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いとがあかを呼び止めた
あめは驚いた顔をして見る
あかもいとを振り返った
「お嬢さんなにか用かい?」
「さっきのようりょくをけすほうほう?おしえて!」
「お前なにいってんだ・・・」
「そうだね、僕も知りたいな
どうしてだい?」
「そのようきっていうのでいばしょがばれちゃうんでしょ?
わたし、あめさんがたいじされるのいやだ!!」
「なるほどねえ・・・
あめさんは大分好かれてるねえ」
あかはにやにやしながらあめを見た
「そんな心配されずともそうそう退治なんざされねえよ・・・」
「まあ、面白いものも見せてもらったしね
いいよ、教えてあげる」
あかは懐から何かを取り出した
「じゅず・・・?」
「これを付けるとたちどころに妖気が見えなくなるっていう優れものさ
それこそ陰陽師たちにもばれないね
ま、でも僕があったのは下っ端の陰陽師ばっかだったから案外上の連中にはばれるかもね」
「最近のものか
昔には見かけなかったが」
「そうそう、ここ数年で開発されたのさ
これで人間に紛れてもばれないってね
ま、値段が高いのが難点だけど」
「これ!ほしい!」
「そうだねえ・・・じゃあ、一つあげようか」
「いいの!?」
「・・・何考えてる?」
「いや、なにも?
あえて言うなら面白そうだからかな」
あかはいとに数珠を手渡した
「懐に入れておくといいよ」
「・・・・?あめさんには・・・?」
「あいにく手持ちが2つしかなくてね
それはあめさんより君が持つといいよ」
「どうして?」
「きみは人里に住んでるんだろう?
だったらこんな山よりもそっちのほうに陰陽師は行くのさ
そこであめさんの妖力をまとった君がいたほうが騒ぎになるんだよ
わかったかい?」
「うん!わかった!!
ありがとう!あかさん!」
いとは大事そうに数珠をしまった
「そういえば君の名前を聞いてなかったな
なんていうの?」
「わたしはいとだよ!あかさん!」
「いとちゃんか、かわいい名前だね
じゃあ、僕はもう行くよ
そこのあめさんにもうっとおしがられてるっぽいからね」
横からあめがあかを睨んでいた
「いっちゃうの?
もうあえないの?」
いとは悲しそうな顔をした
「いや、また来るよ
面白いからね」
「来なくていい」
「じゃあ、またね」
ひらひらと手をふってあかは行ってしまった
「あかさんいいひとだったね!」
「あいつは昔からよくわからん奴だ
お前最初はあんなに涙目になってなのにいつの間にかなつきやがって」
そう言うとあめは少し不機嫌な顔になった
「うーん・・・さいしょはこわかったけど・・・
でも、なにもされなかったしあめさんのともだちでしょ?
なら、いいひとなんだよ!これももらったし!」
数珠をかざしてにこにこして言った
「・・・なんだその基準は
俺の知り合いだからっていい人とは限らねえだろ」
「でも、あかさんはいいひとだったよ!」
「・・・まあ、あいつは昔から変な奴だったからな」
「またあえるのたのしみだなー」
あめは顔をしかめた
「もう来なくてもいい」
「えー?あめさんはあかさんのこときらい??」
「・・・・きらいってかただの腐れ縁だあいつとは」
「じゃあ、すきなんだ!」
「なんでそうなる・・・」
あめはため息をついた