17話:タツヤとフォレストベア狩り
日曜日の後編です
※2017/10/07 会話文中の“(笑)”等の感情表現文字を削除いたしました。
-日曜日 続き-
フォレストベアを苦労して狩り、離席状態で現実世界の昼食休憩にするタツヤと雑巾。
ヘルメットを外すと、フォレストベア狩りは集中力を消耗するのか、ちょっとした疲労感がある。
取り敢えず、簡単に食べられるものがないか探すが、何もなかった。
ここは諦めて近くのコンビニへ行き、ハンバーグ弁当とピザまんを買ってきた。
ピザまんは見かけたら急に食べたくなったので、衝動買いだ。
昼食を食べ、一息ついたところでSSSOへ戻る。
タツヤはまだ戻ってきていないようなので、装備の修理と戦利品の売却を済ませてしまう。
[分銅]が残り15個となっていた。これから連戦するとしたら足りない可能性がある。
倉庫の在庫も確認してみたが、[分銅]も[銅鉱石]も無かった。
そういえば作れるだけ作った事を思い出し苦笑していると、[鉄鉱石]があることに気付いた。
[鉄ころ]という安易な名前の投擲が作れたはずだと、生産道具を持って鍛冶ギルドへ向かう。
念のため、[鉄鉱石]と[鉄のインゴット]から作る投擲武器を、製作物リストから確認する。
[鉄鉱石]は[鉄ころ]一択、[鉄のインゴット]は[投げナイフ][苦無][手裏剣]等、いくつかの候補があった。
生産効率で考えると[鉄ころ]が一番良いと考え、試しに1回だけ作成してみる。
無事成功し[鉄ころ]が3つ完成した。攻撃力は[分銅]の1.3倍程度であり、少しだけ強い程度であった。
生産した[鉄ころ]を持って、訓練場で30秒ルールが適用するかを確認する。
投げ方は[石ころ]と同様にし、訓練人形に当てると、そのまま離散エフェクトで消えてしまった。
可能性としては考えていたが、[石ころ]と同じ仕様の完全な使い捨てだった。
鍛冶ギルドへ歩きながらどうするか悩んだ結果、優先すべきは今日の狩りという結論に至った。
熊の咆哮直後の必殺技だけ[鉄ころ]を使うならば、十数個あれば足りるであろうということと、このタイミングの[分銅]は30秒ルールでロストしていたので同じと考えたからだ。
[分銅]の代替えに[鉄ころ]を作れるだけ作る。1度失敗したが、手元には17個となった。
「雑巾、戻った。」
ここで、タツヤが昼食休憩から戻って来たようだ。
「おかえり。熊狩りに行く?」
「うぃ。準備する。」
「おっけー。装備の修理忘れずにね。後、熊の素材は倉庫に預けて、鹿とかは売っちゃって良いと思う。」
「おけ。[傷薬]も補充する。」
俺も、倉庫へ寄り生産道具を預けておく。
程なくして、タツヤと合流し、南東の森の池へと向かう。
向かう途中で、ワイルドボアを見かけたが、木が密集しており戦闘に不利だったため、迂回して進んだ。
道中の森林鹿は美味しく頂くのは変わらず、午前中に熊と戦闘した開けた場所へ無事辿り着く。
「じゃぁ、さっきと同じ感じで。」
「うぃ。」
俺は察知スキルを使いながら、森の奥へと進み、熊を1匹釣ってくる。
熊が吠えるまでは、タツヤに標的を固定で完全に安定してきた。
俺も[分銅]を投げた後は、極力回収しつつ、短剣の攻撃も増やす。
「グゴォォォォッ!」
熊が吠えた。俺は[鉄ころ]を持って、投擲スキルLv40で覚えた必殺技を使ってみる。
「《武技》ヘヴィスロー」
いつもと変わらず投げた投擲は、熊の頭に当たった瞬間、ドゴンッと大きなエフェクトを発し、熊の頭を大きく揺らした。
タツヤもここぞとばかりに必殺技を繰り出す。
「《武技》ヘヴィストレート、 《武技》ヘヴィロー」
タツヤの必殺技も大き目のエフェクトと音で、熊を若干怯ませた。
俺は、タツヤに標的があるうちに、[分銅]を連続で投げる。
熊の標的が俺に変わり、タツヤが攻撃した所で、熊が倒れ離散エフェクトで消えていった。
「「ぐっじょぶ。」」
俺は察知スキルで警戒しつつ、落ちている[分銅]を拾う。
「新しい必殺技強いかもね?安定してきたかも。」
「うぃ。いい感じ。」
「たーちゃん回復したら、釣ってくるね。」
「ほい。」
新しく習得した必殺技のお陰もあってか、咆哮後の畳み掛けも安定し、トータルの戦闘時間も短くなった。
そこから1時間程で、フォレストベアを4匹狩り、一度休憩のため離席状態とする。
10分後、お互いSSSOへ戻り、熊狩りを続ける。
フォレストベアは、仲間意識は無いようだったので、確実に1匹ずつ釣ることが出来ている。
タツヤの[傷薬]の消費が多いので、俺の[傷薬]を分け、狩りを継続していく。
途中WCアラートによる休憩等も挟みつつ、20時まで狩りを続けた。
[鉄ころ]は既に無くなっていたので、17匹は確実に狩っている。その後は[分銅]を回収しつつ、問題なく狩りが進んだ。
最後には、俺の短剣の必殺技まで併せる事で、咆哮後の熊を倒す事が出来ていた。
「流石に疲れたかな。そろそろ戻ろうか?」
「うぃ。熊30匹以上狩ったはず。」
「うんうん。革って何枚になった?」
「えっと・・・・78枚。」
「すごっ!!倉庫も含めると80枚超えかぁ。」
「うぃ。ステラ喜ぶかも?」
という会話を続けながら、道中の森林鹿を狩りつつ、デミアの街に戻った。
街に戻ると、フレンドリストにステラ=ガーネットがログイン状態となっていたので、個人チャットをする。
「こんばんは。革手に入ったので、今から渡してもいいですか?」
「・・・・・・こんばんは!はい、大丈夫です。
もう、手に入れたのですね。今、広場にいます。」
「了解です。これから向かいますね。」
タツヤに、ステラが革を受け取れる事を伝え、倉庫経由で広場に向かう。
日曜日の夜ということもあって、広場は結構賑わっていた。
この状況だと一般チャットで会話するのもよろしくないと思い、ステラへPT申請をする。
「いきなりPT申請して申し訳ないです。」
「いえいえ。広場、かなり込んでますし、PTチャットの方が安心できます。」
「ステラ、こんばんは。トレードして良い?」
「タツヤさん、こんばんは。トレード大丈夫です。」
「・・・・・・え!? えええええ!!??」
「んん?ステラさん、どうかしたの?」
「おけ。全部渡した。」
「え、えっと、あの、革が、はち、84枚も・・・あるのですけど。」
「前にも言った通り、10枚はたーちゃんが装備している分としてタダで。
残りの74枚は、作った製品の売れたお金から、素材代として貰いたいのだけど・・・、
[フォレストベアの革]の相場っていくらか見てなかったね。」
「えっと、最近、同Lvの生産者が増えてきているのと、防具の需要も増えていて、競売価格は値上がっています。」
同業者が増えてきているなら、革を今日渡せておいて良かったと思う。
1週間後とかだったら、後から来た人に追い抜かれていたのかもしれない。
「先週の適正価格が600gemでしたが、今は800gemでも即買いする人がいるくらいです。」
「それだと、防具作って売ったら赤字になっちゃうのかな?」
「いいえ、防具は元々数が少なくて、かなり高い値段で出品されているので、赤字にはならないと思います。」
「なるほど。取り敢えず赤字にならないなら良いかな。
一応、600gem計算で考えておくけど、防具の売れた値段次第で微調整かな?
たーちゃんもそれでいい?」
「うぃ。問題ない。」
もしも、革1枚600gemで赤字になるようであれば、微調整で値下げしようと考えている。
タツヤもその辺は気にしないはずだ。
「それにしても、・・・この革の数にはビックリしました。」
「今日、狩った。」
「えぇ!? 今日だけですか!?」
「うぃ。」
「偶々(たまたま)良い狩場を見つけたからかな?
俺の方は武器の在庫が底ついてるから、早めに調達しないとだね。」
「平日は仕事あるから、別行動。雑巾、週末狩れる?」
「そだね。平日でなんとか準備してみる。ソロじゃ熊無理だしね。」
「あの?フォレストベアをペアで狩っているのですか?」
「うぃ。」
「すごい・・・ペアでも狩れるのですね。
6人PTでも、気を抜くと死亡者が出るというお話もありましたので。」
「俺たちも死んだけどね。」
「気を抜かなければ、安定してる。」
「じゃぁ、ステラさんには革を有効活用してもらって、生産頑張ってくださいね。」
「は、はい!大事に使わせていただきます。」
「俺たち平日はイン時間微妙なので、革代は週末にまとめてもらった方がいいかも。
あ、[フォレストベアの爪]も使ったりしますか? 後あるのは、森林鹿関係。」
「爪も使えたと思います。森林鹿は革と角を使います。」
「そしたら、肉以外はステラさん行きがいいのかな。鹿は手持ちの渡すね。
たーちゃん、後で爪もステラさんに渡しておいて。」
「おけ。鹿も渡しておく、少ないけど。」
俺は早速ステラにトレード申請をして、[森林鹿の革]x16と[森林鹿の角]x5を渡す。
タツヤは、後で倉庫へ行ってから渡すようだ。
俺もタツヤも今日はここまでとして、先に俺がログアウトした。
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雑巾:Lv9→14 所持金:875→1,135gem
プレイ時間:9時間43分
総プレイ時間:1日23時間21分
筋力27→35、体力23→30、知力12→14
精神力12→15、持久力27→36、素早さ25→35
器用さ29→40、運11→12、道徳10
投擲Lv32→49、短剣Lv23→31、革防具Lv30→43
採掘Lv16、鍛冶Lv11
遠見Lv12→16、察知Lv25→48
強化1:筋力Lv16→28、素早Lv18→34、器用Lv20→35
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ヘルメットを外し、リクライニングチェアから立ち上がると、身体が重い感じがした。
軽く伸びをし身体を解すと、めちゃくちゃ空腹であることに気付く。
21時近かったので、空腹で当たり前であった。
ふと、空腹のアラートはないのかと考えながら、リビングへと向かう。
リビングでは両親が晩酌をしており、俺の夕食は用意されていた。
今日の献立は、冷しゃぶ、冷奴、納豆とご飯であった。
さくっと食べ、風呂に入ってしまう。
火照った身体をクールダウンしながら、PCで情報サイトを閲覧していると、急に睡魔が襲ってきた。
フォレストベア狩りで精神的に疲れたのだろうと思う。
徐々に安定して狩れるようになっていくのは、凄く楽しかった。
楽しくなければ、長時間の狩りなんて出来ないと思う。
今日は早めの就寝とし、次の週末へ向けて色々準備しておかなければと考えながら、眠りについた。
豆情報:プレイ時間は、離席状態の時間を含んでいません。