6話:武器スキル習得
改行の仕方を変えてみました。
-金曜日-
今朝は、とても良い天気だった。気分はウキウキしている。元気に出勤となった。
昼休みを使った情報収集では、訓練場でスキルが上がらない話題が大半。親切な人が多いのか、店売り(NPCが売っているの意)買って北門超えた所で狩りする等の話から、武器ごとの助言まであった。
先行組による最先端の話題としては、デミアの次の街“ルーエ”では、魔法スキルと特殊スキルの一部が習得出来るらしい。店売りの武器防具はデミアと同じ。魔法使い目指す人は先ずこの街へとのことだ。
まだサービス開始から24時間経っていないというのに、もう2つ目の街の情報とか、スタートダッシュ決める人達は半端ないなぁと感心しつつ、午後のお仕事を頑張る。
今日は1時間程残業となったが、土日の休みはお墨付きをもらった。
夕食、風呂を済ませ、準備万端で21時40分SSSOへログイン。
VR画面上に徐々に広がる景色は、昨日ログアウトした広場の一角の同じ場所のようだ。
今日は最初に主武器を決める予定を立てている。短剣か片手槌で迷っているが、実のところ昨日試した投擲が腑に落ちず、どうにも気になってしまっている。
昼休みの情報収集で投擲スキルについても検索してみたが、スキルは公式ページに存在するものの、試している人はいないと思われるくらい情報がなかった。
取り敢えず訓練場へ向かってみる。
訓練場へ着くと、情報の伝達が早いのか閑散としていた。
投擲を必死になって試している所を他人に見られるのは少し恥ずかしいと思っていたところなので、人がいないことに内心安堵し、心置きなく試そうと思う。
腑に落ちない部分について、どう表現したら良いのか悩むが、ゴンと音が出るときは投げた瞬間に上手く投げたという感覚がある。それがクリティカルと言われたらそうかもしれないが。
例え話になるかわからないが、下手なゴルフの打ちっ放しで100球中1~2回、正しいフォームで真にとらえた時に手に衝撃もなくスッと打てる事がある。これに似た感覚を感じている。
50回程投げ込んだが結論は出なかったので、教官に返却しつつダメ元で聞いてみることにした。
「アイバン教官、ありがとうございました。投擲で時折コツンからゴンという音に変わり威力も上がっている感じがするのですが、クリティカルなのでしょうか?」
「ご苦労さん。投擲か?俺は詳しくないから何とも言えんが、街の北西の外れに住む老人は若い頃投擲の熟練者だったはずだ。聞いてみるといい。」
どういう基準かわからないが、あっさりと熟練者を教えてもらえた。
ミニマップを見ながら、北西の外れに向かうと、それらしい老人を見つけた。早速、投擲について聞いてみると、とても長い話が続いた。
話を要約すると、ゴンという音が正しい扱いであること。これは他の武器の全てに当てはまること。
武器の種類により正しく扱うための難易度が違い、これはスキルのLvによる補正があるとのこと。
投擲は投擲の種類によって持ち方や握り方や投げ方が異なること。正しい扱い方がわからない場合は、技能を使ってどのように扱えば良いか確認するのも手であること。
などであった。
長話を聞き終わった後に、ウィンドウが現れ“投擲スキルを習得しますか?”の文字が表示された。
せっかくなのでOKボタンに触れ、投擲スキルを習得した。
投擲スキルを習得したということは、スキルが上がるかもしれないと考え、訓練場へ戻り試してみる。
結果、訓練場用の石ころでスキルは上がった。
持ち方、握り方、投げ方に気を付け、ガシガシ投げていると、ゴン率8割という所で投擲スキルがLv10となった。
次に実戦で使えるかどうかの確認が必要となる。主武器、副武器のどちらにしても、使えるかどうか試してみないことには決められない。
街のNPCの武器屋で投擲用の[石ころ]が売っていた。10個で10gemという値段であった。石ころなのに意外と高い気がする。30個購入する。
参考までに、片手剣の[銅剣]100gem、片手斧の[銅斧]、片手槌の[銅槌]120gem、短剣の[銅短剣]80gem、小弓の[檜小弓]70gem、[木矢]が100本10gemとなっていた。
北門方面の狩場の情報は多かったので人も多いと考え、始まりの村から来た東門の外側を目指してみる。
人はちらほら通っているものの、予想通り狩りをしている人は見当たらなかったので、街道を外れたところにいる草原兎で試してみることにする。
先ずは、始まりの村の村長から貰った木剣で叩いてみる。草原兎からは襲ってこないので、初撃は思いっ切り叩いてみた。その後頭突きが来ることはわかっているので、横にステップするように回避し、叩く。
更にもう1回叩いたところで、草原兎が横に倒れつつ離散エフェクトと共に消えた。昨日と変わらず3回という結果を踏まえつつ、投擲を試してみる。
余り離れすぎると目立つかもしれないのと、草原兎からは襲ってこないので、1m程まで近付き、ゴンスタイル(勝手に命名)で投げてみる。
この至近距離からは狙いを違えることもなく命中し、ゴッという音と共に草原兎の身体が少し押された状態から、そのまま横に倒れ離散エフェクトと共に消えた。投擲1発という結果となってしまった。
数秒思考停止していたが、こういう結果となると試さなくてはならないことがある。コツンスタイル(勝手に命名)で何回になるかである。
結論から言ってしまうと、コツンスタイルでは3回かかった。この結果から木剣も正しく扱えていない可能性が高く、正しく扱えればどの武器でも一撃の可能性が見えてくる。
投擲も使える武器という事がわかり、主武器か副武器にするかは置いておいて、せっかく習得したので使っていこうと考えた。敵によって得手不得手があると思うので、無駄にはならないはずである。
もう一つの武器スキルをどうするかであるが、投擲と併せるなら短剣が良いかなと主観だけで決めてみた。
短剣スキルも習得したいと思い、訓練場の教官に熟練者を教えてもらおうとしたが、こちらは教えてもらえなかった。
熟練者を教えてもらうための条件が何かあるという予想はつくが、それが何かわからない。ただ、比較的無難な想定としては、訓練人形を叩いた回数という線だろうと、教官から短剣を借りて訓練人形を叩いてみる。
30回ほど叩いてから教官へ聞いてみるがダメであり、更に30回ほど叩いてから教官へ聞いてみると、短剣スキルの熟練者を教えてもらうことができた。
短剣スキルの熟練者も老人であり、長話を聞くことになったが、無事習得することが出来た。
訓練場へ戻り、短剣を少し練習しただけで、正しい扱い方がほぼ100%出来るようになった。難易度の低い、扱いやすい武器なのかもしれない。この時点で短剣スキルはLv3となった。
ここで現実世界の2時間を過ぎていることに気付き、小休憩を挟むことにした。
SSSOでは、ログアウトとは別の“離席”コマンドがある。この離席状態にすると15分間無敵状態となり、戦闘中であっても攻撃を受けることがないというものである。
トイレや来客等の急な都合に対応するためのものであり、小休憩にも使える。但し、頻繁に使ったり、悪意のある使い方をするとペナルティが科せられると注意事項に記載があったが、詳細は不明である。
GMがずっと監視しているとは考えにくいが、AIが搭載されているので、ある程度の状況判断から対象者を把握することは可能であるだろう。最終判断をGMがするというのであれば問題もない。
街中の安全な場所にいるが、試しに離席状態にしてみる。VR画面がセピア色になり、現実世界の身体が動くようになった。
ヘルメットを外し、リクライニングチェアから立ち、まずはトイレを済ませる。
冷蔵庫から冷たい緑茶を出し、ゆっくりと喉を潤して、10分ちょっと経ったところで、リクライニングチェアへ座り、ヘルメットをかぶる。準備を終えると、生体認証完了の文字が表示され、セピア色が通常の色へと戻った。