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祝福回路はdeathデスデース。  作者: 七並弱志
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1-3.少年突破のえくすかりばーデス。

5月6日 句読点、改行、修正。

5月16日 ゴミ除去

 一連の作業が終わったのかもふもふが話しかけてくる。


「さて、君の事だけど。」


ベッドから少し離れた場所でこちらを見つめる赤い瞳は未だ不気味ではあるが、敵意は和らいでいる気がする。


「君は「斬波聡(ざんば さとし)」中学三年生、中肉中背、成績は中の中。特に大きな賞罰無し、で間違いないかな?」


間違いも何もアバウトすぎやしないか?と突っ込みを入れたいところだが先ほどから猿轡(さるぐつわ)を咬まされていて、こくこくとうなづくことしかできない。

ここら辺でさすがのオレもこれが現実と受け止めざるを得ない状況であると認識しつつある。


「詳しい説明はできないけど、この世界と君たちの世界では時間の流れが違うように見える。いや、ほんとは同じなんだけどね。」

相変わらず何を言ってるのかさっぱりだが、もふもふは説明を続ける。


「で、君たちの時間で2週間ほど前にボクの同僚であるザッパは君をターゲットとして入れ替わり、現地時間で4時間程滞在するはずだった。君が寝ている時間にだ。これは君が元の場所に帰還した段階で否応なく理解することになるだろうけど、神の祝福と呼ばれるプログラムの一環で君や君の周りの人間にささやかな幸福をもたらす可能性のあるものなんだ。

万が一計画になんらかの滞りが出た場合は自動的に最長で2週間の延長滞在も予定されてた。

そして、元々、君が選ばれた事、これは全くのランダムで行われた事なので問題は無かったと認識しているが、最初の予定である4時間を経過した後、ザッパは何らかの原因で君の体からの離脱ができない状況になったらしい。」


 意味はよく分からなかったが2週間というキーワードにはっとする。おいおい待てよ。


2週間という事は高校の入試試験が終わっちゃってるんじゃないのか?高校浪人とか勘弁してくれよ、、と涙目になっていると、もふもふが話を続ける。


「そうだよね、、。泣くほどつらいんだね。ごめんよ。まぁ、ありていに言えば君には全く何も責任がないしボク的には多少の同情もする。だが通常行われる4時間のプログラムで終了しなかったという事は、システムのトラブルの可能性もあり得無くはないのだけど君という個体の能力値があまりにも低かった、等の可能性が高い。詳細はザッパに聞かないと不明だけどね。とりあえずおとなしくしてくれるなら拘束具は外したいのだけど、いいかな?」


能力が低いとか本人に直接言うなよ。オレだって傷つくぞ。多感な14歳をなめんなよ。ちくしょー。

だいたい帰ったらわかるよ的な説明にも物凄く不安と悪意を感じる。感じる、だが、しかしだ。

とりあえず早くこの拘束具を外してもらわないと口で息ができない。これは最重要案件だ。


上目遣いのもふもふにオレは出来るだけ可愛く、且つ全力で頭をこくこくさせる。

パシュンっと音がして忌々しい猿轡を含めた拘束具は外れ、一瞬で目の前から消えた。

超未来科学バンザイ。


「あと3時間15分ほどでザッパ、ボクの同僚の精神体に対して最初に行われるはずだった規定帰還シーケンスのリドゥが行われる。その時点で君は元の地球にリプレイスされる筈だ。

・・・まぁ、なぜこんな地底の穴深くに彼の精神体が在るのかはわからないけれど、それは別にしても、君の事はきちんと対応されるから安心して欲しい。あと、君の短い人生から一か月という貴重な時間を奪ってしまった事になるわけだが、君の身体に滞在したザッパは2週間、代役として普段の君を正確に演じていたはずだ。現在、恐らく君の体は意識を喪失して眠ったような状態に陥っているから、突然倒れた君を周囲の人は心配しているかもしれない。だがどのような状況であったとしても安全装置により無事は保証されているし、二週間意識を喪失していたそこに突然戻るという事は君や周囲の人にとって少し違和感を与える帰還にはなってしまうだろうけど特に何の問題もないと思う。」


「そ、そうだ。オレ、高校入試とか中学卒業が秒読み段階でイチャラブイベントも目白押しだったはずなんですけど」

イチャラブイベントはなさそうだったが何も問題ないといわれてむかついたので少し文句を言ってみる。


「ふむ。それは気の毒だったね。高校入試というのはいわゆるテスト、、だよね。それはザッパが受けたのならすべて満点だろうから心配ないよ。大きく捉えるとそういうのも今回の目的の一つであるしね。

イチャラブについてはザッパの帰還シーケンスが実行されれば、彼のとった行動がすべて君の記憶にマージされるので問題無い。君のとったであろう行動とザッパのとった行動の誤差は0.001%以下だ。リアルの体験も記憶上の仮想体験もほとんど変わりはないから心配しなくていいよ。」


 は?今のは理解できたぞ。実際にあった事を思い出だけでガマンしろってそれマジですか?

脊髄反射で文句を言おうとしたが、よく見るともふもふのしっぽが少しぎこちなく左右に揺れているのが見えて機嫌がなんとなく悪そうな事を察知したオレは、半分出かかった抗議を飲み込む。


ここはクールに行こう・・・。

人は状況に応じて羊であらねばならぬ時もあるのだと母の逆鱗に触れた父も言ってたしな。


 それだけ話すともふもふは先ほど開いたデータを見直し始めた。時々微調整なのかデータに修正を加えているようだ。

どうもこちらへの関心は全くなさそうなので、ごろりと寝転がると白い部屋のベッドの上で天井の白色ライトを眺める。


 しかし、なんだ。よく考えてみるとここはどこなんだろう?そもそも少し前までいた洞窟か地下のような真っ暗闇の場所はどこだったんだろう?

そんな事を考えながら周りを見回していると、ふとベッドの脇にある手術用ワゴン台のような物の金属部分に映り込んだ自分の姿が見えた。


「外人?」


それは肩近くまで伸びた金髪に紳士的な髭を蓄えた超絶美形おっさんだった。

思わず頬を触ってみるが確かに今のオレに間違いない。

 筋肉質で均整の取れた体躯。シャープな(あご)のラインがかっこいい。近づいてみると吸い込まれそうな青い瞳が白い前合わせの服から少しだけはだけた胸元でこちらを覗き込んでいた。


 女子が集団で読んでいる雑誌にこういう男がモデルとして載っているのはなんどか見た事がある。

抱かれたい男ナンバーなんとかってやつだ。

体を動かすと、腰で止められた前合わせがはだけて下着のつけていない下半身がやや(あら)わになってしまう。


おっーと。


でも、今は自分の体なんだし問題ない、問題ないよな?

・・・それにしても。・・・ぅおふ。

これが完成された大人の男というものか。凄い、凄いぞ。。。思わずオレのエクスカリバーがうんぬんとつぶやきそうになる。


「あのさぁ」


不意にもふもふがこちらを向き、赤い瞳で見つめながら口を開いた。


「悪いけど今はモニター開いてるから君の思考、こちらに駄々洩れなんだけど」


一瞬オレ達の間を何かが通り過ぎた。そしてオレは未来科学が嫌いになったんだ。


極寒となった空気の中で、しんしんと3時間15分は過ぎて行ったのだった。

私事ですが、文章を作ってる時に正面突破と書いたつもりがタッチミスで少年突破になってました。

あまりに素敵なコピーなんですが、この先の人生で使う事もなさそうなのでここで使っておきます。


ちなみにタッチミスを指摘してくれた方との空気が微妙でしたデス。

そんな趣味はないデス。

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