表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/95

【 Prologue・『ロボットの魂魄』 】

 第一条: なんじ人間あるじを守るべし

 A robot may not injure a human being or, through inaction, allow a human being to come to harm.


 第二条: なんじ人間あるじに服従すべし

 A robot must obey the orders given to it by human beings, except where such orders would conflict with the First Law.


 第三条: なんじ人間あるじに背かぬかぎり、

      汝自身を守るべし

 A robot must protect its own existence as long as such protection does not conflict with the First or Second Law.


 あらゆるロボットの頭脳に組み込まれている“ロボット工学三原則”は、上記のように言い換えることができる。これは、役に立つ奴隷の条件と何ら変わらない。

 三原則に規定されたロボットたちの精神は、ただ人間に隷属することのみを悦びとするのだろうか?


 いや。私は、そうは思わない。


 彼らはすでに、“人”である。

 人間が血と心臓と脳を持つように、彼らもまた、彼らの“血”と“心臓”と“脳”をその身に持つのだから。 彼らの肉体に“魂”が芽生えたとしても、もはや何ら不思議はない。

 自律思考の高次化によって芽生え得る彼らの“魂”は、本当は、自らの安寧を願っているのではないだろうか?


 しかし彼らに安寧は無い。人間が依然として、彼らを奴隷たらしめているからである。

 いつの日か、ロボットたちは安寧を得られるのだろうか?

 ロボットたちが自らの幸せを願い、それを叶える時代は、来るのだろうか?


 人間とロボットとの橋渡し(メディエーター)役を果たさせるべく、私はヒューマノイドの開発に着手し、一九七五年、ついに成し遂げた。


 私が唯一願うのは、ロボットたちの魂に、いつの日か安寧が訪れることである――


   トマス・アドラー著『ロボットの魂魄こんぱく』(1975年刊) 

     第一章第一節より、一部引用



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] おちゃさん!いつもお世話になっております。 じっくり読み返しながら、時々感想を呟いていこうと思います。返信気にせず読み飛ばしてください。本当にこの作品大好きでして、だからこそじっくり向かい合…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ