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番外編:アレク=サンドパーティ編

-アレク=サンドパーティ編-


 アレク=サンドをリーダーとするパーティのメンバー全員がグサビの街の広場に揃っている。モンスター襲来イベントの結果発表を確認し、報酬を全員が受け取った後、イベント談義をしながらくつろいでいるのであった。


「流石に総合3位となると、報酬も豪華だなぁ。イベント頑張った甲斐があったってもんだぜ。」


「うんうん!カタログが報酬っていうのもいいよね!リアルでもカタログ大好きー。」


 大盾戦士の魂斗羅こんとら芭栖ばすの言葉に、小弓斥侯のだぁ☆うぃんが嬉々として答えた後、火風水魔法使いのスターシーカーが、曇った表情で続く。


「私としてはこういうカタログのようなものは…、決めるのに時間が掛かりそうで。」


「あっ、スターさんもですか?わたしも、こういうのはパッと決められなくて、悩んじゃいそうです。」


 風光魔法使いの舞阪まいさかさなが、スターシーカーの言葉に同意してきた。


「俺は平気かな。カタログとかは半分勢いで決めることも多いし。アレクも即断しそう?」


 両手槍戦士の紫龍しりゅうが自分の意見を口にし、アレクに伺いを立てた。


「俺か?そうだな、俺も慎重に検討するとは思うが、決断は早いと思う。」


「流石リーダー、ちゃんと考えてからだよなぁ。俺も紫龍しりゅうと同じで、あまり考えずに決めちゃいそうだぜ。一つは大盾に決めたしな。」


「へっ?魂斗羅こんとらさん、もう決めたのですか!?早過ぎます!ちゃんと考えましょう!」


 若干慌てた雰囲気を出す舞阪まいさかさなが魂斗羅こんとら芭栖ばすへの無用な説得を始めた姿を横目に、だぁ☆うぃんがアレクへ質問を投げる。


「あれぇ?リーダー、討伐総合9位のパーティってこの前の2人組…だよねー?」


「雑巾とタツヤ…あぁ、助けてもらった2人組で間違いない。」


「おお、本当だ、9位に入っている。イベントでも2人で組んでいたのか…って、名前が2人だけ。」


 ランキングを再確認した紫龍しりゅうの語尾が小さくなっていく所へ、被せるように魂斗羅こんとら芭栖ばすから驚きの声があがる。


「おいおい、マジかよ!2人で6人分のポイント稼いだってことかぁ?まぁ、あの実力を見た後なら、頷ける部分もあるっちゃ……。」


「イベント中にパーティメンバーを交代・解体した場合にランキングや報酬がどのように反映されるかについては、まだ実例を聞いていないから断言は出来ないが、俺の想定では2人だけで組んでいたと思う。そして、それだけのポイントを稼いだのだと。」


 アレク=サンドが感慨深げに自分の意見を述べると、周りのメンバーも考えながら頷いている。


「ふと思ったのですが、あの2人はグサビの街でも見かけたことありませんよね?先行組ならほぼ見知っているはずですが。」


 考え込んでいたスターシーカーが急に思い出したかのように質問を口にした。


「俺も見ていないな。」「わたしもです。」「ボクも見てないよ!」


「というより、あの森で出会う前も後も見ていないんじゃないかぁ?」


 皆が口々に答え、魂斗羅こんとら芭栖ばすが最後にまとめた質問を投げかけると、皆が一斉に同意している。


「討伐総合1位と2位のパーティが各々でギルド作ったけど、その傘下っていうかメンバーでも無いっぽいよなぁ。上位は俺達以外どっちかのギルド関係者で埋まってるし、10位以降は俺達のような先行組の固定パーティが続いているんだよな。」


 続いた魂斗羅こんとら芭栖ばすの言葉に、スターシーカーが答える。


「そうですね。魂斗羅こんとらの言う通りですが、先行組でなくとも強い人はいるでしょう。ただ、若干桁外れのような気もしますが。」


「Cβテスターだったとか!?…って、ごめん。それも含めての見たことないの話だよねー。」


 思ったことを直ぐ口にしただぁ☆うぃんが自己解決すると、皆がドンマイという表情を投げかけている。それと言うのも、ここに集まったメンバーは全員Cβテスト経験者なのであった。一部メンバーは現実世界リアルの友人らしいが、Cβテスト中の出会いを切っ掛けに、Oβテストの今もパーティを組んでいる。


「ジャイアント=フォレストベア戦での2人の貢献度で相応の実力があることはわかっているけど、俺はじっくり動きを見る余裕がなかったからな。」


 紫龍しりゅうがジャイアント=フォレストベアとの闘いを思い出しながら、疑問を口にした。


「わたしは魂斗羅さんの後ろから見ていましたけど、ヒャッとかわして、ヒョッと攻撃して、凄かったです!」


「格闘のタツヤのことを言っているのは察するけど、ヒャッとかヒョッとかじゃ意味わからないから。」


 舞阪まいさかさなのお馴染みの擬音説明に、紫龍しりゅうが突っ込みを入れる。


「あの場で観察出来ていそうなのは、スターとだぁくらいか。二人の感想は?」


 アレク=サンドがスターシーカーとだぁ☆うぃんに質問を投げ、先ずスターシーカーが答える。


「私の位置からは、お二人ともあまり見えませんでしたね。そこまで気が回らなかったということもありますが。」


 スターシーカーが観察出来ていない旨を伝えると、待ってましたと言わんばかりのだぁ☆うぃんが、感想を言い始めた。


「じゃぁ、次はボクだね。ボクの位置からは2人とも良く見えたよ。最初、リーダーに2人の支援任されたしねー。えっと、格闘家のタツヤさん?はみんなわかっていると思うけど、回避率が凄かったよね。でも、本当に凄いと思ったのは、回避した後攻撃に繋げているセンス?っていうのかな?そこがめちゃくちゃ凄いと思ったよー。」


「もう1人の方、雑巾はどうだ?」


 アレク=サンドの合いの手の質問に、だぁ☆うぃんが少し首を傾げた後、答える。


「うーんと、まず武器は投擲と短剣を使っていたよ。石ころみたいなのを投げていたけど、違うのも投げていたみたい。ぶっちゃけ投擲って威力低いんじゃ?って思ったけど、咆哮後に大ダメージで怯ませようってなった時、投擲の必殺技ウェポンスキルでジャイアント=フォレストベアの背中がハリネズミのようになったのにはビックリしたよー。でも、あれで怯んだんだよねー。ボクのヘビィショットじゃ怯まなかったのにー。」


「あぁ、ハリネズミは俺も見た。苦無のような物が一面に刺さっていたと思う。それと今思い出したけど、短剣のダメージも結構高かったと思う。エフェクトからの推測だけど。」


 だぁ☆うぃんの話を聞いて、詳細を思い出した紫龍が後に続いた。


「ハリネズミいいなぁ。わたしも見たかったです!」


 舞阪さなが少しズレた反応を口にするが、何事もなかったかのように魂斗羅・芭栖が別の疑問を口にする。


「それにしても、2人はあの場所で狩りしていたって事だよなぁ。フォレストベアって2人で狩れるものなのか?」


「俺達なら2人で狩れるとは思う。だが、リスクが高い。回すならタンカー、アタッカー、サポーターの3人は欲しいな。そういう意味では、あの2人が咆哮後にどのように対処しているのかは気になるな。」


 アレク=サンドが質問に答えつつ、自分の意見を言うと、スターシーカーが後に続く。


「確か怯ませて手数を減らすように進言したのは雑巾さんでしたね。フォレストベアの咆哮後にそれで対処している可能性はどうでしょう?」


必殺技ウェポンスキルで畳み掛けるのはありえるね。でも、2発じゃ……そうか、パンチとキック、投擲と短剣で4発になるのか。」


 スターシーカーの仮説に紫龍が同意し、更に必殺技ウェポンスキルを2人で4回発動出来る事に気付いた。


「ボクもサブで短剣持っているけど、弓と短剣の両方で必殺技ウェポンスキルを発動するのは考えなかったねー。」


「だぁの場合は位置取り的にみても難しいだろう。格闘は不遇スキルと見ていたが、必殺技ウェポンスキルを2連続で発動し易い事を考えるとメリットがあるな。」


 だぁ☆うぃんの言葉に、アレク=サンドが答えつつ意見を言った。


「そういえば、二刀流以外の武器は一つしか手に持てないだろぉ?短剣持ちながら投擲していたと思うんだが?」


 魂斗羅・芭栖が疑問を口にすると、直ぐにアレク=サンドが答える。


「あぁ、投擲はサブウェポン扱いなのだろう。わかりやすく言うと盾と同じ扱いだ。」


「そういうことかぁ。納得いったぜ。…ところでリーダー、話をがらりと変えてしまうんだが、ギルドの話はどうなったんだ?俺達で作るのか?」


 ここで魂斗羅・芭栖が別の話題を振り、アレク=サンドが答える。


「そうだったな。今回のイベント報酬のお陰で、ギルド資金の問題はなくなった。後は、ギルドの方針次第か。」


 アレク=サンドの答えに、急に目を輝かせた舞阪さなが口を挟む。


「ギルドハウス欲しいです!内装可愛くしたいです!」


「そっちではなくて、目指す規模や目的を決めないと。」


 紫龍が話がズレそうなところをたしなめ、アレク=サンドが話を続ける。


「このメンバーだけっていうのも考えたのだが、ギルドを立てるならば、当初の目標通り大規模とはいかないまでも、中規模クラスにしたいとは思う。先ずは先行組の見知ったパーティに声を掛けようと思うが、良いかな?」


「中規模っていうと30~50人くらいか。いいんじゃないかな。上の2ギルドは100人超えを目指しているらしいけど、俺達はそこまでは望まないし。PvPコンテンツもまだ実装されていないしね。」


 紫龍が肯定の言葉を口にし、更にアレク=サンドが話を続ける。


「どのような形かはわからないが、PvPは実装されるだろう。PvPに限らずギルド単位のイベントは必ず実装されるとみている。その時になって集めたら遅い、出来るだけ早いうちに動いておきたい。」


 アレク=サンドが説明を一通り終えると、スターシーカーが意見を言う。


「あの2人も誘ってみますか?強さなら問題なさそうですし。」


「そうだな。あの2人なら戦力として申し分ないが、フレンド登録を忘れていたな。次に会えた時か、個人チャットでも良いだろう。」


「ねぇ、リーダー、ギルドの名前はどうするのー?」


 だぁ☆うぃんが思いついた質問を投げると、アレク=サンドが待っていたと言わんばかりに話を進める。


「名前の候補はいくつか決めてあるから、皆に相談したい。」


 そして、皆の意見を聞いた結果、アレク=サンドをマスターとしたギルド“ナディール”が結成されるのであった。



-アレク=サンドパーティ編 完-


会話主体の文章は難しいですね。誰の言葉か分かりにくい箇所がありましたら、お許しください。

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