目には目を歯には歯をこいつには○○を
テラリア1.4面白すぎる
さーて、意気込んだは良いが、どうすればいいんだ?
あの戦いは正直たかが人間が入ったら一秒と経たない内に木っ端微塵にされるだろうし、何か作戦がないと突っ込んだところで無駄死に&大迷惑のダブルコンボだよな。
...あれ? 何も思い付かないぞ?
作戦っていってもそもそも弾幕を無効化して妖精の中でも上位の三人を相手に背中に付けてる大剣すら使わず余裕の表情で戦っているし、そもそもあんまり身体能力が高い方じゃ無いんだよな...
やばい、早くどうにかしないと! ルーミアたん達ももう長くはもたないでしょこれ!
アイツはまだ空中で棒立ちで無傷だし、認めたくないがどう見てもアイツの方が一枚上手だ。
体中傷ついてて痛みで頭も回らないし、どうしよう。
考えろ! 考えろ!
せめて、弱点を見つけないと作戦の建てようもないが....
弱点なんてありそうに見えねえ!
思い出せ! 場に出た言葉の一言一句を...!
....ん?
もしかして.... あの言葉って....
「明日の事を考えると憂鬱だなぁ」
あ
「『十六夜咲夜』さんそっくりじゃないか.....!」
分かったかもしれない.....!
「戻符【タイムバック・弾】」
こいつの弱点が.....!
しかし、この弱点は...
そもそも気付くか? 俺らの『合図』に。
....いや、どうでもいいな。気付くかどうかなんて
今から作る作戦は最早作戦と言えないほど粗削りだ。
しかし、何もないよりかはマシだ。
あと少しだけ耐えてくれルーミアたん達!
絶対に助けてやるよ!
...
.....
........
...作戦は出来た。
だが、これで倒せるって自信はないし、何よりこの弱点が合ってるかどうかもわからない。
しかしそれでも、俺の明るい幻想郷人生をここで終わらすわけには行かないし、そもそもルーミアたんを助け
る理由だけあれば俺の命を賭けるには十分だぜ...
何でも無効化する化け物だろうが相手の弾幕を跳ね返す化け物だろうがやってやんよ! さあ、策に溺れな。
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はあ、あれから少し闘ってみたがこの程度か。
深夜の弾幕勝負は既に30分を経過しようとしていた。
弾幕の余波であれだけかかっていた濃霧がほぼ霞がかる程の熱戦。
しかし、そんな中彼女だけは汗一つかかず、無傷で闘っていた。
目の前にいるその三体の妖精の表情は苦しく、誰が見てもその劣勢さが分かるようだった。
途中で一人人間を逃したが大丈夫だろう。
どうせあの程度の人間一人ではここの森で妖怪に食われて野垂死ぬだろうしな。
はぁ、もう面倒くさくなってきたしそろそろ『仕事』を終わらせますか。
疲れてきた。そんな表情を浮かべながら自らの出している弾幕を自分の頭上に収縮する。
その間手を上にあげていたが、妖精達の放つ弾幕はまるで一切効いていないようだった。
その時は既に自分の勝ちを確信しているようだった。
そしてそのたった一つの傲慢が彼の存在に気づけなかったのだ。
「さあ、もう終わらせよう。 時符【戻る日のか...】」
「うおおおおお! 唸れ! 魔球【ロックボール】!」
...なに?
いなくなっていた、逃げたと思われた彼の存在。
忘れていた罪が今となって戻ってくる。
彼の手に持つ拳大の石、それが豪速球で空中にいる彼女の額に向け放たれた。
彼女が気付いたときは既に遅い。
既に目の前まで接近していた石は、彼女の謎の能力によって無効化される。そう思っていたら
そのまま、額の中央を寸分違わず撃ち抜いた。
「ぐっ...」
「え!? 何で!?」
「ルーミアたん! そんなこと言ってないで早く無効に向かってさっきのビーム撃って!」
「なんで!?」
「いいから!!」
何も考えず彼の向けている指の方向に月光のビームを放つ。
その指の先にあったのは赤く、深淵の様な館。吸血鬼の住まう狂気の家。湖の中央に佇む妖しい館。
その名も『紅魔館』
その館を月光のレーザーが貫いた。
「えええええええ! ちょ、何やらせてるのよ!」
「いいんです! これで!」
絶対怒られるよ...。と、呟いていた彼女だったが直ぐに濃厚な殺気に襲われその発生源を見た。
その発生源とはもちろん咲夜さんモドキ、無傷だったその白い肌に頭からの赤い血が滴っている。
「絶対許さんぞ人間...! この場で消し去ってやる...!」
濃密な殺意を放ちながらそう言い、此方を睨み付けていた。
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足が震える
震えるんじゃねえ、止まれよ。
視界がボヤける
前を見ろ、視点を合わせろ。
冷や汗が流れる
焦るな! 恐怖を恐れるな!
『死』が迫る。
『絶望』が迫る。
『恐怖』が迫る。
怒りに狂う『悪魔』が迫る。
だが、俺は『悪魔』には負けねえ!
殺させねえ。
死なねえ。
そして何より、あの子を守りてえ。
だから、俺はこんなところでくたばらねえ!
「さあ、かかってこいよ! お前を倒してハッピーエンドを迎えてやるよ!」
こうして、第三ラウンドが始まっていった。
....ふう、これで第一関門は突破だな。
ボール投げには結構自信のある方だったけどあそこであの石が当たってないと終わってた。
やっぱりあいつの能力は万能じゃない、限界があるんだ。
『二方向から来る攻撃は防げない』... まったく一対一最強か?
さて、こっからが作戦の肝。
アイツは攻撃を食らわせた俺にまず来るだろう。
そして、俺はそれを華麗に....
「避けれる訳ねえだろ! じゃあな!」
俺は90度方向転換し、そのまま湖の外周を回るように走る。
ここからが第二関門だ。死ななければ充分、絶対に逃げる...!
「...は?」
アイツは呆然したかのような顔で少しポカーンと立ち止まっていたがすぐにキッとした顔で追いかけてきた。
いかにも怒り心頭という顔で後ろに背負った大剣を始めて抜き自分の二倍ほどのスピードで迫ってきていた。
イメージするのは博霊神社で会ったあの魔獣。
あの魔獣と同じように攻撃を食らいそうになったら横に落ちるように飛ぶ。
あの大剣なら振ったら次に振るまで少しの猶予があるはず。
その間に出来る限り湖の外周を走って、こっちの『合図』に気付くまで堪え忍ぶ、それだけだ。
......それだけなのに余りにも恐ろしい。
あの魔獣からもう一回逃げてくれと言われても俺は二度とあれから逃げれる気がしない。
なのにあれより危険度の高いこいつから一定時間逃げ切るなんて....
だが、俺はもう決意した。
「あ....っぶねえ!!!」
大きく振られた大剣をギリギリで避ける。
横に吹っ飛び腰から着地する。
一回で神経をすり減らし、痛みが走るが休む暇なく立ち上がり走る。
「がぁぁあああああああああ!」
その瞬間誰も予想だにしないことが起きた。
いきなり叫び出したかと思いきや目を赤く染め、振りかぶったままの体勢のまま大剣を下から上に振り上げながら大剣を....放り投げた。
「は!?」
とんでもないスピードで投げ出された大剣は寸分違わない狙いで俺に迫ってきていた。
嘘だろ!?
あの大きさの剣を投げ出すなんてヤバすぎだろ!
くそ! せめて腕でガードして致命傷だけは防ぐか!?
それしかない、あの剣の威力もなにも知らないけどワンチャン狙うしかねえ!
今まで生きてきて一回も出せなかったような頭の回転。
時間の流れが遅くなるような感覚に襲われながら腕をクロスさせ頭を守るようにガードさせる。
そして腕に大剣が突き刺さる瞬間横から飛んできた三つの弾幕によって俺と大剣が吹き飛ばされた。
「痛った....ルーミアたん!」
「あたいたちを忘れるな!」
少し遠くまで飛ばされたが三色の弾幕が俺の回りを結界のように守ってくれていて、尚且つ大剣が木と氷によって封じ込まれていた。
そう、ルーミアたんとチルノちゃんと大妖精の弾幕が三位一体となって俺を守ってくれたのだ。
しかも大剣を潰してくれたおかげであと注意するのは弾幕だけ。
「マジでありがとう! 絶対耐えるから皆も逃げてくれ!」
「うん! 分かった!」
最早敬語を使う暇もなく皆に注意喚起しつつ、すぐさま目の前のアイツに目を向ける。
目は紅々と輝き、そこに立ち尽くすアイツはもう悪魔の様な表情でこちらを睨み付けていた。
「さあ、こいよ。『人間如き』に勝てるかな!」
そう言い放った瞬間見るだけで目が痛くなるようなおびただしい弾幕を引き連れ、アイツが迫ってきていた。
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時はほんの前まで遡る。
まだ遼が作戦を立てるために精一杯頭を働かせているとき、その頃紅魔館では....
「やっぱりいつみても美しいわね。この景色は」
「はい、そうですね。私も常に此処にお嬢様と来れて良かったと思っています」
紅魔館のベランダで悠々と紅茶を飲む吸血鬼と傍に佇むメイドがいた。
そう、言わずもがな【紅魔館の主『レミリア・スカーレット』】と【完璧で嘯洒な従者『十六夜昨夜』】がいた。
紅魔館で働く妖精メイドや、【動く大図書館『パチェリー・ノーレッジ』】や、【破壊の姫君『フランドール・スカーレット』】も寝ている真夜中だがそんな中で何故こんなところにいるのか、無論なんの理由もなしに此処にいるわけがない。さっきの景色の話も半分嘘で半分本当なのだろう。
では何をしてるのか?
勿論紅魔館の前で争う謎の集団を監視していたのだ。
何時もより静かで鈴虫の声が聞こえていたのに一瞬の内に湖の畔に木々が生い茂り、氷が中空から落下し、月光がビームのように降り注ぐ、濃霧と爆音が鳴り響いたその地をそこからもっとも近い紅魔館が警戒しないわけが無いのだ。
しかし、既に彼女らの意識はその戦闘自体ではなくそこに出てきているものに対して意識が向いていた。
普段から意味なく弾幕を撒き散らすバカルテットはともかく、今まで見たことのない謎の人物、そして『人間』、あのレベルの戦闘になると人間如きなら近づくこともできないはず、しかも妖怪三人が、特にルーミアが人間を守るような立ち回りをしてるのも興味深かったのだ。
「一体あの人間は何をしてるのかしら? そもそも何故ここにいるのかしら。」
思わず口に出してしまうが、それもそのはず。
ここに来るまでには多くの妖怪が跳梁跋扈してるはずだったのだ。故にたかが人がそこを通れるとは思えないのだ。妖精や大妖精、河童に天狗、時にはあの藤原摸紅すらも存在するこの魔境にだ。
「本当ですわ。しかし、相手の彼女は誰なのでしょう。どこかで見たことがあるような気が....」
「覚えてないってことは覚える必要がなかったと言うことなのよ。さ、もう寝ましょうか。興味深かったけど最後まで見るほどでは無かったわね」
「分かりました、お嬢様。....そういえばお嬢様、なにか違和感は有りませんか?」
「どうして?」
「確か紅茶のティーバッグの中にニンニクを少々入れておいた気が....」
「ブーーーーーー .....ゴホッ、ゴホッ...さーくーやー?」
「ふふふ、冗談ですよ。」
お茶目というか、意地悪というか....
そんな咲夜さんを見た瞬間...
シュン! ドゴォォォン!
レミリアの真横を何かが爆音と共に通り過ぎた。
とんでもない衝撃。
二人は一瞬石にもなったかのように固まった。
「「......は?」」
一斉に音の発生源を眺めたがそこには大穴、というか貫通した紅魔館があった。
瓦礫が崩れる音と共に響く悲鳴。
大穴から聞こえてくる恐怖の声は思わず顔をしかめるほどだった。
...いや、顔をしかめたのはそのせいではないだろう。どう見てもレミリアの顔は怒りで満ちていた。
「....咲夜」
「はい、何ですか?」
「....やりなさい」
その一言で全てが伝わった。
無言で立ち去っていく咲夜を横目にレミリアは遂に耐えられず叫んだ。
「....修理に幾らかかると思ってんのよおおおおおおおおおお!!!」
お嬢様の悲痛な叫び声が夜空に響き渡った。
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ん? 今何か聞こえたような....
一瞬聞こえた謎の叫び声に疑問を抱くがその疑問も次の瞬間に消えた。
何故ならそんな意識を中断するような蹴りが放たれたからだ。
「アブね!」
とっさに避けた判断のお陰で何とか満身創痍は避けたが次の瞬間には弾幕が飛ぶ。
四方を囲む弾幕、避ける方法はただひとつ。
「大妖精さん!」
「わかって...ますよ!」
強い風によって上空に弾き飛ばされる。
だが、空中にいればそれは避けづらさが増すだけだ。
なので...
「ルーミアたん! お願いします!」
「分かった! 守れ! 『闇』!」
目の前に現れた漆黒の闇。
自分の前方を防ぐように出てきたその闇は飛んでくる多くの弾幕を掻き消していた。
しかしその闇も圧倒的な弾幕の中では塵に等しいのか、遼が地面に落ちたと同時に弾幕と一緒に消えてしまった。
アブねえ! 何とか間に合った!
やっぱり見た感じアイツの弾幕は完全に白銀のナイフのような弾幕だった。
....やっぱり、アイツは...
いや、まずは目の前に集中しよう。話はそれからだ。
考察に向ける頭を直ぐに戦闘のことに戻して逃げる。
避けて、防いで、逃げて、怪我をして....
そして湖を一周したとき遼は完全に満身創痍だった。
「どうした? これで終わりか?」
ザッ、ザッと草の上を歩きながらそう問いかけてくる。
汗を一粒もかいてないアイツは悠々と遼に近づいてきていた。
対する遼は全身が泥と土で覆われ、手や足には数多くの切り傷、中には1cm程の深さの傷もあった。
顔は汗で濡れ、足は震え、目は最早焦点がぶれていた。
劣勢どころの話ではない。既に決着は付いてると言っても過言ではなかった。
周りのルーミアや大妖精も疲れ果てていた。
しかし、遼は諦めていなかった。
ルーミアも大妖精も「負ける」とは思わなかった。
その勝ちへの執心が彼女を呼び寄せたのだ。
「....死にな」
大きな大剣が遼の前で大きく降り上げられ、それが超スピードで降り下ろされた。
ここに人間がいたならば全員が死を覚悟し目を閉じただろう。
しかし、降り下ろされた場所には既に遼は存在せず、上を見上げるとそこには....
手には白銀のナイフ、髪は白く、メイド服が風に靡いている。
完全で嘯洒な従者『十六夜 咲夜』が佇んでいた。
「....やっと、き..ましたか... 後は...任せま...した...」
ここに咲夜と咲夜が対峙する。
最終ラウンドの開始だ。




