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東方邁進録  作者: 板チョコチョコ
妖拐異変の章
10/14

会わせてはならない二人 後編

この話から時間設定が現在まで戻ります。

時は僚が気絶し、丁度咲夜さんと、咲夜さんモドキが鉢合わせた所まで戻る。


「え!?」


「なんでここに!?」


急に現れた館のメイドに咲夜さんモドキは勿論、ルーミア、大妖精まで困惑を露にする。


「っ!?......お前は....」


「....?何よ、私達何処かであったかしら? それにしてもよくそんなに私に似せたわねえ、にとりにでも頼んで貰ったの?」


「....ふ、覚えてないか。じゃあ........教えてやろうか?」


「あら、それはどうもご親切に。まあ、すぐ忘れるからいいけど。」


咲夜さんの皮肉のきいている発言を無視して咲夜モドキは口を動かそうとする。

しかし、そんな余裕綽々な咲夜さんとは反対に大妖精は嫌な予感がしてたまらなかった。


「あ、あの! 咲夜さん、聞いちゃダメ!」


「...私もそんな気がするなぁ」


ルーミアもそれに同意するが、咲夜さんは無視して挑発する。


「....で? 貴女結局なんなの?」


「....私は.....私の名は.........」


その後の言葉はとても小さく余りにも聞き取りづらかった。

しかし、メイドとして常に完璧である咲夜さんにとっては小さい喋り声を聞き取るなど容易な事だったのだろう。

だが今回はその強い五感が仇となってしまった。


「.........え? な...なん、で?」


今まで見たことない動揺。

いつも無表情か小さく微笑む表情しかしない咲夜さんの顔が驚愕に溢れ、目を見開いている。

その顔はなんというかまるで.......


死人でも見つめるような表情だった。


居るべきでは無い人を見るような、在るべきでは無い人を見るかのような表情。

理解しがたい者を見つめるようなその顔は驚愕と恐怖に満ちていた。


「.......な、何で貴女が....ここに?」


「さあね? ...まあ、強いて言うなら私は私を見捨てた憎き奴を倒すために地獄から這い上がって此処に来たのよ。.....貴女を倒す為にねぇ!」


咲夜モドキは憎しみに染めたその顔で堂々と宣戦布告した。

それと同時に放たれた絶対的な殺意。

僚と対峙してた時とは話にならない程の威圧。

まるでその殺気がオーラとして可視化したように錯覚するレベルの眼光にルーミアも大妖精も戦慄する。


「....本当は其処の妖精共を殺すようにと言われたんだけどこうなってしまえば話は別です。......今ここで貴女を倒してあげます」


そう言うと、咲夜モドキの手からは一枚の紙が出現する。

そして、宣言した。


「逆行『遡るは-二十四(トゥウェンティフォー)』」


そのスペルカードが切られた瞬間、(おびただ)しい数の色とりどりな段幕が放出され、辺りは濃霧に満ち、樹がそこら中に生え、レーザーが降り注ぎ、氷が出現した。


さっきも数分前に出していた段幕を再現したりしていたが今回は度合いが違う。

まるで今日だけではなく何日か前までの段幕すらも再現したかのような段幕の数。

爆発性のある段幕が着弾し、地面が抉れる。

閃光が煌めき、夜が明るく照らされる。

氷塊が塔のように(そび)え立ち、深淵のような闇が広がる。


地獄絵図。

その言葉が一番似合うような状況で最終ラウンドがスタートした。


----------------------------


ドガァン! ドン! ボフゥン!


...........


バキィ! ヒュンヒュン! キュイーン!


.............う.....


ボガァン! シュイン! バゴォン!


「...........うっっっっるせぇぇぇぇぇ!!!!!」


余りの周りの騒音に耐えきれず、もっと休みたいと訴える身体を無視して体を起こす。

耳をつんざく爆音に顔をしかめながら周りを見渡すとどうやら霧の湖から少し離れた森の中に居るようだった。

少し遠くに見える霧の湖は地面が抉れ、今尚も降り注ぐ弾幕が地面に触れる度に爆発したり、小さく閃光を放ったり、炎を上げたりしている。

おそらく向こうでは咲夜モドキと咲夜さんが戦っているのだろう。

むしろ戦ってくれていないと困る。


「畜生! あの弾幕、咲夜モドキの方か? だとしたら不味いな、咲夜さんが勝ってくれないと自動的に俺らも敗けだぞ?」


ヤバい。ここで勝ってくれないと作戦崩壊だ。

ま、まあ取り敢えず落ち着いて一回俺の作戦を思い出してみよう。

....クソ、気絶から回復したばかりだからか? 全然思考が回らねえ。

落ち着け.....一つ一つ纏めていこう。

....確か俺はアイツの能力を咲夜さんと同じ時間操作系だと思ったんだ。

アイツのスペルカードの名前は『時』とか『戻』とかの文字が入ってたし、何より完全に同じとも言えるようなアイツの姿から推測するに多分アイツは咲夜さんと双子。

外の世界の情報だと能力がいつ芽生えるとか書かれて無かったから分かんないけど仮に能力の有無が遺伝何だとしたら、アイツの能力も自ずと分かってくる。

もっと言えば外の世界の情報が正しければ咲夜さんは時を『戻す』ことができなかったはず。

なら、アイツの能力はそれとは反対の時を『戻す』能力のはず。

実際、アイツも弾幕を時を戻すことで消したり逆に能力を解除することでまた弾幕を発生させたりしていたしな。

だから、同じ系統の能力なら時を止めれる方が強いと思ったんだ。

だからルーミアたんの弾幕で紅魔館に攻撃してこっちのことをアピールした。

そこから先は賭け、レミリアさんが来るのか咲夜さんが来るのか。

....はたまた誰も来ないのか。

恐らくだけどレミリアさんが来た場合勝てるかどうか怪しいと思ってた。レミリアさんの【運命を操る程度の能力】は自分の知ってる内容だと戦闘に適応することができないはず、だからその能力の差を突かれればいくら数百年を生きる吸血鬼だって勝てないと思ったんだ。


.....でも、咲夜さんが勝ってくれないと今長々と説明した作戦も仮説も全部パーだ。


「ま、見てみないことには分からないか....」


実際に咲夜さんが不利って所を見た訳じゃないし一回近寄って確認してみるか。


そんな独り言を呟いていると後ろから葉と何かが擦れるような音が聞こえてきた。

一瞬敵か何かかと思い急いで振り向くとそこには....


「....ちょ、ルーミアたんか...びっくりさせないで下さいよ」


「む、妖怪なんだから良いでしょ。別に」


草むらから出てきたルーミアたんが居た。


「...そう言えば何でルーミアたんがここに? てか俺逹なんでここにいるの?」


「ん? ああ、あそこで咲夜と双子?みたいな人が戦い始めたときに急いで僚を担いで逃げてきたの」


へえ、なるほどな....と納得している様な素振りを見せながら頭の中では何かの違和感がこびりつく。

ルーミアたんの言葉を思い出しているとふとその違和感の原因を見つけ出すことができた。


「....今、何て言いました?」


「え? だから僚を担いで逃げてきたって.....」


「やっと、やっと名前呼んでくれるようになったんですね!」


今まで『貴方』とか『非常食』とかしか呼ばれたこと無かったのに、ついに名前!

しかも下の名前!

しかも呼び捨て!

これはもはや彼女とまでは行かずとも友達、いや親友くらいにはなれたんじゃないのだろうか!?


「ルーミアた....」


「いや、非常食だから」


話しかけようとしルーミアたんの顔を見ると無表情で尚且つ冷淡な目をされながらキッパリ断言された。

その言葉に一切の曇りはなく俺の考えていることを全て否定されたようなその言葉は俺の心に深く突き刺さった。


「.....あ、じゃ、じゃあ先にちょっと咲夜さんのところ見に行って来ますね...」


そう言って寝起きのテンションが最悪なまま弾幕の鳴り響く方面へ歩を進めるのだった。


---------------------------


僚が落ち込みながら咲夜さんの方へ向かっていく頃、ルーミアは一人僚の寝ていた地面の上で体育座りをしていた。


.....ホントだ。

私、無意識にアイツのこと名前で呼んでたみたい。


改めて僚と出会ってからのことを思い出す。

暇だった毎日に突然来た人間は最初からなんというか、とても.......面白かった。

真っ暗な夜に月光が差すように、闇に光を灯すように、私を非日常へ連れてってくれた。

まだ会って1日、いや数時間しか経ってないがまるで、数日にも感じる時間だった。


「楽しい...」


もう私が生きて何年経っただろうか。

私も最初は数えていたけどいつしか面倒くさくなって数えるのをやめてしまった。

だが、そんな長い年数の中でもトップクラスと言っていいほど楽しい日だった。


「...そろそろ行きますか」


私が僚をどう思ってるのか自分でもよく分からないけど...


楽しいからいいや!


この感情が一体何なのか。

色恋沙汰か、友達としてなのか。

特別なのか、普通なのか。

それは今考えても答えの出ないものだろう。

だが、この感覚がこの先の未来をより楽しくするものなのだろう。

これが何処まで発展していくのか....

それはまた、別のお話。

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