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誓いのブラッド~すべて閣下の仕業~  作者: いふじ
第0章;フォート王国
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第6話;変態とは悪ではない!

皆さんこんばんは!

つい先日、友人からエレキギターを頂いた僕は、ギターって弾けたら格好良いなーという浅はかな思いを持っておりました。

そこで、ネコでも弾けるギター講座なるものを友人に紹介して頂いた訳なんですが、どうやら僕はネコ以下だったようです。

大変分かりやすく、懇切丁寧に書かれてはいたのですが、僕のお脳様では理解することが出来ず・・・・・・・・・・・・始まるよーーー!!!!!!

少し早めに屋敷を出た俺だが、決してティリアに騙されたことが悔しかったわけではない!

 

断じてない!

 

アーリアット村に行く前にある人物に会うために早く出てきたのだ。

 

俺はミネルバ城にやって来ていた。

 

「アルトリア侯爵!」

 

入口を過ぎ、目的地へと向かう途中のテラスで声を掛けられた。

 

頭皮が禿げ、肥え太った醜い男が俺の名を呼び駆け寄って来た。

 

「おおーヘイルマン公爵! 何か用ですか?」

 

ヘイルマンは喜色満面といった顔で俺を見て言う。

 

「今や城中が貴公の噂で持ちきりですぞ!」

 

「へー、どんな噂?」

 

いつもは俺の口調が気に入らないと醜い顔を更に醜く染め上げるヘイルマンが、俺との会話をまるで旧友との語らいでもしているかのように楽しそうに話している。

 

珍しいこともあったもんだ。

 

辺りを行く騎士や文官も珍しそうにこちらを注視している。

 

「貴公が年端もいかぬ少女を奴隷商から買い、屋敷に連れ帰ったとか・・・」

 

密談をするかのように顔を近づけて話すヘイルマンだが、隠す気があるのか無いのか、声が大きいために辺りにいた全員に話が聞かれている。

 

まあ、こんなだだっ広い所で話すんだから、隠す気なんてさらさら無いんだろうけど。

 

「情報が早いですねー。その通りですよ。いやー、もうこれが可愛くてねー」

 

俺は敢えて他の者たちにも聞こえる声量で答える。

 

まさか、こうも堂々と答えてくるとは思ってもいなかったのか、ヘイルマンは虚を疲れたかのような顔だった。

 

「こ、声が大きいですぞ! 他の者に聞かれたらどうするおつもりか!」

 

聞かせたかったくせにー。

 

白々しいなー。

 

「何故、貴公が奴隷なんぞを買われたのか私には皆目見当もつきませんが・・・」

 

「何故って、そんなの決まってるでしょう?」

 

「と、言いますと?」

 

「それは御想像にお任せするよ!」

 

「ほう! そうですか・・・ぐふふふふ」

 

あー、彼完全に下種な考えを巡らせちゃってるね!

 

「そうそう、ヘイルマン公爵。オーランドを探しているんだけど、どこかで見ました?」

 

「そう言えば、貴公と『双剣』殿は親しい仲でしたな。彼に御用で?」

 

「そうなんだ! どこにいるか知ってます?」

 

「先ほど、演習場でお見かけしましたが・・・」

 

「やっぱりね! ありがとう!」

 

それを聞くと俺は当初の目的地に向けて足を運ぶ。

 


 


「うおぉぉーーっ!」

 

という騎士団員たちの熱い声が聞こえてくる。

 

「おおー、懐かしきかなー」

 

二人一組での稽古がそこかしこで行われている。

 

ある組は素手で格闘の型を確かめ合い、またある組は木刀同士を打ち合わせて独特の音を奏でて稽古に励んでいる。

 

そんな光景をしばし眺めていると、


「あ、ブラッドさん!」


と、騎士団の誰かが俺の名を言い、その場にいる全員が俺を見た。


「おい、もうあのお方は侯爵様だぞ! 気安く呼ぶな!」

 

と、団員を叱りつけた人物こそが俺の探し人である、オーランド・トレイス。

 

フォート王国騎士団第四位『双剣』のオーランド。

 

我が国の騎士団は、少し変わった構成となっており、通常の団員の上に上級騎士。その上に騎士団内で最も優れた五名の騎士がおり、彼らはそれぞれ団内で部隊を持っている。  


そして、その全ての部隊を纏め上げるのが、第一位の騎士であり、騎士団長も兼任する。

 

「アルトリア侯爵閣下に置かれましてはご機嫌麗しゅう・・・」

 

「あー、ごめん! 俺今機嫌よくないから、そんなこと言われたらすごくイライラするんだよねー。いつも通りでいいからさ。ほら、皆も懐かしの団長様のお帰りだよ! さあ皆、俺の胸に飛び込んでおいでー!」

 

と言い、胸の前で両手を大きく広げる俺を華麗に無視する騎士団員達。

 

うむ、いつも通りだね!

 

「あー・・・うむ。それでは」

 

とはオーランド。

 

「何しに来たんだ、ブラッド」

 

「用が無くちゃ君に会いに来てはいけないのかい?」

 

「気持ちが悪いことを言うな。それで、用件は?」

 

「あはは、話が早くて助かるよ! えっとねー、誰か一人貸してくんない?」

 

「ふむ、どういった事情かは話せないんだな?」

 

「うーん、話せないこともないけど、面倒くさいからやだ!」

 

そう言った俺に対してオーランドは二、三度軽く頷くと、

 

「ソーニャ! ソーニャ・バーンズ!」

 

「は、はい!」

 

「こちらへ来い!」

 

オーランドに呼ばれてやって来たのは、まだ少し幼さを残した少女だった。

 

別段悪いこともしていないだろうに、少女はびくびくしている。

 

「おいおい、彼女怯えてるじゃないか。女の子にはもっと優しくだねー」

 

「馬鹿。俺にじゃない。お前にだよ」

 

「え?」

 

と、俺が少女を見ると、彼女は蛇に睨まれた蛙のように固まる。

 

「俺?」

 

騎士団員全員がコクコクと無言で頷く。

 

あるぅぇ~?

 

「じ、自分は!」

 

突然、少女が話し始めたので俺はびっくり!

 

そんな俺に少女もびっくり!

 

びっくり祭りだった。

 

「自分は、その、貴族だからという理由で、幼い少女にその、いやらしい行為や悪戯をするのは間違っていると思います!」

 

あら、再びのびっくり。

 

知らぬ間に、俺はとんでもない変態さんにされていた。

 

まあ、自分が重度の変態であることに変わりがないため、返す言葉も無い。

 

「変態は・・・悪い事かい?」

 

後に、ある騎士は語る。

 

あの時のアルトリア侯爵の顔は、いっそ清々しいほどの変態だったと。

 

「わ、悪いに決まっています!」

 

「具体的に、変態のどこが悪いんだい?」

 

「そ、それは・・・」

 

「言えないのかい? なら変態は悪くないということで」

 

「わ、悪いです!」

 

「では具体的に言うと?」

 

「う、う~~」

 

あっはっはっはっは!

 

これはいい!

 

シズカとは違うが、この子も中々からかいがいがある!

 

同じことを感じていたのか、オーランドを始め、騎士団員たちも大声を上げて笑う。

 

「ソーニャ」

 

「は、はい! オーランド隊長!」

 

「一応言っておくが、こいつはこれでも我が国の侯爵様だぞ」

 

「え、ええ」

 

「お前の態度は一侯爵様に対する態度か?」

 

「・・・・・・っ!!」

 

オーランドってば人が悪いんだからー。

 

まあ、こっちは理由作ってくれて助かるんだけどねー。

 

「も、申し訳ありませんでした! 侯爵閣下!」

 

「あははー! いいよいいよー」

 

「ですが閣下、騎士団としてはこのままでは示しが付きません。よって、ソーニャ・バーンズを本日のみ謹慎処分とさせて頂きます。その間、ソーニャには一時閣下の下で教育し直して頂きたいと思います。よろしいでしょうか?」

 

「た、隊長・・・」

 

ソーニャ嬢の顔は真っ青だった。

 

可哀想なことしたなー。

 

ごめんなさい。

 

と、心の中で謝りつつも、俺は問答無用で彼女を連れて城を後にする。

 

「隊長~~~!!」

 

最後までオーランド以下、第四騎士団員の皆さまに手を伸ばし助けを求める彼女に救いの手を差し伸べる者はいなかった。

 

皆一様に良い表情で、ソーニャの旅たちを見送るのだった。





ソーニャを連れた俺は町に来ていた。


そこで俺は町の一角にある店に立ち寄る。

 

「やあ、おじさん」

 

「これは閣下! ようこそおいで下さいました!」

 

「昨日頼んでおいた服って出来てるかな?」

 

「ええ、ご注文通りお作りしております。サイズを三つということでしたが、どのサイズに致しますか?」

 

「当然全部頂くよ!」

 

「いつもありがとうございます」

 

「あ、それとね」

 

ケース内に綺麗な等間隔で大、中、小と並べられた服の中から一番小さい服を指さして、

 

「これは彼女に着せて上げてくれるかい?」

 

と、頼む。

 

ここで彼女には騎士団の服装から着替えて貰わねばならない。


ソーニャは女性従業員に店の奥にある試着スペースへと連行されて行く。

 

その際の彼女の顔は諦めと共に全てを受け入れた者の顔をしていた。

 



「お待たせ致しました閣下」


女性従業員に声を掛けられて俺は、店の物色を切り上げて声のする方へと振り向いた。

 

そこには、可憐な騎士団員ではなく、中性的な魅力の執事が立っていた。

 

これなら世の奥様方もご満足だろう!

 

というか、なんだかソーニャからとても危うくもエロスな雰囲気が醸し出されているのは俺の気のせいだろうか?

 

男物の服を着たことがないのか、ソーニャは落ち着きなくソワソワとした動きを見せ、それがなんだか小動物のように可愛らしくもあり、また、女の子なのに男装をしているということが俺の中に確かに存在する変と態な部分を異常なほど刺激してくれる。

 

ソーニャちゃん、良い仕事してるよ!


読んで頂いてありがとうございます!

この作品が貴方のお暇のお供になれたのなら幸いです!!

ご意見、ご感想などがあれば是非に!!!

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