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それから数日後いとは友達と遊んでいた
遊んでいると友達の様子がおかしいことに気が付いた
「さきちゃんどうしたの?」
さきちゃんは困った顔をしていった
「いとちゃん、実は私結婚相手決まったんだ」
「え、けっこんするの!?」
「あんま大きい声ださないで
相手は隣の村の人みたいなんだけどね・・・」
「そうなんだ・・・」
「私ももう14歳だから行かなきゃいけないのはわかるんだけど・・・
村から出たくないなあって…」
「さきちゃんとあえなくなるのさみしいよ・・・」
いとは涙目になった
「大丈夫だよ!式は半年後だし
それに村には帰れたらまた帰ってくるから」
「うん・・・」
「そういえばいとちゃんには好きな人とかいないの?」
間入れず答えた
「いるよ!」
「それって誰?」
さきは興味津々だ
「うーんとね・・・ひみつだよ!」
「そっかあ、気になるけど・・・いいこと教えてあげる!」
そういうとさきちゃんはいとの耳元に顔を寄せて何かを言った
途端にいとの顔が赤くなる
「・・・そーなの?」
いとは少しもじもじしながら言った
「うん、やってみるといいよ」
さきちゃんは明るく言い放つ
「・・・うん!じゃあやってみる!」
「どうだったか報告聞かせてね?」
「わかった、よ」
やっぱりいとははづかしそうにしていた
その日の夜
「けっこん・・・かぁ・・・」
小さい声でそうつぶやくといつの間にか寝てしまっていた
次の日いとはあめに会いに行った
あめは木のところに座って待っていた
いとはあめのところに近寄っていく
「あめさん!はなしがあるの」
「なんだ?」
「あのね、わたしかんがえたんだけどね・・・・」
そこでいとの顔が少し真剣になる
「わたしけっこんするならあめさんがいい!」
あめの動きが止まった
「・・・?あめさんどうしたの?」
「いとが突然そんなこと言うからだろうが・・・」
「あめさんかおあかいよ?」
「・・・気のせいだろ」
あめは顔を横に向けた
「あ!あめさんこっちむいてよ」
「あ?なんだ」
よまでは言えなかった
反射であめが振り向いたときに口が重なった
「・・・・・?」
あめは一瞬何が起こったのかわからなかった
いとの顔が近い
いとの顔は真っ赤になっていた
「いと、お前今なにした・・・?」
「ちゅーしたの・・・
あめさん顔さっきよりあかいよ」
「っ・・・うるせえよ
第一いとも真っ赤だぞ」
「だって、はずかしかったんだもん!」
「なんでこんなことしたんだ?」
いとはもじもじしながら答えた
「さきちゃんがね、すきなひとにはちゅーするんだよって言ってたの!
あめさんはわたしのことすき?」
「・・・嫌いじゃない」
「それってすきってこと?」
「さあな」
「えー・・・でもわたし、あめさんとけっこんしたいな」
「それは無理だな」
「えー!なんで?」
あめはため息をついた
「第一俺は鬼だぞ?」
「でもあめさんがいい!」
「・・・はぁ」
ため息をついた
何を言っても無駄かもしれない
「・・・いとが、大人になってもそう思ってたらしてやるよ」
「やったあ!ぜったいだよ??やくそく!」
いとがあめに抱き着いてきた
「あめさんだーいすき!」
「・・・そうかよ」
そういったあめの顔は心なしか嬉しそうだった
そうして帰り際にあめはいとを呼び止めた
「そうだ、これやるよ」
「なあに?」
あめの手の中には黒くて小さな鈴があった
「すずだあ!きれい・・・ほんとにいいの?」
「ああ、ただし危ないとき以外は鳴らすな」
「どーして?」
「この鈴は俺を呼ぶための鈴だ
3回鳴らしたらいい」
「そーなの?ありがとう!
わたし、だいじにするね!」
「ああ、大事にしろよ」
「なくさないよ!ずっともってる!」
いとは大事そうに懐に入れた
次の日いとはさきちゃんに報告していたとか