老いている老婆や20代半ばにも見える女性など多くの人影がいた。
しかし全員に共通して言えることは生気がなく、やせ細っていて、絶望しかその眼には映っていなかった。
「なんなのこの場所...おねえちゃん、怖いよぉ...」
「グスッ...大丈夫だよおねえちゃんが守るよ」
二人は身を寄せ合い目を覚ましたら母に会えるかもしれないという淡い期待を持ちつつ目とつぶった。
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「おい、でてこい」
「ふゅ?」
「んみゅ...」
牢屋の外から男たちは話しかけてきた。
目の覚める感覚とともにまた目には涙が浮かび始めた。
昨日のことは夢じゃなかったんだ
そう思ってしまったからかそのまま泣いてしまった。
「「ママ....」」
「いいから早く出てこい!」
強制的に立たされ連れていかれた先は石でできた暗い部屋、狭い部屋の中で一人の少女と覆面をかぶった複数の男と昨日会ったあの祭司がいた。
覆面の男の手には少女に向けるには余りに恐ろしい、ひどいものばかりだった。
俗にいう『拷問器具』、いわずもがな、自分を魔女だといわせるための物だった。
少女の妹は別室に連れていかれたのだ。
「さあ、君が魔女だということはわかっているんだ。自分が魔女だと言えば痛い目に合わずに済むよ」
「い、いやよ! 私たちは魔女なんかじゃないわ!」
「...ははは、少し言葉が足りなかったね。」
そういうと祭司は指をパチンと鳴らすとそれと同時に悲鳴が聞こえる。
そして、その悲鳴は...
「ギャアアアアアアアアア!!!」
「っ!」
妹の声だった。
絶え間なく続く悲鳴。
余りにも悲痛で聞く人が聞けば涙が出てくるような心の辛くなるような悲鳴。
少女はその声を聴いて急いで祭司に問い詰める。
「私の妹に何したの!?」
「何って、少し指先が短くなっただけさ。君が発言を間違えるたびに彼女の指は短くなっていくよ。」
「ふざけないで! 卑怯だと思わないの!」
「神に言われて動いてるだけさ。...そして私に対して卑怯というな」
祭司が指を再度鳴らす。
「ギャアアアアア!!!」
「やめて!」
「君のチャンスは十回...いや二十回だ。さあ、私の待つ回答をしてくれよ?」
脳の血管が焼き切れるほどの怒り。
まだ幼く、昨日からの早すぎる展開についていけない彼女はついこの場で一番やってはいけないことをやってしまった。
仕方ないと言えば仕方ない、まだ『常識』を知らないからかやってしまった行動を。
「私の妹を、返せええええええ!!!」
そう叫びながら、座っていた椅子から身を乗り出し...
...幼くも体重の入った拳が祭司の眉間を殴打した。
殴られた祭司は反作用で後ろに椅子を倒しながら吹き飛んだ。
誰もが呆然としてる中ある一人の男が咄嗟に手に持っていた白銀のナイフで彼女の身体を...
貫いた。
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痛い。痛い。痛い。
なんでどうしてなにがなんで。
渦巻く恐怖と痛みが正しい判断を生み出せないでいた。
それもそのはず彼女の右手からは人差し指と中指、二本の指が付け根から消えていたのだ。
なんでなんでなんでなんでなんで...
答えのない疑問がでてくる。
血はとめどなく出続け、なくなった指を動かそうとすると神経が擦り切れる感覚とともに激痛が走る。
涙は出したくなくても出てきて頬を伝う。
口からは自然にうめき声と悲痛な叫び声しか出てこない。
「痛いよ...」
そう呟くと隣の、おそらく姉がいる別室からバキッという殴ったときのような音とその直後に姉の悲鳴が聞こえてくる。
何も知らない彼女からは「ついに向こうでも始まったんだ」という悲痛な思いしか思い浮かばなかった。
「お姉ちゃん...」
姉を想う気持ちが思わず口から出るが周りの覆面の男たちは心中動揺していた。
彼らは向こうにいる少女に暴行を加えるとは言われてなかったのだ。
なにより不思議に思ったのは話し声が一切聞こえなくなったことだ。
いくら壁が石でできているからって隣は隣、少しは声が聞こえてくるはず...
しかし、隣からは少女の声も、祭司の声も、男たちの声も聞こえてこなかった。
しばらくの間静寂が続いた。
いや、静寂というより彼女の泣き声だけが空間に響いていた。
永遠、無限にも思えたその時間。
終わることのないような無音は突然にして終わりを告げた。
ある人物の登場によって。
...扉がバタンという音を立てて開かれた。
突然の音に全員の視線は当然のようにそこへ流れる。
そこにいたのは...
薄い紫の髪、引き連れる数多くの蝙蝠、口からはみ出している長い犬歯、紅く赤く輝く眼...
見るものすべてを惹き、しかし、見るものすべてが恐怖する幼き吸血鬼。
そう、彼女の名は...
「赤い悪魔...!」
この地域で最も有名で最も恐れられる最恐の吸血鬼。
数多くの村が壊滅されそこで返り血と口から垂れる血が服にべったりついた姿はまるで「悪魔」。ヨーロッパ一の吸血鬼が今ここに顕現した。
「久々の食事で心が躍るわ。さあ、私の生贄になりなさい!」
虐殺が始まった。
「くそ! なんでこいつが!」
「死にな! ....グフッ...」
「にげろ! 逃げ.....」
「やめろ! やめてくれええ!」
「ギャアアアアアアアアアア!!!」
悲鳴が絶えず鳴り響き、覆面の男からは覆面が外れ眼球がはみ出ている。
全ての人が今までの罪を清算するように消えていく。
1人、また1人と....
彼女を残して...
なんなの!
なんなの! なんなの! あいつは!
混乱が心中を渦巻く。
困惑が心を支配する。
騒ぎに便乗するようにあの部屋から逃げてきたがどこにどう逃げるかなんて幼い彼女には分からなかった。
そして少女の最終的に行き着いた結果は頼れる姉の場所だった。
これからの悲劇などには気づかず....
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ハァ、ハァ....
お姉ちゃん...お姉ちゃん...!
よろめきふらつき激痛に耐えながら唯一の希望に向かって歩を進める。
(この騒ぎに便乗して一緒に逃げようお姉ちゃん... そしたらお母さんと会って遠くへ逃げて.....)
未来を想い想像を膨らませ、辿り着いた扉の先は....
赤で血塗られた空間だった。
「え? は? なんで?」
目の前に広がる赤く凄惨な光景。
白い髪が一部赤に変わり背中に刺さる白銀のナイフは悲痛な光景を美しく見せていた。
机に静かに横たわる少女は一つの芸術品のように...綺麗だった。
「え? おねえ、ちゃん?」
言葉を失ったように足をふらつかせながら姉へと近づく。
覆面の男も気絶した祭司も全てが周りで絶句する中彼女は近づいていく。
すぐ傍まで近づき、震える手でそっと手を触るとそれは最早人間とは思えないほど冷たく、寒くなっていた。
死んでいる。
幼い彼女にもそのことが直感的に理解できた。
「なんで?」
彼女の脳には戸惑いながらも疑問が絶え間なく出続ける。
...そして次に出るのは、憤怒。
母から引き離された怒りが、自分の指を奪った奴への激怒が、そして、自分の姉を奪った世界への憤怒が。
いままで抑えていた『力』が、無意識下で制御していた『力』が。
爆発する。
「ガアアアアアアアアァァァァァァ!!!」
彼女の咆哮が世界に木霊する。
眼は充血し朱に染まり、手からは一枚の『紙』が出現する。
その不可思議さ驚く様子もなく少女は、幾何学的模様が描かれた紙を握りしめ....
「私は...私は、お前たちを、許さない!!!」
宣言した。
「時符『殺人ドール』ッッッ!!」
そしてその瞬間、この世界を支配する『時間』が停止した。
隣からの悲鳴も、吸血鬼の笑い声も、呑気な鳥の囀りも、あらゆる総てが静まり、止まっていた。
しかし次の瞬間には唯一動く影が辺りに一面の白銀のナイフがばらまかれ、視界のほぼすべてが銀で埋まっていた。
使われているナイフの一本一本が少女に突き刺さっていたものとまったく同じの物。
死んでしまった『姉』の敵を討つような恨みが刃の一本一本に詰まっている。
「さあ、『地獄へ堕ちて』」
止まっていた時はまた動き出す。
彼らにとっては一瞬、彼女にとっては永劫の時が、動き出す。
解除された時は瞬時に元に戻り空中で止まっていたナイフは向いている方向へ動く。
彼らを貫き....
誰も悲鳴をあげなかった。
出せなかった。
瞬時に全員の身体から血吹雪が吹き荒れ、部屋の全ては深紅になる。
しかし、部屋の中央の彼女には一滴も返り血を浴びていなかった。
朱に染まる部屋で静かに血に濡れず横たわる彼女。
幻想的で、綺麗で、目の覆いたくなるような光景に彼女は泣いてしまった。
「....う、うわあああああああああ!!!」
泣き声は響く響く....
どこまでも、いつまでも。
大量に出てきたナイフは一本以外すべて弾幕で作られています。
なので、自分の姉に刺さっていたナイフはそれをもとに作られたものです。(これからの話で出てくるナイフも全部姉に刺さっていたナイフが元に作られています)




