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世界の終わりさ
遮断機が鳴り始めてから列車が来るまではおよそ45秒
僕が踏切に突っ込んだのは遮断が鳴り始めて30秒後
全速で通過する特急列車はどんなブレーキをかけてももう間に合わない。
ファーーーーン
警笛は普段より心なしか必死に聞こえた。
顔を真っ青にして必死にブレーキを引く運転士と目が合う、
ああもう終わるんだと思った。
誰かと愛し合ったり、愛されたり、誰かを幸せにすることもできずに、あの娘を笑顔にすることもなく僕は死んでいくのだ。
ガッシャーン
列車は車のようにへこまないからその衝撃は全て僕と自転車に向けられる派手な音を立てて僕と自転車は弾き飛ばされた、
総重量数百トンの鉄の塊が時速100キロで突っ込んでくる、
合わせて100kgもない僕と自転車はあまりにも無力だった。
不思議と痛みは感じなかった。