★西暦2150年の青年達(仮)
ウツロ先輩の見やすい目線、
二見のぞみさんのやさしい表現、
小倉ひろあき先輩の分かりやすい文章、
……その全てを壊す私の癖。
多分各自数%も盗めてない。あかん、別物になったわ。
――実験小説。
『2150年の青年達(仮)』
――――朝。
まぶた色の暗闇にカラフルな珈琲を溢していく様に、視界にゆっくりと色が広がっていく。鮮やかなぎん色の髪、もも色のくちびる、泣きぼくろのあるしろい肌。鎖骨から下を隠すようにして掛けられたサラサラのシーツはほんのりと控えめな丘を抱いている。
俺はベッドを揺らさないように片膝を立てると、彼女が寝返りを打った。シーツの中の手が私の左手を探し当て、ぎうと熱を伝えてくる。
「おはよう」
「おはよ、起きてたのか?」
「ん、今起きたよ」
彼女は目を瞑ったまま笑っている。俺は彼女を胸に抱き寄せて、あたまの上にかるくキスをしてベッドを出た。
からからと窓を開けると、4月の新しい風がぬるい部屋に動きを与える。
「COOL“L”飲む?」
再びシーツにくるまった彼女に声をかけながら、ワンルーム併設のキッチンへ行き冷蔵庫を開ける。
「ん、お願ーい」
背中の方向から気だるい声と聞き慣れた衣擦れの音が聞こえた。
――――俺の名前は北村武康。彼女と暮らしはじめて今日で丁度1年になる。
右手と左手でCOOL“L”を入れたコップを持ってベッドの脇にあるテーブルへと向かう。開け放たれた窓のむこうには青空。その中心では目を瞑ったままの彼女がのそのそとスカートを履いていた。彼女の両脇に広がる雲がまるで天使のはねのように見える。
ボサボサになった髪、左に傾いた顎。半開きのくちびる。その全てがいとおしい。左右にうっすらと揺れている彼女の名前は帆一子。
彼女はテーブルへ移動し、COOL“L”を飲んで幸せそうなため息をはいた。そして俺を見て微笑む。瞳にはうっすらと(残17:42)と映し出されていた。
俺は、今日。この最愛の彼女と永遠の別れを迎える事となる。