23話:イベント内容と新しい短剣
土曜日の後編の・・・後編です
(何がきっかけなのかはわかりませんが、突然の閲覧数増加に吃驚しています。)
※2017/10/02 訂正 誤)プレイ時間:2時間12分 → 正)プレイ時間:4時間12分
※2017/10/07 会話文中の“(笑)”等の感情表現文字を削除いたしました。
-土曜日 続き-
約6時間程のフォレストベア狩りの後、ステラへ素材を渡し、雑談の後SSSOをログアウトした、今林隆昇。
俺は、ヘルメットを外し、リクライニングチェアから立ち、身体を少し伸ばすと、アラートは無かったが尿意が襲ってきたので、慌ててトイレへ駆け込む。
リビングへ向かうと、夕食の準備がほぼ出来ていたので、このまま両親と夕食にしてしまおうと思う。
今日のおかず(メインディッシュ)は鶏もも肉のソテーだった。俺の大好物の一つである。
皮はパリパリに焼いてあり、肉は柔らかくジューシー、塩コショウで味付けしてあり、ニンニクの香りもする。
付け合わせには、蒸した野菜が添えてある。
夕食を終え、風呂を済ませた後、公式イベントについて確認しておく。
街へモンスターが攻めてくる!?
第一回 モンスター襲来イベント 開催決定!!
街を守れるかはプレイヤーの連携次第??
街を守って報酬をゲットしよう!!
来る〇月〇日(土曜日) 20時より、各街へモンスターが襲来します。
プレイヤーの皆様は、モンスターを街へ踏み入れないように、協力して撃退してください。
襲来対象の街:デミア、ルーエ、ジニア、グサビ
尚、20時になると、デミアの街の東門を除いた全ての門に、バリケードが設置されます。
街の内外への移動の際は、門付近にいる“門番”NPCにお話しください。
襲来するモンスターは、目に付いたプレイヤー及び、NPCを攻撃します。
また、バリケードを破壊し、街へ踏み入れようとします。撃退、殲滅をお願いします。
どなたでも参加出来るように、バリケードの内側から攻撃可能な迎撃用アイテムを貸し出します。
“迎撃用アイテム貸出”NPCへお話ください。
攻撃範囲や、再使用時間等の制限がございますが、どなたでも使用可能です。
奮ってご参加ください。
イベント終了条件は以下となります。
各街、各門単位で襲来するモンスターを全て殲滅で成功。街へ踏み入れられた時点で失敗。
各街、全ての門が成功で、大成功。2つの門以上失敗で、大失敗。
イベントの報酬は以下となります。
参加賞:1ポイント以上の討伐または、貢献ポイントを獲得された方全員。
討伐ランキング:モンスター討伐によるポイントのランキング順に報酬が変動。パーティ単位。
貢献ランキング:街中での貢献によるポイントのランキング順に報酬が変動。個人単位。
各街、各門ランキング:討伐・貢献ポイント及び、成功・大成功による追加報酬。
※イベントは約2時間程度を予定しております。
※死亡ペナルティは通常通り発生します。
※討伐及び、貢献ポイントの算出情報は非公開とさせていただきます。
但し、人工知能による監視及び計算を含む為、横殴り等の美味しい所取りではポイントは少ないでしょう。
ざっと読んでみたが、明確な失敗条件も載っているところをみると、本格的な攻防戦になりそうな雰囲気だ。
第一回と謳っている部分をみても、敢えて失敗させ、次の成功を目指そうとさせる節もみえてくる。
この辺りの匙加減は難しいが、俺としては、少しくらいは難易度高めの方が楽しいと思っている。
イベント情報を見終わり、20時を回ったところでSSSOへログインする。
先ずは倉庫の在庫と、アイテムバッグの在庫を確認しておく。
やはり、[石ころ]が足りない。今日も500個以上使ってしまった。
今はお金もそれなりにあるので、店(NPC)売りを買ってしまうのも手だと思う。
確か、10個で10gemだったはずだ。
500個で500gemなら、安いと言える。
割高だと思っていた時期が懐かしい。
後は、[鉄のインゴット]が120個、[砕散石]が40個、[弾飛石]が40個残っている。
時間もあることだし、[飛苦無]と、[炸裂丸]を作れるだけ作ってしまおうと考え、鍛冶ギルドへ向かう。
一心不乱に作成を続けると、鍛冶スキルがLv50(MAX)になった。
職人になるつもりは全くないが、何故か達成感はある。
鍛冶スキルの特化派生は、武器・防具・その他であった。
迷うことなく、武器一択ということで習得し、残りの素材も使い切ってしまう。
鍛冶-武-スキルがLv3になったが、特化派生前の製作レシピではスキルの上がりが悪いようだ。
素材を使い切り、在庫と併せた合計が、[飛苦無]134本と[炸裂丸]55個となった。
欲を言うならば、[炸裂丸]はもっと沢山あっても良いと考える。
鍛冶スキルを特化派生したので、作成可能な武器が増えていないかを確認する。
[飛苦無]の派生レシピに、打属性特化のものが増えていた。
突属性で材料を使いきってしまったので、次の機会では打属性を用意しようと脳内メモを残しておく。
唐突だが、短剣を[銅短剣]からずっと変えていない事に、今頃になって気が付いた。
今なら自分で作れるのではと、条件を短剣で絞ってみると、[アイアン=ダガー]等の今より強そうな短剣が作れるようだ。
ただ、生憎[鉄のインゴット]は使い切ってしまっていたのと、短剣は革も使うようだ。
一覧を眺めていると、[ダクタイル=ダガー]という武器が目に留まる。
そういえば、前にワームから[ダクタイル]という素材を手に入れていたことに気付き、レシピの詳細を見ると[ダクタイル]x1と[フォレストベアの革]x1が材料であった。
一回だけ勝負出来る・・・と、PTを組んだままだったステラがログイン状態なので、PTチャットで話しかけてみる。
「ステラさん、いますか?」
「は、はい!ぞうさん、どうかされましたか?」
「[フォレストベアの革]を1枚貰いたいのですけど、今平気ですか?」
「えっと、全然問題ないです。・・・けど、何に使うのですか?」
「ちょっと短剣を作成してみようかと。失敗しそうですけどね。」
「え?・・・あ、誰かに依頼されるのですね。」
そういえば、ステラに所持スキルの話はしていなかったと気付く。
元々、他人のスキルについて聞くのは禁句だから、興味はあっても聞く人は少ないだろうが。
「言うタイミングなかったけど、趣味程度に採掘と鍛冶スキル持ちだったりします。」
「え!?えぇぇえっぇ!?ぞうさん、生産スキルも持っていたのですか!?!?」
「そ、そこまで驚かなくても・・・。」
「え、だって、フォレストベア狩れるくらいですし、戦闘特化とばかり思っていました。
それに、[フォレストベアの革]を使うって・・・趣味レベルではないと思いますけど??」
「格上のレシピっぽいのですが、たまたま材料が一回分あったので。
出来たらラッキーという感じです。
ちなみに、今はどちらにいますか?」
「むぅ・・・。今は裁縫ギルドにいます。」
「じゃぁ、そっちに向かうので待っていてください。」
俺は、倉庫で[ダクタイル]を取り出し、裁縫ギルドへ向かうと、入口でステラが待っていた。
「ごめん、気を使わせちゃって。革1枚だけお願いします。」
「はい。」
ステラから[フォレストベアの革]x1を受け取る。
「ありがとう。一発勝負してくるね。」
「はい!頑張ってください。」
俺は鍛冶ギルドへ行き、忘れていた[鍛冶道具]を買おうとNPC販売員のリストを見ると、[中級鍛冶道具]が扱えることがわかった。
「おお、[中級鍛冶道具]が扱えるのか。こっちの方が、成功率上がるのかな。」
「ほへ?えっと、中級の方が成功率は格段に上がります・・・。
って・・・聞くのはマナー違反と承知の上で、ぞうさんの鍛冶スキルって・・・・」
「あぁ、50MAXになって、特化派生で武器を習得したところだよ。」
「えぇええぇ!?全然、趣味レベルではないじゃないですか!
革を使うってことから、特化派生しているはずなのにと思っていましたけど・・・。」
「苦労して上げたって感じではないんだよね。
必要な武器作っていたら、気付いたら上がっていたから・・・趣味気分?」
俺は、製作リストから[ダクタイル=ダガー]を選び、気合を込めて作成へ触れる。
身体が勝手に通常の3~4倍程の速さで動き、トンテンカントンテンカンとダガーを作成する。
最後の一振りまで失敗なく完遂し、一発成功となった。
「おお!出来た!!」
「おー、おめでとうございます。ところで作成した短剣の名前は何というのでしょうか?」
「[ダクタイル=ダガー]という名前だね。」
「へ?・・・うーん、聞いたこと無いですね。短剣に詳しくはありませんけど、ダクタイル?」
「[アイアン=ダガー]より、ちょっと良い程度だとは思うけどねぇ。
って言っても、[アイアン=ダガー]の性能知らないけどね。」
「今、競売所に来たので見ていますけど、ダクタイル?はみつかりませんね。
[アイアン=ダガー]の性能は・・・攻撃力+14です。」
「あら・・・、これは攻撃力+22の、受け流し補正+5付いてるね・・・。」
「攻撃力22って・・・今、競売に出品されているダガーに20を超えた物がありませんよ!」
「おお!という事は、良い物作れたと。」
「ええ、そうなのですけど・・・なにか納得できないわたしがいます・・・。」
「競売だって全ての物が揃っている訳ではないから、これが最強とは言えないしねぇ。」
先行組が持っていると思われるような物は、数が少なかったり、秘匿される事も多い。
中には情報提供の意を持って出品する人や、自慢の為に出品する人もいるが、出品者の名前がわかってしまうので、個人チャットやメールでの質問責めにあうケースを危惧されてしまう。
そして、ステラが納得出来ないと言っているのは、俺が趣味程度という大した苦労もせずに鍛冶スキルがMAXになっている事に対しての嫉妬に近い感情だろう。
何と答えれば良いかなと考えながら、違いについて指摘することにする。
「鍛冶ってさぁ、採掘すればするほど素材が手に入るんだよねぇ。
1時間ちょっと採掘するだけで、重量オーバーになっちゃうから、街との往復が面倒なんだけど。
それだけの量が手に入るから大量生産が楽なんだよね。」
「え!?1時間ちょっとで重量オーバーする程、掘れるのですか??」
「うんうん。掘れるよ。採掘道具も2~3本壊れるし。」
「それに、鉱石からインゴット作って、その後武器作ってとするから、スキル上げとしては2度ある感じだからね。」
「あ、わかります。糸から布作成と、同じような感じですね。」
「まぁ、俺の場合、投擲武器が欲しかったから、大量に作る必要あってね。
材料の消費量も少ないし、沢山作るから、最初のMAXまでは早かったと思う。」
「あぁ、なんとなく、一番効率の良い上げ方・・・でも投擲武器なんて売れないでしょうから、スキル上げと割り切って作る人はいませんね。」
「趣味程度って謙遜も含めているけど、真意は生産をメインにする気はないよってことだから。
ただ、鍛冶スキル持ちの信用のおける人なんていないし、自力調達しないといけなかったから必然的に上がったって感じだね。」
「なんか、凄く納得しました・・・って、も、もしかして、わたしのために説明してくれたのですか?」
「いやいや、ただの独り言に近い感じだよ。
ご清聴いただきまして、まことにありがとーございました。」
「な・・・なんか、はぐらかされた感じですけど。
でも、良いお話が聞けて、ありがとうございました。」
「採掘の話をしていたら、これから採掘するのも良いかなと思えてきた。
今から行けば、2周掘れそうだし、ちょっとジニアの鉱山いってくるね。」
「はい!お気をつけて、いってらっしゃ~い。」
戦闘に必要な物は全てアイテムバッグに入れたままだったので、ダガーと投擲を装備し、ジニアの街へ向けて少し早足で歩く。
ルーエの街では、特殊スキルNPCへ声を掛けようか迷ったが、2人プレイヤーが話をしていたので、スルーしてジニアの街へ急ぐ。
道中、フォレストビートルと遭遇したが、[ダクタイル=ダガー]の試し斬り相手に丁度良かった。
硬い殻でも、結構な打撃エフェクトを与え、6撃程で倒す事が出来た。
短剣の手数の多さを考えると、極悪と捉えて良いほどの攻撃力なのかもしれない。
死に戻りする事もなく、ジニアの街へ到着し、倉庫で採掘用にアイテムを入れ替え、離席休憩後に、南西の鉱山へ向かった。
土曜日の22時前の時間はピーク時と思い、閑古鳥の採掘場所へ向かう。
最初の広い場所には誰も居なかったが、いつもの通り次の広い場所で掘り始める。
1時間と少しで重量オーバーになったので、一度ジニアの街へ戻り、採掘道具を補充してから、採掘場所へ戻った。
また、1時間と少しで重量オーバーになったので、ジニアの街へ戻ろうと最初の広場を通る時に、この前声を掛けてきたヒマラヤというプレイヤーがいた。
また、声を掛けられたら面倒だなぁと考えていると、どうも離席状態のようだ。そそくさとこの場を後にする。
掘ったアイテムを倉庫へ預けると、24時だったのでどうしようか悩んだが、フォレストベア狩りがあるので、デミアの街へ戻ってからログアウトすることに決めた。
道中は、好戦的MOBに遭遇する事もなく、ルーエの特殊スキルNPCも華麗にスルーして、早足のままデミアの街へ到着した。
今日はここまでとして、ログアウトする。
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雑巾:Lv19 所持金:31,545→31,425gem
プレイ時間:4時間12分
総プレイ時間:3日1時間35分
筋力46→47、体力40→41、知力14
精神力15、持久力45、素早さ42
器用さ48→49、運12、道徳13
投擲(50)打Lv28、短剣Lv42→43、革防具Lv51
採掘Lv40→45、鍛冶(50)武(new)Lv1→3
遠見Lv24→27、察知(50)詳Lv12→13
強化1:筋力Lv40→41、素早Lv43、器用Lv47→48
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豆情報:[ダクタイル=ダガー]通常の鉄を上回る強靭さを持つ黒光りした短剣。刃の鋭さは鍛錬された鋼には及ばないが、それなりの性能を有する。若干重い。