第8話 僕は君ので、君は僕の。
お久しぶりでやんすー時間が空いてホント申し訳ないw
声が聞こえてくる、聞き覚えのある声が……だけど目の前には誰もいない、あるのはとても綺麗な布……聖衣球だ。
そんな彼女が何やら心配そうに心の中で話しかけてくる。
「太陽何か悪い夢でも見たのかい?
確かにこの景色は絶望的かもしれないけど、なんかさっきより心のざわつき方が変だよ?
それに全部筒抜けだったはずの君の心の中が、何故だかわからないけど一部だけ伝わってこないんだ」
「あっあぁ……元気だぜ、大丈夫だ」
俺は引きつった顔で、自分自身の体の至る所を確認した……腐りきったはずの自分の身体中を弄りながら。
「まさか……夢だったのか? いやでもそんなわけあるはず、それか俺の世界視の力で先読みした未来なのか? いや、そんなことは絶対に無理なはずだ、だけど確かに感覚はあったはずなんだ、痛かったんだ……あんな思いはもう二度としたくない」
そして俺はその奇妙な、とてもリアルな感覚に対して不快感を感じながら、彼女に質問した。
「世界視の力って、 体に感覚を残したりできるのか?」
「むりむりむりむり、だって世界視はあくまでも未来を見る力だ。
仮にそんな事が起きるのだとしたら、それは別の何かだ……」
そんな彼女の答えを聞いた俺は2つの結果が脳裏に浮かんだ。
それは奇跡と同等……いやそれ以上の能力である。
まず一つ目に浮かんだのは、死んでからセーブポイントに戻るコンテニューいわゆる死に戻りという奴だ……ゲームでもお馴染みである。
そしてもう一つは時間遡行、この2つのうちのどちらかが必ずあの死にかけの、もしくは死んでしまった時に必ず起こったのだ。
もしそうじゃなければこの状況は説明がつかない、再びエレナの家を上空から見下ろしている状況がその答えである。
間違いなく時間遡行もしくは、死に戻りが確実に起こっているのだ。
だけど何故それが起こったのかが自分には分からず、少し不気味に、気持ち悪く感じている。
そのせいなのかはわからないが、その気持ちが心のざわつきが彼女に伝わり、彼女はそんな俺の事心配しているようだ。
腕も、足も震え、思考がまとまらず現在は軽くパニック状態になっている。そんな情け無い俺の事を、彼女は心配しているようだ。
そして今現在エレナの家の真上に浮かんでいるのだが、正直なところ今すぐこの場から逃げ去りたいと思っている。そんな事は絶対に許されないというのに。
もし仮に今この場を逃げ、上空に浮かぶ七大天使ガブリエルから逃げる事に成功したとしても、そのままガブリエルを放置していたら、世界は間違いなく聖者の雨により滅ぶ。
それに幼馴染を見捨てることなんて俺には絶対に出来るはずがない……大事な、とてもとても大事な幼馴染が困っている、助けられることを望んでいる、死にたく無いと言っていたのだ……そんな彼女の事を見捨てるクズにはなりたくはないし、それに怯える俺の心は叫んでいる。
「助けろ、助けろ」と内側で叫んでいるのが聞こえてくる。
そして俺は震えた声で気合いを入れるためにぶつくさと口に呟やいた。
「出来る、、、、やれる、、やれ、、さっきよりももっと、もっと、もっと、もっとうまくだ、助けろ、全部だ、全部助け……」
「太陽、なんか無理してない? そんなに背負い込まなくてもいいんだよ、自分の事で精一杯なんでしょ?」
彼女にそう言われると俺の口からは「ハハッ」という笑い声が出てた。 そして表情は歪んだ笑顔で必死に笑おうとしている。
「そんな事ねぇーよ! お、俺は無理なんか」
すると月は、聖衣球を維持したまま、俺の目の前に現れまじまじと顔を見ながら言った。
「本当かなー?んー?」
「本当だ……俺は無理なんか」
そんな言葉とは裏腹に俺の心はぐちゃぐちゃだ。
まるでスクランブルエッグだ。
そしてそんな、ぐちゃぐちゃな心を全て読み取ってしまった彼女が言った。
「ほら、やっぱり無理してる……僕には全部伝わってるんだよ? 」
彼女はそう言いながらゆっくりと抱きしめ、優しく頭を撫でてきた。
「ずりぃーよ、何で全部おまえに伝わっちまうんだよ……」
自然と涙がポロポロとこぼれ落ち、子供のように呼吸をあげながら泣いている。
すると彼女は優しく微笑みながら言う。
「知ってるんだよずっと君の側にいたから、いつもそうやって一人で背負い込んじゃうんだもん。
だけど今は僕がいるよ、君の側には僕がいるよ、君が辛くて潰れそうなら僕を頼ればいい、一人で背負いこむより二人で一緒に頑張ろうよ」
そんな彼女の優しさのおかげなのか、少しだけ、ほんの少しだけ元気と勇気が湧いてくる。
その感情は次第に膨らみ、感情が膨らみを増すごとに俺の心は上書きされていく。
不安な心から、安心へと。 そして俺はいまやるべき事と向き合うために、顔を上げ涙をぬぐった。
「ありがとな月」
「そんな〜お礼なんて不要だよ、僕は君ので君は僕のなんだから!」
そんな事を満面の笑みで、無邪気に言う彼女の事を見ていると、こちらまで自然と口角が上がる。
そして今やるべき事をする為に、彼女にお願いした。
「とりあえず下の家に降りようぜ、エレナが苦しんでる」
「了解だ!」
そして俺たちは、朽ち果てた幼馴染の家までゆっくりと降下していったのだった。
読んでくれてありがと!
これからも地道に頑張るぞい。
読者を求めるより、求められる作家になれるように。