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鬼と少女の話  作者: ちる
5/10

5


次の日いとがあめに会いに行くと約束通りあめは木のところに座って待っていた

「あめさん!」

「・・・よお」

「あめさん!きのうのかわであそぼ!」

いとはもう行く気満々だ

「川?めんどくせえ・・・」

「だめ?」

いとは悲しそうな顔であめを見た

「・・・めんどくせえって言ったんだ

 ダメとは言ってねえ」

「じゃあいいの?やったあ!」

いとは早速川があったほうに走っていこうとする

「おい待てって」

「あめさんもはやく!」

いとが手をふっている

おめはだるそうに立ち上がった

「はあ・・・」

ため息をついていとが呼ぶほうに向かった


「ついたー!」

目の前には昨日見た川がある

改めて見ると比較的浅い

いとは早速川に入っていった

それをみたあめはその場に座り込んだ

「あめさんもいっしょにはいろうよ!」

「ああ?俺はここでいい」 

「えー・・・」

いいつついとはそれ以上は要求しなかった



いとは魚を追いかけたりして遊んでいた

あめはそれを眺める

「なんで俺は子供のおもりなんざしてんだ・・・」

ふと呟く

だがなぜかそんなに悪い気はしない

「よくわからねえな・・・」


いとと一緒にいるとなぜか調子が狂う

なぜなのか自分ではよくわからなかった


「きゃっ!」


考えているといとの悲鳴が聞こえていた

そっちを見ると深いところに行ってしまったらしい

溺れていた


「っ・・・いと!」


慌てて走っていとを引き上げる


「ごほっごほっ

 あめさんありがと」

「魚に夢中になりすぎだばか

 もっと周り見やがれ」

「ごめんなさい・・・」

「次からは気をつけろ」


ふと、いとは気が付いた

さっき自分の名前を呼んでくれたような気がする


「ねえ、あめさん」

「なんだ?」

「さっきわたしのなまえよんだよね?」

「・・・ああ」

「やっぱり!うれしい!

 はじめてよんでくれた!」

「そうかよ」

「うん!」

いとはすっかり上機嫌になった

「おい、帰るぞ」 

「え?」

「お前びしょびしょだろーが」

「そうだね!ふくきがえなきゃ」


二人は山を下り始めた


「ねえ、あめさんはふだんなにしてるのー?」

「別に・・・やることもねえからあの神社で寝てる」

「そーなんだ!わたしはともだちとあそんだりかなあ

 あとね、いえのおてつだいするの!」

「へえ、まだガキなのにか」

「うん!わたしね、おばさんのおうちですんでるの

 でも、きょねんおじさんしんじゃったからたいへんなの

 だからおてつだいしてるんだよ」

「・・・お前の親はどうした?」

「なんかね、びょうきでしんじゃったんだって」


流行り病で死ぬのはまあ、ありがちな話だ


「・・・そうか」

「うん、でもね、おぼえてないからかなしくないよ」

「お前もいろいろ大変だったんだな」

「う~ん・・・おばさんすきだし、おともだちいるからたのしいよ!

 あと、あめさんもいるからたのしいよ!」



「そうかよ」


話しているうちに下まで降りてきた


「あめさん!あしたもあそぼうね!」

「・・・明日は雨だぞ」

あめは空を見ていった

「すごーい!わかるの?」

「まあ、このくらいはな」

「じゃあ、次の晴れた日に遊ぼうよ!」

「・・・しょうがねえな」


「うん!またね!」




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