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22話:タツヤとフォレストベア狩り-パート2-

土曜日の後編・・・の前編です


※2017/10/07 会話文中の“(笑)”等の感情表現文字を削除いたしました。

-土曜日 続き-


フォレストベア狩りのため、デミアの街の南東の森の池に到着し、離席休憩を取った雑巾とタツヤ。



「たーちゃん、戻り。」


「おか。」


「ここは、穴場の狩場だね。

誰かしら来ていそうな気もするんだけどね。」


他人ひとがいても、おかしくない。」


「あっ、そうそう、派生スキル選んじゃうから、ちょっと待ってね。」


本格的に狩りをする前に、投擲スキルLvがMAXのままなので、特化派生先を選んでおくことにする。


打・突・斬属性の特化派生だが、今の現状を考えると打属性が多いと考え、取り敢えず“投擲-打-”スキルを選び、習得する。


「おまたせ。じゃぁ、いつも通り釣ってくるね。」


「ほい。」


俺は、察知と遠見スキルを使い、フォレストベアを探し釣るのに丁度良い個体を見つける。


なるべく遠くから[石ころ]を投げ、フォレストベアが追ってきたところで、タツヤの居る場所まで走る。


「たーちゃん、釣った。」


俺は、タツヤの居る場所を走り過ぎてから反転し、身構える。


フォレストベアが突進してきたところで、タツヤが挑発スキルで敵視ヘイトを取った。


タツヤが標的ターゲットになっているうちに、熊の背後に回り込み、[石ころ]を当てていく。


タツヤは、熊の攻撃を躱しながら、殴りと蹴りを入れている。


時折、熊の手が振り降ろされた攻撃を、タツヤが手でガードするのだが、以前に比べてHPヒットポイントの減りがかなり少ない。


そして、ガードした熊の手を押し退け、そのまま反撃に繋げている。


俺はWPウェポンポイントが溜まると、[分銅]を持って必殺技ウェポンスキル“ヘヴィスロー”を熊の頭に当てる。


熊の標的ターゲットが俺に向くと、タツヤが必殺技ウェポンスキルや、挑発スキルを使って、敵視ヘイトを取っていく。


俺は、熊の標的ターゲットがタツヤを向いている時に、左手に持った短剣で熊へ斬りつけつつ、落ちている[分銅]を拾い、距離を取る。


もう一度、俺のWPウェポンポイントが溜まり、熊の頭に必殺技ウェポンスキルを当てると、熊が突然咆哮した。


「グゴォォォォッ!」


前回より咆哮のタイミングが早すぎ、タツヤも驚いている雰囲気がある。


標的ターゲットは俺へ向いているので、回避行動へ意識を集中する。


熊が俺へ向けて突撃姿勢に入ろうとしたところを、タツヤが熊の側面から必殺技ウェポンスキルを放った。


「《武技ぶぎ》コンティニュアス・ヒット」


かなりの素早さ、且つ、重いパンチを5連続で打ち込んだ。


熊は大きく仰け反り、態勢を崩す。


俺は隙を逃さず[分銅]を熊へ連続で投げた。


「《武技ぶぎ》コンティニュアス・キック」


タツヤの蹴術のWPウェポンポイントが溜まったのか、片足での5連続蹴りが入った。


ここでも、熊は大きく仰け反り態勢を崩したので、俺は出来る限り早く[分銅]を投げる。


ここで、フォレストベアが横に倒れつつ離散エフェクトで消えた。


俺は、急ぎ落ちている[分銅]を拾うが、いくつかは消失ロストしていた。


「たーちゃん、ぐっじょぶ!

咆哮のタイミング早かったね。」


「うぃ。ちょっと焦った。

でも、防具強くて助かった。」


「次は1回使ったら溜めておくね。」


「よろ。」


タツヤの回復を待ってから、次のフォレストベアを釣ってくる。


俺は必殺技ウェポンスキルを一回使い、その後はWPウェポンポイントを溜めたまま、短剣での攻撃を増やしてみた。


「グゴォォォォッ!」


フォレストベアが咆哮を挙げたところで、熊の標的ターゲットはタツヤだった。


俺は[飛苦無とびくない]を三本持ち、必殺技ウェポンスキルを発動する。


「《武技ぶぎ》ワイドスロー」


投げた[飛苦無とびくない]は、熊へ当たる直前に5本ずつ計15本に分裂し、熊の背中全体に突き刺さった。


ダメージが多かったのか、大きく怯んだ熊目掛けて、タツヤの必殺技ウェポンスキルが繰り出される。


「《武技ぶぎ》コンティニュアス・ヒット」

「《武技ぶぎ》コンティニュアス・キック」


5連続の殴りと蹴りで、フォレストベアは離散エフェクトで消えていった。


熊の居た場所に落ちた[飛苦無とびくない]を3本だけ拾う。不正行為はしない。


「おお!たーちゃんのHPヒットポイントが2割くらいしか減ってないね。」


「うぃ。これなら連戦いける。」


「おっけー。釣ってくるよ。」


一戦一戦、効率を上げていき、ほぼ安定したと思われた所で、狩り始めてから2時間が経過していた。


「たーちゃん、ごめん。WCトイレアラート。一旦離席休憩で。」


「ほい。」


俺はトイレへ駆け込み、その後、冷たいお茶で喉を潤してからSSSOへ戻った。


タツヤもほぼ同時に戻って来たので、フォレストベア狩りを続行する。


攻防によってお互いの手数に差が出る為、毎回全く同じタイミングで咆哮するとは限らないが、フォレストベアの個体差があるかというと、そうは感じなかった。


ゲームによっては個体差を強調したものもあったが、今までの俺の体感上から、SSSOでは個体差は全く無いと考えている。


咆哮までタツヤがノーダメージで相手し、咆哮後の必殺技ウェポンスキルによる畳み掛けで、お互い全くのノーダメージという戦闘結果も出てきた。


「たーちゃん、ノーダメは凄いね。

良く熊の攻撃を躱せるよね・・・。」


「んー、攻撃パターン覚えてたかも?

あと、攻撃潰せるのわかったから。」


「攻撃を潰す?・・・仰け反りや怯みによるキャンセルのこと?」


「そそ。大ダメージ当てると、キャンセルする。」


「確かに、咆哮後の畳み掛けは、熊が攻撃出来なくなっているよね。」


「うぃうぃ。」


「《技技ぎぎ》遠見・・・熊発見、釣るね。」


察知スキルがLv50MAXになると、一度の発動で1時間持続されるようになった。

止めたい時は、もう一度発動すると消える。


今まで、PTパーティチャットの途中でも技技ぎぎを言っていたが、この仕様によって発言回数が減り、非常に便利である。


尚、察知スキルの特化派生は、範囲特化と、ターゲット詳細特化の2パターンであった。


範囲が広がることも捨てがたかったが、視認し辛い場所等でターゲットの詳細が分かる方が有効と考え、こちらを選んだ。


“察知-詳-”スキルを習得してから、認識したMOBの名前が表示されるようになっている。非常に便利である。


今は念の為、視認による確認もしてから釣るようにしている。


フォレストベアを倒すのに要する時間は大分少なくなっており、釣る時間の方が長いと感じるくらいだ。


かと言って、遭遇戦をするだけの力は無いので、拠点での釣り狩りは変えられない。


釣りも含め、5分で1匹以上の回転数で狩りを続けること2時間半、現実世界リアルの17時を回った。


大量に持ってきたはずの[石ころ]が底をつきそうな状態だった為、ここで街へ戻ることにした。


帰り道の森林鹿も美味しくいただくことは忘れず、無事デミアの街へと戻った。


ステラへ渡す分もあるので、戦利品の再分配をしてしまう。


ここでの再分配は、一度まとめて、ステラへ渡す分の素材と数をスクリーンショットで保存しておく為だ。


ステラを信用していない訳ではなく、どちらかというと、ステラに全て任せっきりにするのは申し訳ないという思いから、俺の方でも数を把握しておく必要があると考えたからだ。


革、爪、角はステラ用にまとめてタツヤへ、肉はお互い半分ずつ、他は再分配なし・・・と、装備品があることに気付く。


「あれ?[森林熊の革長靴かわちょうか]なんてドロップしていたんだ?」


「そいえば、あった。性能はステラの靴の方が上?」


「ふむふむ。それも強化レシピありそうだね。」


「あったら、ステラにお願いする。」


「そっか、ステラだ。今いるかな・・・。」


フレンドリストを見ると、ステラ=ガーネットはログイン状態だったので、PTパーティ申請を送ってみる。


「ぞうさん、タツヤさん、・・・おかえりなさい?」


「そだね、ただいま。」

「うぃ。ただ。」


「ステラさん、今時間あるかな?フォレストベア狩りの戦利品渡してもいい?」


「あ、はい、大丈夫です。広場のいつもの場所に行きます。」


「了解。こっちも向かうね。」


デミアの街、広場の各種ギルド寄りに近い場所で、ステラと合流する。


「今までずっと狩りですか?」


「うぃ。狩りまくった。」


「わぁ、期待しても良いのでしょうか。」


「ほい。渡す。」


タツヤからステラへ、戦利品の素材を渡す。

 [フォレストベアの革]x118

 [フォレストベアの爪]x110

 [森林鹿の革]x25

 [森林鹿の角]x8


「え!?・・・・・・・・・・・・、ええぇえぇぇ!?!?」


約6時間で、前回を超える量に言葉を失うステラであった。


「・・・あ、あの。・・・別れてから6時間も経っていませんけど、どれだけ狩ったのでしょうか・・・。」


「うぃ。狩りまくった。

・・・あ、これも、強く出来る?」


タツヤからステラへ、[森林熊の革長靴かわちょうか]を渡す。


「!?、こ、これも、初めて見ました。

・・・強化レシピはあります。作っても良いですか?」


「うぃ。よろ。」


嬉々としたステラが、ターッと小走りで去っていく。


「たーちゃん、この後どうする?」


「落ちた後、出掛ける用事ある。今日はイン出来ないかも?」


「おっけー。やる事一杯あるから大丈夫だよ。明日は?」


「明日は暇の予定。」


「で、出来ました!!」


「「おお。」」


ステラが戻ってきて、タツヤへ[森林熊=レザーブーツ]を渡す。


「たーちゃん、ごっつい感じだ。」


「うぃ。ごつい。」


「強化レシピで、物理防御力が凄く高くなりました。

た、確か、拳術と蹴術は、防具の物理防御力が攻撃力に反映されると聞きましたので、強くなると思います。」


「「おお!」」


「じゃぁ、俺たちはこの後落ちるから、ステラさんは適当にスキル上げ頑張ってね。」


「がんば。」


「あ、はい!大事に使わせてもらいます。

もうしばらくは、フォレストベア素材が続くと思います。」


と、突然、ピンポンパンポーンという効果音が流れ、機械的な女性の声が聞こえて来た。


『SOMETHING SUB STORY ONLINEをプレイいただき、誠にありがとうございます。

公式イベント開催のお知らせです。

来週の土曜日〇月〇日20時より、モンスター襲来イベントを開催いたします。

詳細事項は、公式ページに特設サイトを設けておりますので、ご参照ください。

引き続き、SOMETHING SUB STORY ONLINEをお楽しみください。』


Oβ開始から約1カ月、若干マンネリ化しつつあるこの時期に最初のイベントを持ってきたのは、計算されているのだろう。


イベントの告知と共に、広場の雰囲気が活気付いた感じがしている。


「え?え?イベントですか?

でも、モンスター襲来って言っていましたよね?

わたしは、戦闘弱いので・・・残念です。」


「まぁ、最初のイベントだから戦闘系になってしまうのは仕方ないのかもね。

でも、このお陰で防具の需要が増えると思うから、稼ぎ時かもしれないよ?」


「はっ!そうですね!今日明日は生産に専念して、売れ行きチェックしますね。

高く売ってみせます!!」


ステラは宣言すると同時に、ドヤっという表情をこちらへ向けた。


「その意気、と言いたいところだけど、ほどほどにね。

お金には困っていないから、スキル上げ優先で良いと思うよ。」


というような会話をしながら、倉庫へ荷物を預けたり、防具の修理と補充と戦利品の売却をして、俺とタツヤはログアウトした。


**********************************************

雑巾:Lv16→19 所持金:320→31,545gem

プレイ時間:8時間33分

総プレイ時間:2日21時間23分


筋力42→46、体力34→40、知力14

精神力15、持久力42→45、素早さ35→42

器用さ46→48、運12、道徳13


投擲(50)打(new)Lv1→28、短剣Lv31→42、革防具Lv43→51

採掘Lv40、鍛冶Lv43→45

遠見Lv17→24、察知Lv48→50(MAX)→察知(50)詳(new)Lv1→12

強化1:筋力Lv33→40、素早Lv34→43、器用Lv39→47

**********************************************


豆情報:[森林熊=レザーブーツ]森林熊の革長靴をベースに、更に革と爪を使って強化した一品。靴の爪先から踵までの側面を爪で覆う事で、物理防御力を更に強化している。

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