第27話 戦力を把握しよう
「トマ君とリンちゃんも、素晴らしい才能をお持ちですね」
「ええ。これで今まで何も騒がれなかっただなんて、闘技場の奴らも見る目がないわね~」
クリスとアークが同調するように、頻りに頷いている。トマとリンのステータスを今一度覗く。んー、うんうん…… うん!
「すまん、ステータスの基準を教えてくれないか? 俺にはうちのゴブ達と同じ程度かな~、くらいにしか分からん」
「ウィ、ウィル、正気なの……?」
そんなにマジに驚かないで頂きたい。さっきはおどけて見せたが、意外と俺は傷付きやすいぞ。気を付けて扱ってくれ。
「わ、私が説明しますね、マスター。ステータスはFが最低、Sが最高値である事は以前にお話ししたと思います」
「だな。俺のステータスにはCが多くて、これが平均になるもんだと思っていたけど…… 奴隷船での戦いで実感したよ。戦闘に関してズブの素人な俺でも、屈強な船員達を圧倒できた。これはつまり、Cはかなり優秀な部類に入るんだよな?」
「流石はマスター、その通りです!」
「かなり優秀どころか、ステータスが全てCなら引く手数多な人材よ。頬の紋章さえなければ、どんな国にでも仕官できるでしょうね」
「ほ、ほ~……」
予想以上のアークからのべた褒めに、思わず照れてしまう俺。我ながら、何と扱いやすい事か。
「より詳しく説明しますと、こんな感じですね」
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F(ステータスにおける最低値。平均よりも貧弱。もう少し頑張りましょう)
E(平均的なステータス。可もなく不可もなく)
D(優秀とされるステータス。一つでもDがあれば、才能ありと判断される)
C(天才的なステータス。一つでもCがあれば、人が羨むほどの才能)
B(化物的なステータス。人間でいうところの限界値とも呼ばれている)
A(伝説的なステータス。英雄だとか勇者だとか、そんな人達が持つかも)
S(神話的なステータス。おかしい)
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クリスがメニューに文字を書き記して、分かりやすい表にして表示してくれた。ほう、こんな使い方をして情報共有もできるのか。いや、それよりもだ。これを踏まえて言いたい事がある。
「スキル名の横にある表記も、これを大よその目安にできると思いますよ」
「凄く分かりやすかったよ。ありがとう、クリス。でさ、アークのステータスなんだけど…… やっぱおかしくない?」
「あはは…… 低下しているとはいえ、Sが二つもありますもんね……」
「そりゃ、私は才色兼備諸々ですから! 魔力はからっきしだけど、腕っぷしには自信があるわ!」
ツッコミどころは多々あれど、こうして実証されてしまっているしなぁ。だが、この一覧でもう一つ理解したよ。このランクを一つ上げるだけでも、血反吐を吐く努力を重ねなければならないって事をさ。
「そう考えると、ゴブリンのランクアップって破格の成長なんだな…… それ以前にゴブリンクルー強過ぎじゃないか?」
「マスターのダンジョン創造はSランクですから、その影響でゴブリン達も強化されているのかと」
「あー、なるほど」
「どうしたの?」
「いや、こっちの話。そろそろ、トマとリンのステータスの話に戻ろうか」
クリスとアークの話を聞いた上で、もう一度二人のステータスを確認してみよう。
「……ああ、ふんふん。確かにそう言われると、凄い才能だ」
「でしょ? 二人ともまだ成長期だし、自然と上がっていく可能性もあるわ」
「それは将来が楽しみ――― ん? 二人とも、何か静かだな?」
さっきから俺とクリス達が話すばかりで、トマらは静かなもんだ。どうしたんだ?
「えっと…… クリスさんの判別表と、自分のステータスを見比べるのに必死で」
「あと、スキルの中身を確認してて。私、魔法なんて使った事ないんですが……」
「あ、そっか。スキルも確認しないとな。ついでにその内容も見てみようか」
三人が持つスキルの詳細を一纏めにして、一括表示。
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スキル:全武器適性A
全ての武器において適性がある。Aランクであれば神話級の武器以外の全ての武器を扱え、或いはどのような物体であろうと武器として活用する事ができる。場合によってはその物自体が適性を得る為に変化する事も。
スキル:飢餓の力B
空腹になる毎に筋力・耐久・敏捷が底上げされる。Bランクであれば飢えたドラゴン並みの強化を得る事ができるが、その反面エネルギーの消費も激しくなってしまう。
スキル:闘争本能B
戦闘時において自身を興奮状態にして、胆力や反応速度を底上げし、五感が研ぎ澄まされる。Bランクであれば脳内麻薬を分泌させて痛覚をも無視する事が可能だが、その分理性は薄れる。
スキル:狙撃C
道具を用いて弾を飛ばし、標的に当てる事においての知識、技術を得る事ができる。Cランクであれば天才的なスナイパーのレベルとなり、射程距離にあれば百発百中の精度で命中させられる。
スキル:水魔法D
水属性の魔法を操り、使用する事を可能とする。Dランクであれば優秀な魔法使いといっても過言ではなく、大抵の水魔法を再現する事ができる。努力により、新たな魔法の開発も可能だろう。
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「……アークについては置いておこうか」
「何でよ!?」
何でもだよ。本気で物騒なスキル構成だな、お前。
「まずはトマ。『狙撃』スキルがあるみたいだけど、それを使った経験はあるのか? 銃…… は存在するか怪しいよな。弓矢とか?」
「全然。そもそも武器なんて、持たせてもらった事もないよ」
ま、妥当なとこか。アークみたいな剣闘士でもない、子供の奴隷にわざわざ得物を持たせる必要がない。が、トマの狙撃に関する才能はかなりのもの。こと海戦において、相応の武器さえ用意してやれば凄まじい成果を上げてくれそうだ。
「よし、トマは狙撃手で決定かな」
「狙撃手?」
「物を揃えて後で説明するよ。次はリン」
「は、はいっ!」
リンが有するは『水魔法』。ステータスもどこかクリスに似ているところがあって、まさに魔法職といった感じだ。となれば、自ずと彼女が辿るべき道は分かってくる。
「リンは魔法を使った事がないんだよな? けどステータスは魔法職に打って付けだし、水魔法を扱う才能もどうやら優秀なようだ。クリスの下で色々学んで、ちょっとずつ使えるようになるのを目指そうか。あ、扱う魔法の属性が違うけど、クリスはそれでも大丈夫か?」
「問題ありませんよ。リンちゃん、一緒に頑張ろうね」
「よ、よろしくです!」
華があるなぁ。善哉善哉。
「ちょっとウィル、結局私はどうするのよ? 戦闘員って肩書きだけじゃ駄目なの?」
「それだけじゃ、平時はただの無駄飯食いじゃないか。アークには、そうだな…… 皆の戦闘指南をお願いしようかな。ここにいるほとんどは素人みたいなもんだし、最低でも護身術くらいは身に付けた方が良いだろ。できるか?」
その他にも、可能であればゴブリン達との連携も磨いてほしくはある。この分だと能力的に接近戦が多くなるのは、アークとゴブリン達になりそうだ。
「なーんだ、そんな事? ふふん、教えるのも大得意だからね。期待してもらって良いわよ!」
大きな胸を張り、自信満々な様子のアーク。うん、ちょっと不安になってきた。




